↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
外星戦記  作者: 無名の凡夫
第1章 初陣~オペレーション・ギデオン~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
32/267

第32話 第3砲兵大隊壊滅

イガのもとへ、ハンゾウ、フウマ、コウガ班、ダンゾウ班の面々が駆けつけた。


ジェアはその光景を黙って見つめる。指揮所を包囲する日本軍特殊部隊。弾薬庫も砲列も沈黙した今、その戦力差は誰の目にも明らかだった。


「……。」


ジェアは一度だけ部下たちを見渡した。誰一人として顔を上げられない。


「……ダス。」


「はっ。」


「アイトンダ大佐殿へ伝えろ。」


「我々は敗れた、と。」


「……了解しました。」


ダス・ツカナム先任曹長は無線のスイッチを入れ、周波数をアイトンダへ合わせた。掛けた。


「こちら第3砲兵大隊――」


乾いた銃声が響く。ツカナムの喉が弾け、そのまま崩れ落ちた。送信機からは雑音だけが流れ続ける。


この間にも、特戦群からの射撃は続いた。


誰かがアイトンダへ状況を伝えようとする。しかし、彼らは銃撃を躱すので精いっぱいだ。状況を打開したい――1人の鳥人族兵士が飛び出した。


「俺が行く!」


1人の鳥人族兵士が天井近くまで跳び上がった。その瞬間だった。乾いた銃声が聞こえる。兵士の胸が跳ね上がり、そのまま床へ叩きつけられる。


「飛ぶな!」


オサスタが鋭く怒鳴った。


「飛べば狙われる!」


鳥人族たちは思わず翼を畳んだ。


天井が低く、飛行経路は限られる。宙へ浮いた鳥人族は、自ら射線へ飛び込んでいた。


(これだけ狭ければ、奴らの機動力は死ぬ。)


イガは冷静に状況を見極める。


一方、オサスタも同じ結論へ達していた。


「飛ぶな。全員、地上戦に切り替えろ!」


わずか数秒で、鳥人族は最大の武器を失った。


兵士たちは翼を畳み、遮蔽物から遮蔽物へ走った。


本来なら空へ舞い上がり、速度と高度を利用して敵の照準を外す。しかし、この狭い指揮所では翼は邪魔でしかない。慣れない地上戦では動きが一瞬遅れる。


「ぐわあっ……!」


先頭の兵士が胸を撃ち抜かれ、その場へ倒れた。


「ぎゃっ!」


続いて別の兵士が柱の陰へ飛び込もうとした瞬間、肩口へ銃弾を受けて崩れ落ちる。


(残り2体)


フウマはオサスタを目で追った。


(遅い。だが……)


オサスタの動きは落ちていた。いや、正確には遅くなったのではない。左翼の負傷を庇うたびに、一瞬だけ体勢が崩れる。そのわずかな隙が、今まで見えなかっただけだ。


フウマはハンゾウにサインを送る。


(承知)


フウマとハンゾウは左右に分かれる。


(攪乱する気が)


オサスタがそう察知した瞬間には、すでにフウマの銃口が火を噴いていた。左翼の死角を突く容赦のない連射。オサスタは辛うじて身を翻すが、崩れた体勢を立て直す隙を、もう一人の影が見逃すはずもなかった。


「終わりだ」


反対側から回り込んでいたハンゾウの冷徹な声。その直後、銃声が狭い指揮所に木霊し、オサスタの胸が大きく跳ね上がった。鳥人族の少尉は、2度と羽ばたくことのない翼を広げたまま、床へと崩れ落ちる。


残る敵は、司令官ジェアただ一人。


「アラミー……!」


ジェアが苦渋に満ちた声を上げるが、感傷に浸る時間すら特戦群は与えない。

コウガ班とダンゾウ班が、まるで精密機械のように完璧な十字砲火を形成し、ジェアの退路を完全に断ち切っていた。


「チェックメイトだ、ジェア」


隊長イガの低く、威圧感に満ちた声が響く。


ジェアは自らの敗北を悟り、ガチガチと震える手で拳銃を引き抜こうとした。しかし、その指がトリガーに触れる前に、イガ、コウガ、ダンゾウの放った弾丸が同時にジェアの身体を穿つ。


「帝国兵として……最後まで戦え……」


崩れ落ちる敵将。送信機から流れていた雑音さえもが、やがてぷつりと途切れた。


「ジェア大隊長!」


そこへ現れたのは、ケンタウロスのアイボ・アウストラ兵士長。アイトンダの下から戻ってきたところだった。彼は、倒れているジェアを目の当たりにして動揺する。


「うおおおおおおおお」


アウストラは叫び、銃のトリガーを引いた。


(雑な射撃だ)(イガ)


イガは、遮蔽物から様子を伺う。ケンタウロスは大柄だ。的が大きく、イガが難なく仕留めた。


「制圧完了」(イガ)


静寂が戻る。火薬の臭いだけが残った。イガは周囲を見回す。


「……モモは?」


誰も答えない。


コウガが静かに口を開いた。


「コタロウ戦死。」


「コタロウは戦死。モモは、行方不明か…」


一瞬だけ、イガは目を閉じた。


イガは数秒だけ黙る。


「……そうか。」


目を閉じる。そして開く。


「撤収する。」


「了解。」

登場人物紹介

特戦群隊員

イガ(隊長)

フウマ

ハンゾウ

コウガ

ダンゾウ


第3砲兵大隊

シムバッド・ジェア……大隊長

アラミー・オサスタ……偵察小隊長

ダス・ツカナム……本部管理小隊の先任曹長

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミリタリー SF ファンタジー 自衛隊 戦争
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。