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外星戦記  作者: 無名の凡夫


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第2話 復讐の誓いと光

あの日、横須賀が陥落してから8年が経った。


瓦礫になった故郷を離れた少年は――19歳の自衛官になっていた。


僕の名前は段場隼人(だんば はやと)。二等陸士。グーリエ星人と戦うために、この道を選んだ。


家族と暮らした街はもうない。瓦礫と化した故郷を後にしたあの日から、僕の心は決して穏やかにはならなかった。


僕と静流(しずる)は、名古屋の児童養護施設で暮らした。親戚はいたが、首都圏がグーリエ星人の手に堕ちてからは連絡が取れていない。


施設での生活は、思っていたほど悪くはなかった。両親を失った子は、僕だけじゃなかったからだ。


夜になると、誰かが泣いている声が聞こえる。でも、朝になると皆何事もなかったように笑う。そうやって、僕たちは生きていた。


ただ一つだけ――


復讐の誓いだけは、消えなかった。


皆が寝静まった後、僕は施設の庭でこっそり身体を鍛えた。静流(しずる)以外、誰にも言っていない「復讐」と言う名の誓いを胸に、静流を守るため、そして両親の仇を討つために。


思い出したのは、自衛官候補生だった頃のことだ。


最終日に行われた25kmの行進は、足の感覚がなくなるほど辛かった。だが、それよりも心が折れそうになったのは、戦闘訓練だった。



何度撃っても、弾は空を切るだけだった。標的は空中を滑るように動き、次の瞬間にはもう別の場所にいる。かすりもしない。


「はぁ……くそ!」


「ねえ、段場君だっけ?」


振り向くと、そこに立っていたのは同じ班の自候生だった。――苫米地杏南(とまべち あんな)。いつも明るくて、訓練場でもやたら目立つ女の子だ。


彼女は僕の横にしゃがみ込んで、笑った。


「どうしたの? もうへばっちゃった?」


「どうせ、当たらないから、もういいよ…。」


不貞腐れたように答える僕に、杏南は笑った。


「そりゃ、まっすぐ撃っても当たらないよ。私達に天使族みたいな身体能力はないんだから。」


彼女はそう言うと、持っていた小石を僕の足元へ投げた。


「敵は空中を自由自在に動けるけど、攻撃する時には必ず一瞬止まる。そこを狙うんだよ。」


言われてみれば、確かにそうだ。僕達は天使族に力では勝てない。だが、その動きを分析し、弱点を見つけ出すことはできる。


「訓練は、ただ身体を鍛えるだけじゃない。生き残るための知恵も身につける場所だよ。」


杏南のその言葉が、僕の凝り固まった復讐心に、新しい光を差し込んでくれた。


僕は立ち上がり、再び訓練に臨んだ。杏南の助言通り、標的の動きを冷静に観察する。そして、標的が一瞬制止したその瞬間を狙って、引き金を引いた。


「やった!」(隼人)


標的は大きく揺れ、地面に落ちた。その時、僕は訓練で初めて勝利を収めたような喜びを感じた。


「凄いじゃん! ほら、やればできるんだよ。」


無邪気に喜ぶ杏南を見て、僕は彼女の明るさに惹かれていることに気付いた。彼女は、僕の心の闇を照らしてくれる光だった。


それから、僕たちは一緒に訓練するようになった。心が折れそうなとき、杏南はいつも傍にいてくれた。そして、いつしか付き合うようになった。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


何度も心が折れそうになったけど、杏南のおかげもあって、無事、自候生の訓練課程を終え、自衛官になった。



何故、今頃になって杏南との出会いを思い出したのだろう?


「隼人、何ぼーっとしてるの?」


杏南に声をかけられ、ふいに現在に戻る。


「いや、ちょっと考え事を。」


「考え事?」


「ふと、昔を思い出してね。もしかしたら、何かの暗示なのかなって…。」


嘘は言っていない。杏南を前にして言う内容でもないと思ったが、我ながら上手くごまかせたと思う。


「もしかしたら、近いうちに招集されて、死んでしまうんじゃないかって…。」


「私も怖い。いつ、どうなるか分からない。でも、私達には仲間がいる。そして、訓練を重ねるたびに、昨日よりも強くなっている。私達は、死んでいった皆の希望にならないと!」


杏南はそう言って、僕の手を握る。杏南は強いな。


「さ、今日も訓練頑張ろう!」


いつ招集が来るか分からない。その時が来たら、僕は戦う。故郷を奪った敵のために。静流(しずる)を守るために。そして――僕の隣で笑う、この光を守るために。

登場人物紹介

段場だんば 隼人はやと……現在19歳。2001年7月13日生まれ、神奈川県横須賀市出身。高校卒業後、自衛官候補生を経て自衛官となった。現在二等陸士。


苫米地とまべち 杏南あんな……2002年2月5日生まれ、愛知県出身、階級は二等陸士。隼人の同期で恋人。

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