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外星戦記~異星人に家族を殺された少年は、自衛官になって復讐を誓う~  作者: 無名の凡夫
第3章 九州奪還へ

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第288話 危険人物

私たちは帝国産小型(自走砲)戦車への攻撃を中断し、迫ってくる有翼種への対処を優先しました。


上空から急降下してきた敵は、着地する前から銃を構えています。こちらが狙いを定めるよりも早く、複数の銃口が火を噴きました。


「伏せて!」


シャークさんの声に従い、私は身を低くしました。頭上を銃弾が通過し、背後の建物の壁に細かな破片が跳ねます。


フロリアンさんは遮蔽物の陰から身を乗り出すと、こちらへ向かってくる敵の1人に射撃を加えました。敵は空中で姿勢を崩し、そのまま道路脇へ落下します。


「カラーノちゃん、右よ!」


「はい!」


右手から別の有翼種が迫っていました。


私は銃口を向け、敵が地面へ降りる前に射撃します。相手は翼を大きく動かして弾道をかわそうとしましたが、完全には避けきれず、片方の翼を撃ち抜かれて道路へ転がりました。


その隙に、シャークさんが前へ出ます。


「エルメス、後ろを頼む!」


「OK!」


シャークさんが近付いてきた敵を撃ち、エルメスさんは別の方向から回り込もうとしていた敵へ銃弾を浴びせました。私たちの周囲へ降下してきた有翼種は、地上へ到達する前から数を減らしていきます。


それでも、敵の降下は止まりません。少し離れた道路上にも、次々と有翼種が降り立っていました。彼らは着地すると同時に散開し、地上の歩兵と合流することなく、独自にこちらの防御陣地へ向かってきます。


「また来るわよ!」


フロリアンさんが叫びました。


視線を上げると、さらに上空から複数の影が降下してきます。イーグル班とコンドル班の対空射撃が続いているものの、敵の数が多すぎました。撃ち落とされる者がいる一方で、射撃の間隙を抜けて地上へ到達する者も少なくありません。


その間にも、地上の歩兵は前進を続けています。私たちが有翼種への対応に追われているため、正面の敵歩兵へ向ける射撃はどうしても減っていました。道路の向こうでは、敵が遮蔽物を利用しながら少しずつ距離を詰めています。


「このままだと、普通科の陣地が持たないわね」


フロリアンさんが敵を撃ちながら呟きました。


「帝国産小型(自走砲)戦車も、まだ動いています」


私が答えると、エルメスさんが建物の向こうへ視線を向けます。


「あれを止めるには、まず空から来る連中を片付けないといけない。挟まれたら動けなくなるよ」


その言葉どおり、私たちが帝国産小型(自走砲)戦車へ向かおうとするたびに、別方向から敵が現れました。


敵は、こちらの動きを見ているようでした。


正面から歩兵を押し込ませ、空から有翼種を送り込み、その間に帝国産小型(自走砲)戦車を別の場所へ移動させる。こちらが帝国産小型(自走砲)戦車を狙えば空から攻撃を仕掛け、空挺部隊へ対応すれば地上の歩兵が距離を詰めてくる。単純な物量だけではありません。


複数の部隊が互いの攻撃を利用しながら、こちらの防御を少しずつ削っていました。


「カラーノ、あの建物の陰まで移動するよ!」


シャークさんが指したのは、道路沿いに建つ低い建物でした。そこまで進めば、帝国産小型(自走砲)戦車が移動している道路を側面から見ることができます。


「分かりました!」


私たちは、降下してきた敵を牽制しながら移動を始めました。


先頭を進むフロリアンさんが射撃を加え、敵の動きを抑えます。シャークさんは左右を警戒し、私はその後ろから敵の姿を探しました。しかし、建物の角へ差しかかったところで、銃弾が壁を削りました。


「敵がいる!」


エルメスさんが叫び、私たちは足を止めます。


建物の反対側から、敵の歩兵が姿を現していました。こちらが移動することを予測していたのか、数人が道路脇に身を伏せ、建物の陰から射撃を続けています。


「先にこっちを片付ける!」


シャークさんが身を乗り出しました。フロリアンさんも続いて前へ出ます。2人の射撃によって敵の動きが止まり、その隙にエルメスさんが別の角度から銃弾を送り込みました。


私は敵の1人がこちらへ向けて銃を構えるのを見つけ、反射的に引き金を引きます。敵兵はその場に倒れました。しかし、別の敵兵が建物の陰から現れ、こちらへ向かってきます。私は銃を向け直しましたが、その前にフロリアンさんが敵の前へ出ました。


「どきなさいな!」


フロリアンさんの射撃を受け、敵兵が後退します。シャークさんがそこへ追撃を加え、敵は道路脇へ崩れ落ちました。周囲の敵を退けた私たちは、ようやく建物の陰へ入り込みます。


その直後、遠くから乾いた連射音が響きました。


「また…」


帝国産小型(自走砲)戦車です。


建物の向こう側で、帝国産小型(自走砲)戦車が再び砲撃を始めていました。連続する発射音に続き、道路の先で爆発が起こります。土煙の向こうから、普通科隊員の悲鳴が聞こえます。


