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外星戦記~異星人に家族を殺された少年は、自衛官になって復讐を誓う~  作者: 無名の凡夫
第3章 九州奪還へ

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第299話 謎の伏兵

第6歩兵科旅団の攻撃は、止まらなかった。


正面からの射撃を続けながら、帝国軍は少しずつ部隊を左右へ展開させている。水機団が一つの方向へ射撃を集中させれば、その間に別の部隊が移動し、別の場所から前進を試みる。数の多さを利用した攻撃だった。


水機団側も、それをただ受けているわけではない。秋口は前方の状況を確認しながら、隊員を移動させていた。


「右が押されている。何人か回せ」


近くにいた隊員が応じ、右側へ向かっていく。しかし、その直後に正面から帝国軍の射撃が強くなった。


「秋口さん、正面も来ています!」


急留(せくる)が叫ぶ。


「分かっている。正面は俺たちで押さえる!」


秋口はそう答えながら、前方へ射撃を続けた。


帝国軍の兵士が遮蔽物から身を出す。その瞬間を狙って水機団側から銃弾が飛び、帝国兵が再び身を隠した。


だが、別の場所では帝国軍が前へ出ている。


隊員を回せば、そこが薄くなる。薄くなった場所へ敵が来れば、また別の場所から隊員を回さなければならない。秋口は、その繰り返しが水機団側の戦力を削っていることを理解していた。


(このままでは持たない)


それでも、下がるわけにはいかなかった。少し離れた場所では、綱吉が左側の防御線を確認していた。


「敵が近づいています!」


綱吉の声に、周囲の隊員が射撃を集中させる。帝国軍の前進が止まった。その隙に、上野(うえの) 海慶(かいけい)陸士長が別の場所へ移動しようとする。


その瞬間、銃声が響いた。上野がその場に倒れる。


「上野が倒れました!」


近くにいた隊員が叫んだ。綱吉がすぐにそちらを見る。上野は動かなかった。


「救護を――」


綱吉が言いかけたところへ、再び帝国軍の射撃が飛んでくる。


「伏せろ!」


周囲の隊員が身を隠した。綱吉も遮蔽物へ身を寄せる。負傷した上野を救出するには、帝国軍の射線を横切らなければならない。今の状況では、それは容易なことではなかった。綱吉は一瞬だけ倒れた上野を見た。そして、前方へ視線を戻す。


「……今は、動けない」


悔しさを押し殺すように呟き、再び銃を構えた。


その頃、正面では帝国軍の攻撃がさらに強くなっていた。秋口の近くでも銃撃が続いている。


「秋口さん!」


急留(せくる)が叫ぶ。


「何だ!」


「左が下がっています!」


秋口は左へ視線を向けた。綱吉たちがいる場所では、帝国軍の圧力によって防御線が後退している。


「堂ヶ原(どうがはら)、左を見られるか!」


「分かりました!」


堂ヶ原(どうがはら)が移動する。その途中で、近くの隊員が射撃を受けて倒れた。堂ヶ原(どうがはら)は足を止めかけたが、すぐに前方へ向き直った。


「まだ下がるな!」


堂ヶ原(どうがはら)が周囲へ呼びかける。隊員たちは射撃を続けた。帝国軍は少しずつ距離を詰めてくる。


水機団側の陣地には、戦死者が増え始めていた。それでも、秋口たちは戦線を維持している。しかし、それは余裕を持って敵を止めているわけではない。


隊員が1人倒れるたびに、残った隊員がその穴を埋めなければならない。移動できる隊員が減れば、それだけ1人当たりの負担が増していく。


急留(せくる)は射撃を続けながら、周囲を見た。そこにいる隊員の数が、戦闘開始時より明らかに少なくなっている。


(このままじゃ……)


そのとき、帝国軍の一部が遮蔽物から身を出した。前進するつもりだった。水機団側へ向けて射撃を行いながら、数人の帝国兵が一気に距離を詰めようとしている。


「まずい!」


急留(せくる)は、その帝国兵へ銃口を向けた。しかし、次の瞬間、急留(せくる)の身体に衝撃が走った。


「うぐっ……」


銃弾を受けた急留が、その場に倒れる。


幸い、急所は外れていた。だが、身体を動かそうとすると激痛が走る。味方の救援を期待できる状況でもない。急留(せくる)は顔を歪めながらも、声だけは出さぬよう必死に耐えた。帝国兵は、急留(せくる)が死んだと判断したようだった。それ以上、干渉しようとはしない。


急留(せくる)は倒れたまま、前方を見つめていた。すると、その中の1人が突然倒れた。急留は痛みに顔を歪めながら、その様子を見つめた。


水機団の誰かが撃ったわけではない。少なくとも、自分の周囲から飛んだ銃弾ではなかった。帝国兵の一人が倒れたことで、その周囲にいた兵士たちが一斉に身を伏せる。


(……何?)


急留(せくる)は心の中で呟いた。秋口も同じ方向を見ていた。


倒れた帝国兵の周囲では、他の帝国兵が遮蔽物へ身を隠している。さらに遠くから、もう1発の銃声が響いた。帝国兵が1人、また倒れる。今度は水機団側の誰も撃っていなかった。


「秋口さん……」


綱吉が呼びかける。秋口は答えなかった。何が起きているのか分からない。帝国軍の射撃でもない。水機団の射撃でもない。それでも、帝国軍の前進を止める何者かがいる。帝国軍側でも混乱が起きていた。


『敵の狙撃を確認!』


『どこからだ!』


『分かりません!』


通信が飛び交う。


帝国兵たちは周囲を警戒しながら身を低くする。その結果、わずかな時間ではあるものの、第6歩兵科旅団の前進が止まった。


秋口は、その隙を見逃さなかった。


「今のうちに立て直すぞ。負傷者を下げられるなら下げろ!」


隊員たちが動き始める。誰が撃ったのかは分からない。それでも、その射撃によって生まれた時間を使うしかなかった。


少し離れた場所では、帝国兵が身を隠したまま周囲を見回している。


「どこから撃ってきた……」


誰かが呟いた。返事はない。ただ、帝国軍の進路を見ている何者かが、この戦場のどこかにいる。その存在を知る者は、まだ誰もいなかった。

登場人物紹介

秋口(あきぐち) 将光(しょうこう)……第1水陸機動連隊の生き残り

堂(どうが)ヶ原(はら) 炉有(ろう)……同所属の生き残り

急留(せくる) 晴也(はるや)……第2水陸機動連隊所属の陸士長

綱吉(つなよし) 圭一(けいいち)……第2水陸機動連隊所属の三等陸曹

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ミリタリー SF ファンタジー 自衛隊 戦争
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