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外星戦記~異星人に家族を殺された少年は、自衛官になって復讐を誓う~  作者: 無名の凡夫
第3章 九州奪還へ

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第291話 崩れゆく姿勢

地下道に銃声が響いた。ガンジャとノアが反応するより早く、先頭にいたBJが銃を構えた。アイブルもほぼ同時に射撃を開始し、二人の帝国兵は反撃する間もなく倒れ込んだ。


「アイブル、奥を調べるぞ」


「了解です」


BJは倒れたガンジャたちを一瞥しただけで、すぐに地下道の奥へ視線を戻した。


ここまでに倒れているのは、工兵だけではない。地下からの奇襲を担当する部隊もすでに壊滅している。それでも、この先にまだ何かが残されている可能性はあった。


オデーも周囲を確認しながら、2人の後を追う。


「この先にも、何か仕掛けられているかもしれませんね」


「だから調べるんだ」


BJはそう答えると、地下道の奥へ歩き出した。




地上では、帝国軍の攻撃が続いていた。


帝国軍は依然として兵力で上回っており、各所で激しい銃撃戦が繰り返されている。だが、攻撃開始直後に比べれば、その勢いは明らかに鈍っていた。前進していた部隊の中には、小隊長を失ったことで動きが乱れているところもある。そこへGASTの各班がそれぞれの場所で攻撃を加え、帝国軍の進撃を食い止めていた。


その中でも、ピットブル班の存在は帝国軍にとって大きな誤算となっていた。


BJが班長として率いる班は、単に優秀な隊員を集めた部隊ではない。近接戦闘を得意とするBJ、シャーク、フロリアン、エルメス、ガーツ、カラーノが、それぞれ単独でも高い戦闘能力を持っている。


帝国軍はBJを危険人物として認識していた。しかし、それは裏を返せば、BJ個人を警戒することに意識が偏っていたともいえる。


その結果、ピットブル班そのものが、どれほどの戦闘力を持っているのかについては、十分に認識されていなかった。


帝国軍の前線では、また1人、小隊長が倒れた。


『こちら第98空挺降下中隊! 231小隊長、ゾフィ・レゴーロ少尉が負傷!』


通信を受けたアレスト・アンカー中尉は、険しい表情で前方を見つめた。


レゴーロの率いる部隊は敵陣へ食い込もうとしていた。しかし、前進するたびに激しい射撃を受け、隊列は徐々に崩れ始めている。


「レゴーロの位置は?」


『敵陣前方です。救援は困難です!』


アンカーは歯を食いしばった。その直後、別の通信が割り込んできた。


『231小隊より! レゴーロ小隊長、戦死! 他、被害多数!』


アンカーは言葉を失った。


同じ頃、エクウィアのもとにも、同じ報告が届いていた。


『エクウィア大隊長、231小隊長の戦死を確認しました』


「……分かった」


エクウィアは、目の前の戦場を見渡した。


帝国軍はまだ敵を圧迫している。だが、攻撃開始時と同じ勢いで前進できているわけではない。


小隊規模の部隊だけでなく、強襲支援中隊も損害を受けている。さらに、地下からの奇襲を担う工兵中隊とは連絡が取れないままだった。


そして、BJの姿も確認できていない。


エクウィアは、以前の戦闘で遠方から見たBJの姿を思い出した。


直接戦ったわけではない。それでも、戦場を駆けるBJの動きと、その周囲で敵兵が次々と倒れていく光景は、今も記憶に残っている。あの男が通常の兵士とは明らかに異なる戦闘力を持っていることは、十分に理解していた。だからこそ、BJが現在どこにいるのか分からないことが気掛かりだった。


『エクウィア少佐、ファーファンです』


「何だ?」


『こちらも部隊の損害が増えています。このまま攻撃を続けるのは困難です』


セドリック・ファーファン中尉の声にも、余裕はなかった。


エクウィアはしばらく黙っていた。


レゴーロの戦死によって、さらに一つの部隊が指揮官を失った。地下から敵陣を崩すはずだった部隊も沈黙している。このまま攻撃を続ければ、前線の損害がさらに拡大することは避けられない。


やがて、エクウィアは決断した。


「分かった。攻撃を中止する」


『了解しました』


「各中隊へ伝達しろ。現在位置を維持できる部隊は敵の追撃を警戒しながら後退する。無理に隊列を整える必要はない。まず敵との距離を取れ」


『了解』


通信が切れる。


エクウィアは、再び戦場へ目を向けた。


撤退は敗北を意味する。しかし、このまま攻撃を継続すれば、部隊そのものを失う可能性がある。今は退くべきだった。後退命令は、地上の帝国兵たちへ次々と伝えられていった。


それまで前進を続けていた兵士たちが、少しずつ動きを変えていく。負傷者を連れて後退する部隊もあれば、敵の射撃を抑えながら仲間を下げる部隊もある。前進のために形成されていた隊列は崩れ始め、それぞれの部隊が敵との距離を確保しながら後方へ移動していく。


GAST側から見ても、帝国軍の攻撃が弱まり始めたことは明らかだった。しかし、戦場には依然として一つの脅威が残っている。


帝国産小型戦車が、普通科部隊の陣地を狙って移動を続けていた。GASTが「ペ○パー君」と呼んでいる、速射型の小型戦車である。ピットブル班は帝国軍の歩兵を押し返しながらも、まだそれを止められていない。




一方、地下ではBJたちがさらに奥へ進んでいた。


進むにつれて、倒れている帝国兵の数は増えていった。それでも地下道は途切れることなく、さらに奥へ続いている。


しばらく進んだところで、アイブルが足を止めた。


「BJ班長」


「どうした?」


「この先、構造が変わっています」


アイブルは壁面を確認した。


「人工物も見られます。ここから先は、単なる地下通路じゃないですね」


BJは周囲を見回した。


敵はこの地下道を利用していた。地上への奇襲を仕掛けるためだけではない。ここには、まだ何かある。そう判断したBJは、さらに奥へ目を向けた。


「もう少し進むぞ」


「了解」


3人は銃を構え直した。


地上では帝国軍が後退を始めている。しかし、戦闘はまだ終わっていなかった。

登場人物紹介

BJ……GASTピットブル班の班長。圧倒的な戦闘能力を有す

アイブル……GASTリッチ班の副班長。偶然、敵の地下道を見つけた

オデー……GASTアイアン班の隊員。罠の解析・解除のため、BJに同行した

ノミ―・エクウィア……天使族男性で、陸軍少佐。第25空挺降下大隊長

アレスト・アンカー……天使族男性で、陸軍中尉。第98空挺降下中隊長

セドリック・ファーファン……天使族男性で、陸軍中尉。第96空挺降下中隊長

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ミリタリー SF ファンタジー 自衛隊 戦争
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