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外星戦記~異星人に家族を殺された少年は、自衛官になって復讐を誓う~  作者: 無名の凡夫
第3章 九州奪還へ

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第289話 迷い

BJは、斬首した敵兵の遺体をその辺に蹴とばした。


その傍らでは、同行していたアイアン班のオデーが、地下に仕掛けられていた罠の解析を始めている。


「よく、ここを見つけたな」


BJは、アイブルに語りかけた。


「見つけたのは偶然なんですけどね。敵も入って行ってましたし、何かあるだろうと。しかし、中を調べろと言ったのは、ネイマン班長ですけどね」


アイブルはそう答えた。


地下に続く入口を発見したのは、あくまで偶然だった。だが、敵が実際にこの場所へ出入りしていたことから、何か仕掛けられている可能性を考えたのだろう。もっとも、地下を1人で調べるのは無理がある。アイブルは協力を要請し、BJがアイアン班からオデーを連れてきた。


しばらくして、オデーから報告が入る。


「BJ班長、これは爆弾ですね。小型なので、爆発範囲は半径30m程という所でしょうか」


「これは一体……」


アイブルは、目の前に仕掛けられた爆薬を見つめながら訝った。一方、BJはその意図を理解したようだった。


「爆破させて地下から奇襲するんだろう。モグラが何匹かいたからな」


地下へ潜り、爆薬を使って地上へ穴を開ける。地上の部隊と地下からの部隊、さらに空からの部隊によって敵を挟み撃ちにする。そういう作戦なのだろう。


「オデー、起爆装置を解除しろ。」


「了解」


オデーは起爆装置の解除に取り掛かった。


BJは周囲を見回す。ここに仕掛けられているのは、この一つだけではないだろう。


「こんな罠をいくつも仕掛けてるんだろう。まずは、罠の解除。そして、地下に潜む害虫共を駆除する。」


「了解」


3人は、地下道の奥へ進んでいった。




エクウィアは、戦場を見渡しながら考え込んでいた。


地上では帝国軍の攻勢が続いている。歩兵科部隊が正面から敵陣へ迫り、有翼種も上空から降下して敵の防御を圧迫していた。各所で激しい銃撃戦が発生しているものの、帝国軍は数の優位を生かして少しずつ前進している。それだけを見れば、作戦は順調だった。しかし、エクウィアには気掛かりなことがあった。


BJが見つからない。


地上にいるのか、それとも別の場所へ移動したのか。少なくとも、現在確認できている戦闘区域には姿がない。


地下から奇襲を仕掛けるべきかどうか。それがエクウィアを悩ませていた。


地下部隊を動かせば、地上の攻撃と合わせて敵陣を内側から崩せる可能性がある。だが、BJの位置を把握できていない状況で地下部隊を進ませれば、逆に待ち伏せを受ける危険もあった。


以前の戦闘で、エクウィアはBJの強さを知っている。ただの敵兵として扱うことはできない。エクウィアは、判断を決めかねていた。




カラーノです。私達は、建物を利用しながら敵の歩兵を迎え撃っていましたが、敵は数を頼みにして少しずつ前へ出てきます。こちらが一つの部隊を迎えれば、その隙を別の部隊が利用して距離を詰めてくるため、簡単に前へ出られません。


私は建物の角から身を出し、正面の敵を確認しました。何人かの帝国兵が道路を横切っています。その後ろには、少し離れた場所から部下へ指示を出している兵士がいました。


周囲の兵士とは動きが違います。自分で前へ出るのではなく、身振りを交えながら周囲の兵士へ指示を送っています。部隊を動かしている人物だと判断した私は、銃を構えました。


狙いを定めている間にも、敵兵がこちらへ向かってきます。私は一度身を隠し、敵の射撃が途切れるのを待ちました。銃声が止んだ瞬間、再び身体を出します。先ほどの兵士は、まだ同じ場所にいました。


私は引き金を引きます。銃弾が敵兵の身体を捉え、その場に倒れました。周囲にいた敵兵が一斉に動きを止めます。


私はすぐに身を隠しました。


敵は動揺していました。倒したのは指揮官だったのでしょうか。別の兵士が声を上げながら周囲へ指示を出し始めます。


敵は動揺していました。


私は、倒れた敵兵の周囲で兵士たちが身を隠し、互いに声を掛け合っているのを見ました。誰かが前へ出ようとしていましたが、すぐに別の兵士がそれを制止しています。私はその様子を確認しながら、次の敵を探しました。


すると、右手の建物の陰から別の敵兵が飛び出してきました。私は銃口を向けましたが、相手もこちらに気付いたらしく、すぐに銃を構えます。


先に撃ったのは私でした。敵兵が倒れ、周囲の帝国兵が建物の陰へ身を隠します。


「カラーノちゃん、左!」


フロリアンさんの声が飛んできました。私は反射的に左へ銃口を向けました。道路の向こうから敵兵がこちらへ迫っています。私はその動きを追いながら射撃し、敵兵を足止めしました。


「こっちは任せて!」


シャークさんが前へ出ます。


その先には、数人の帝国兵がまとまっていました。その中の1人が周囲へ指示を出しながら、部下を前進させようとしています。


シャークさんは建物の陰に身を隠したまま、敵の射線を確認しました。


「エルメス、右を頼む!」


「OK!」


エルメスさんが別の方向から射撃を始めると、敵兵がそちらへ意識を向けます。


その隙にシャークさんが身を出しました。銃声が響き、前へ出ようとしていた敵兵の1人が倒れます。周囲の帝国兵が慌てて遮蔽物へ身を隠しました。


シャークさんはすぐに身を戻します。


「数が多いな……」


シャークさんが呟きました。




その頃、エクウィアの元に通信が入った。


『ニノッチ小隊長、戦死!』


『イックス小隊長、戦死!』


立て続けに届いた2つの報告に、前線の帝国兵たちにも動揺が広がっていく。エクウィアは、その報告を聞いて険しい表情を浮かべた。


2人の小隊長が戦死した。しかも、それぞれ別の場所で倒されている。エクウィアは地上の戦況を見渡した。


帝国軍が押していることに変わりはない。だが、先ほどまで各所で保たれていた部隊の動きに乱れが生じ始めていた。その間にも、敵の射撃は続いていた。


(このままでは、地上の部隊だけでも時間をかけすぎる)


地下から奇襲を仕掛ければ、戦況を一気に動かせる可能性がある。しかし、BJの所在はいまだに分からない。


(どうする…どうすれば…)


エクウィアが決断を下せずにいる間にも、前線から新たな報告が入った。


『敵の射撃による損害が増加しています!』


エクウィアは舌打ちした。


小隊長の2人を失い、BJの所在も掴めない。このままでは、どちらへ動いても危険がある。それでも、いつまでも部隊を待機させておくわけにはいかなかった。

登場人物紹介

BJ……GASTピットブル班の班長

アイブル……GASTリッチ班の副班長。偶然、敵が掘った地下の入口を見つける

オデー……GASTアイアン班所属。BJに連れられて地下へ向かう

カラーノ……GASTピットブル班所属で、本作のヒロイン

シャーク……GASTピットブル班の副班長

エルメス……GASTピットブル班所属。アメリカ人とのハーフ。父は元米海軍

ノミ―・エクウィア……第25空挺降下大隊長


ニノッチ小隊長……フェリックス・ニノッチ。天使族男性の少尉で、第228空挺降下小隊長

イックス小隊長……ロイド・イックス……天使族男性の少尉で、第229空挺降下小隊長

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ミリタリー SF ファンタジー 自衛隊 戦争
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