「また撃ち始めたわね」


フロリアンさんが顔をしかめます。


「このままでは、あれを止める前に陣地が崩されます」


私が言うと、シャークさんは帝国産小型(自走砲)戦車の位置を確認しながら答えました。


「だからこそ、急ぐ必要がある。あれを撃ち続けさせたら、こっちが動く場所までなくなるよ」


私たちは建物の陰から出ようとしました。


そのとき、上空から大きな影が差し込みました。


「来るわよ!」


フロリアンさんが叫びます。


有翼種が1人、建物の屋上からこちらへ飛び降りてきました。銃を構えたまま急降下しています。


シャークさんが銃口を向けましたが、敵は空中で身体をひねり、射線から外れました。そのまま建物の壁を蹴り、私たちの目の前へ着地します。敵は間髪を入れず、こちらへ斬りかかってきました。私は身を引き、攻撃をかわします。刃が目の前を通過し、建物の壁に深い傷を残しました。


「カラーノちゃん、下がって!」


フロリアンさんが割って入り、敵の攻撃を受け止めます。有翼種は翼を広げて距離を取ろうとしましたが、フロリアンさんは逃がしませんでした。敵が再び飛び上がる前に銃撃を加え、相手の動きを封じます。


シャークさんとエルメスさんも射撃を加え、敵はその場に倒れました。


けれど、戦闘が終わったわけではありません。建物の向こうでは、別の銃声が響いています。地上の歩兵がこちらへ接近し、上空からはさらに有翼種が降下していました。


「急ぎましょう!」


私は叫びました。私たちは再び移動を始めます。


帝国産小型(自走砲)戦車を止めなければなりません。普通科部隊が敵の歩兵を食い止めている間に、あの車両を破壊しなければ、こちらの防御線は少しずつ押し込まれてしまいます。


しかし、敵はそれを許そうとはしませんでした。私たちが前へ進むたびに、別の部隊が行く手を塞ぎます。敵の歩兵は正面から撃ち合い、有翼種は上空から急襲を仕掛け、自走砲はその隙を突いて位置を変えていきます。


前方では、戦線全体が押し合うように動いていました。私たちが一歩進めば、敵も別の場所から一歩前へ出てきます。このままでは、戦場そのものが敵の数に押し潰されてしまいそうでした。


   


ノミ―・エクウィア少佐は、部隊の進出状況を確認しながら、地上の戦況を見下ろしていた。


帝国軍は予定どおり前進している。正面の歩兵部隊は自衛隊の防御陣地へ圧力をかけ、各所へ投入された空挺降下部隊も地上へ展開していた。第96空挺降下中隊に続き、97と98の空挺降下中隊も、それぞれの担当区域へ進出している。


戦線は広がっていた。その広がりこそ、エクウィアが求めていたものだった。


敵が1ヶ所へ戦力を集中させれば、別の方向から圧力をかける。自衛隊が一つの部隊を押し返そうとすれば、別の部隊が側面から入り込む。そうして敵の防御を分散させ、戦場のどこかに生じる隙を探す。


今回の作戦は、単純な正面攻撃ではない。ただし、門司の防御線を突破することだけが条件ではなかった。


それは、BJを討つこと。


以前の戦闘で、あの男に痛い目にあった。ラリグアン少将も脅威と認め、作戦の一つにBJ討伐を取り入れた。


(BJ(奴)とて万能ではない。圧倒的物量を地・空で連携すれば討てる)


エクウィアには勝算があった。だが、肝心のBJの姿が見当たらない。


(BJ(奴)がいない? もう討ったのか? いや、それなら報告が上がるはず)


……


(どうやら、怖気づいて隠れているようだな)


エクウィアはそう皮肉りながら、視線を戦場から外さなかった。勿論、BJがそんな臆病だとは思っていない。


BJが簡単に姿を現すとも思っていない。あれほどの戦闘能力を持つ相手なら、自分が狙われていることくらい理解しているはずだ。


「97、98中隊に伝えろ。捜索範囲を広げろ。地上部隊との連携も継続させるんだ」


『了解』


「見つけ出すまで続けろ」


エクウィアは短く命じた。




オイラは、タイコブ・セギュノー、ホビット族さ。オイラは今、地下にいる。敵に罠を仕掛ける為に奮闘中ってやつさ!


ホビット族は小柄でよく、「チビ」ってバカにされるけど、狭い所にも難なく入れるオイラ達なら、細かい罠も仕掛けれるってわけ。


腕力では敵わなくても、オイラはオイラに出来ることをやって、武功を上げてやるんだ!


「中隊長! こちらセギュノー上等兵であります。仕掛けが完了しましたので、ご報告いたします。」


『ご苦労、次の場所を送る。次はそこへ向かえ』


「了解しました」


中隊長に言われた場所は……25空挺降下大隊が戦っている場所だな。いよいよあの作戦を決行するってわけか。よし、オイラ頑張るぞ!


よし、所定の場所へ着いた。早速、罠を仕掛け…ん? 人影が。ここはオイラしかいないはず。一体誰が?




セギュノーは、この人影の正体を知ることはなかった。振り返る前に、その人影に首を切り落とされていたからだ。

登場人物紹介

カラーノ……GASTピットブル班所属で、本作のヒロイン

シャーク……GASTピットブル班の副班長

フロリアン……GASTピットブル班所属で、大柄な筋骨隆々の身体をしているオネェ

エルメス……GASTピットブル班所属。アメリカ人とのハーフで、父は元米海軍

ノミ―・エクウィア……マコンベリムト北部方面軍・第2歩兵科旅団隷下の第25空挺降下大隊長

タイコブ・セギュノー……ホビット族の男性で、陸軍上等兵。第2歩兵科旅団・工兵中隊所属。何者かに斬首されてしまう


グーリエ星人にいる種族

ホビット族……小柄な体躯をしている種族で、成人でも120cm程しかない。基本的に非力だが、俊敏性がある。

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ミリタリー SF ファンタジー 自衛隊 戦争
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