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外星戦記~異星人に家族を殺された少年は、自衛官になって復讐を誓う~  作者: 無名の凡夫
第3章 九州奪還へ

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第297話 第6歩兵科旅団、動きます

隷下部隊の第25空挺降下大隊が後退してから、しばらくの時間が経っていた。


第2歩兵科旅団の指揮所では、ジマーレ・バービック上級大佐が地図を見つめていた。


すでに報告は届いている。第25空挺降下大隊は作戦に失敗し、大きな損害を受けて後退した。それだけではない。攻撃に合わせて前線へ投入された歩兵科部隊にも、少なからぬ被害が出ている。


バービックは、地図上に表示された部隊配置を確認した。


「……まただ」


低い声が漏れる。攻撃を仕掛けるたびに、こちらの部隊が削られている。


敵の防御が強い。それだけなら、まだ理解できる。問題は、敵がこちらの攻撃に合わせて戦い方を変えていることだった。


空挺部隊を投入しても止められる。歩兵を正面から進ませても押し返される。航空戦力まで失った今、これ以上の損害を出せば、第2歩兵科旅団そのものの戦力が大きく低下する。


「このままでは……」


バービックは言葉を止めた。失敗を恐れているわけではない。旅団長として、戦闘で損害が出ること自体は理解している。しかし、今回の戦闘では、敵の防御線を崩す前にこちらの戦力が削られている。このまま同じ攻撃を繰り返せば、次に攻撃を仕掛けるための部隊そのものがなくなってしまう。


バービックは通信端末へ手を伸ばした。


『第2歩兵科旅団司令部です』


「前線歩兵の損害を確認しろ」


『了解しました』


通信を切った直後、別の通信が入った。


『第6歩兵科旅団司令部より通信です』


「繋げ」


通信が切り替わる。


『バービック上級大佐殿、こちらは第6歩兵科旅団だ』


通信の向こうから聞こえてきた声は、第6歩兵科旅団長、マット・ラッチョン陸軍准将のものだった。


「何だ?」


『”何だ“とはつれない返事だねぇ。一応、私の方が格上なんだがね』


「それで?」


『おっと、お詫びの言葉もないのかね。まったく君は、昔から……』


マット・ラッチョンは、軍学校の一期先輩にあたる。ただ、在学時のラッチョンは落ちこぼれだった。そのため、後輩であったバービックは、当時の彼を蔑んでいた。


ところが、軍学校を卒業した後のラッチョンは、水を得た魚のように躍動した。軍人として実績を積み重ね、気が付けば将官となり、旅団を預かる立場にまで上り詰めている。


かつて見下していた先輩が、今では自分より上の階級にいる。しかし、バービックはそのことについて何かを言うつもりはなかった。


「それで要件は何だ?」


『こちらも動くよ』


バービックは顔を上げた。


『敵は正面の戦力を増やしている。しかし、その一方で別の場所に明らかな弱点がある』


「……水陸機動団か」


『そうだ』


バービックは地図へ視線を落とした。


――水陸機動団


これまでの戦闘で、マコンベリムト軍の前に立ちはだかってきた部隊だ。マコンベリムト軍が本州を制圧できない理由は、この水機団がいたからと言っても過言ではない。


『あの部隊は、これまで我々の進撃を何度も妨害してきた。だが、現在は戦力が大きく低下している』


「そこを狙うつもりか」


『その通りだ』


通信の向こうから、迷いのない声が返ってくる。


『第6歩兵科旅団は、水機団を狙う』


バービックは黙った。


自分たちが正面から敵の防御を崩せずにいる一方で、第6歩兵科旅団は別の場所から敵の弱点を突こうとしている。


水機団が大きく損耗していることは、バービックも把握していた。そこへ新たな部隊を投入すれば、これまで帝国軍の進撃を阻んできた水機団に大きな打撃を与えられる可能性がある。


『こちらは準備が整い次第、出撃する』


「旅団長自らか?」


『ああ』


ラッチョンの返答に迷いはなかった。


『この戦場で、これ以上時間を無駄にするわけにはいかない』


通信が切れる。


バービックは、しばらく端末を見つめていた。焦りが消えたわけではない。むしろ、第6歩兵科旅団が動き始めたことで、戦場全体がさらに大きく動こうとしていることを感じていた。


「……こちらも、何か手を打たなければならんな」


バービックは地図へ視線を戻す。


第2歩兵科旅団には、すでに大きな損害が出ている。だからこそ、これ以上の失敗は許されない。


正面から攻撃を続けるのか。それとも、別の方法で敵の防御を崩すのか。バービックは地図を見つめながら、次の手を考え始めた。




一方、第6歩兵科旅団では、出撃準備が進められていた。


兵士たちが装備を確認し、各部隊が順番に移動を開始する。その中には、旅団長であるマット・ラッチョンの姿もあった。


狙うのは、戦力を失いながらも戦場に残り続けている水機団だ。ラッチョンは出撃する部隊を見渡した。これから向かう先では、すでに激しい戦闘が続いている。それでも、彼は自ら部隊とともに前へ出る。


第2歩兵科旅団が攻撃を続ける一方で、第6歩兵科旅団もまた、別の戦場へ向けて動き始めていた。

登場人物紹介

ジマーレ・バービック……ハイエルフの男性で、陸軍上級大佐。第2歩兵科旅団長

マット・ラッチョン……ゴブリンキングの男性で、陸軍准将。第6歩兵科旅団長


※ゴブリンキング……ゴブリン族は3段階に進化する種族で、その最上位がゴブリンキング。ゴブリン族の平均身長は170cm程度だが、ゴブリンキングになると180cmを超える個体が増える。体格面だけではなく、筋力や走力、知力等が向上する。尚、ラッチョンが軍学校の学生だった頃は、普通のゴブリンだった。

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ミリタリー SF ファンタジー 自衛隊 戦争
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