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外星戦記~異星人に家族を殺された少年は、自衛官になって復讐を誓う~  作者: 無名の凡夫
第3章 九州奪還へ

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第287話 門司防衛線

カラーノです。


筑紫野方面に配備されていた敵の大軍が攻めてきました。私達から攻めることが出来なかったのは痛恨の極みですが、今更嘆いても仕方ありません。まずは、この敵を迎え撃たなければなりません。


門司の前方には、すでに自衛隊の普通科部隊が展開しています。


ただ、今回は大分方面での戦闘が続いているため、十分な火力支援を受けることができません。砲兵や迫撃砲による支援がほとんど期待できない以上、前線の部隊だけで敵の進撃を止める必要があります。


「あれは……」


エルメスさんが指す方向を私も見ます。何度か見た事のある兵器です。自走式の速射砲でしょうか。


「帝国産小型(ペ○パー君)戦車ね。あれは厄介よ」


フロリアンさんが呟きます。


ペッ○ー君?


私は何を言っているのかは分かりませんでしたが、厄介な兵器であることは間違いありません。そして、そのペッパ○君は、前線の普通科部隊に猛威を振るいます。


最初に狙われたのは、道路沿いに陣地を構えていた第7普通科連隊の4中隊でした。


「来るぞ!」


陣地の前方から銃声が響き、敵の歩兵が次々と姿を現します。


隊員たちは遮蔽物に身を隠しながら応戦していましたが、その後方から帝国産小型戦車(速射型自走砲)が姿を現しました。


「あれを先に止めろ!」


7普連の隊員が叫びます。


しかし、帝国産小型戦車(速射型自走砲)は歩兵の陰に隠れるようにして前進していました。敵歩兵が盾になるような位置を選びながら、こちらとの距離を詰めてきます。


砲身が動きました。次の瞬間、猛烈な速射が陣地へ叩き込まれます。着弾と同時に土砂が舞い上がり、遮蔽物の一部が吹き飛びました。


「くそっ!」


前方の隊員達が身を伏せます。


「撃ち返せ!」


小銃や機関銃による射撃が集中しますが、帝国産小型戦車(速射型自走砲)は小型の車体を生かして道路脇へ入り込みます。普通の戦車なら入り込むことが難しいような場所へ進入すると、そのまま建物や地形を利用して姿を隠しました。


「また動いたぞ!」


「見失うな!」


敵歩兵が前進する間に、帝国産小型戦車(速射型自走砲)は別の位置へ移動していきます。そして再び砲撃を始めました。自衛隊の陣地がまた揺れます。私はその光景を見ながら、思わず息を呑みました。


「ぐわああああ!」


7普連4中隊員の悲鳴が聞こえます。いきなり、甚大な被害が出たようです。


(やっぱり、あれは厄介だ)


ただの小型車両ではありません。こちらの防御陣地へ近付き、歩兵を支援しながら火力を叩き込んできます。しかも、こちらには十分な砲兵火力がありません。


帝国産小型戦車(速射型自走砲)を遠距離からまとめて叩くことが難しいため、普通科部隊は自分たちの火器だけで対処しなければなりません。


『こちら36普連2中隊。敵歩兵、前進を続けています! 戦闘車両も確認!』


無線が入ります。


『3中隊も同様! 敵の数が多すぎます!』


続けて別の通信が入りました。


『37普連、各中隊とも交戦中!』


次々と報告が入ります。


門司の前方一帯で、戦闘が始まっていました。


「敵、増員!」


エルメスさんが前方を見ながら叫びます。


私は視線を向けました。


確かに、敵は増えています。先ほどまで見えていた兵士の後ろから、さらに別の部隊が姿を現していました。その中には、通常の歩兵とは装備の異なる兵士もいます。


「空挺部隊!」


私が叫ぶと、フロリアンさんが敵の動きを確認しました。


「また来たのね。有翼種はパラシュート要らずでいいわね。」


「そんな事を言ってる場合じゃ…」


私は、思わず突っ込んでしまいましたが、まだ余裕があるという事でしょうか。


フロリアンさんは、前方へ銃口を向けました。


「そうね。でも、あの子たちを放っておくわけにもいかないわ」


その直後、上空から風を切る音が聞こえてきました。見上げると、何人もの有翼種がこちらへ向かって降下しています。地上の歩兵が正面から圧力をかけている間に、空から別の部隊を送り込んでくるつもりです。


「来ます!」


私が叫ぶと、シャークさんがすぐに姿勢を低くしました。


「カラーノ、撃てる?」


「はい!」


私は上空の敵へ照準を合わせます。


その瞬間、別の方向から機関銃の射撃が響きました。イーグル班とコンドル班が対空射撃を始めたのです。空挺部隊は散開しながら降下していきますが、その動きは地上部隊よりもはるかに速く、こちらの防御陣地へ接近してきます。


「数が多い!」


エルメスさんが叫びました。


対空射撃をかわした敵の一部が、道路脇へ着地します。そこから先は、地上の歩兵と同じように前進してくると思っていました。


しかし、違いました。着地した有翼種は、そのままこちらへ突っ込んできます。


「来るわよ!」


フロリアンさんが叫び、私も銃を構え直しました。


数人の敵が一気に距離を詰めてきます。私は引き金を引きました。銃弾が敵の身体を捉え、そのうちの1人が勢いを失って地面へ倒れます。しかし、後ろから続いていた別の敵が、そのままこちらへ迫ってきました。


「近い!」


私は後退しようとしました。その前に、フロリアンさんが動きました。


「下がってなさい!」


フロリアンさんが敵の攻撃をかわし、至近距離から反撃します。敵が体勢を崩したところへシャークさん、エルメスさんさんも射撃を加え、ようやく地面へ倒れました。


けれど、戦線全体を見れば、こちらが押し返しているわけではありません。道路の向こうでは敵の歩兵が前進を続けています。その後方では、あの小型の速射型自走砲(帝国産小型戦車)が再び移動していました。


「また、あれが動いています!」


私が叫ぶと、シャークさんがそちらへ視線を向けました。


「こっちへ来るよ!」


小型の車体が道路脇へ入り込み、建物の陰から姿を消します。次に現れたときには、先程とは違う方向を向いていました。砲身がこちらへ向きます。


「伏せて!」


フロリアンさんの声とほぼ同時に、猛烈な射撃が始まりました。


陣地の前方で爆発が連続し、土砂が一気に吹き上がります。自衛隊員が遮蔽物へ身を寄せ、その間にも敵の歩兵が距離を詰めてきました。このままでは、防御線が削られてしまいます。


「フロリアンさん!」


「分かってるわ!」


フロリアンさんが無線機へ手を伸ばします。


『ピットブルより各班。○ッパー君が前線を支援しているわ。普通科部隊だけでは厳しいわよ』


少し間を置いて、無線から返事がありました。


『こちらタイガー。確認した。こっちも敵歩兵を相手にしている』


教授班長の声でした。


その直後、別の通信が入ります。


『リッチ。敵の後方を確認している。前線への増援が続いている』


ネイマン班長です。


敵は前線だけで戦っているわけではありません。こちらが一つの部隊を押し返しても、その後ろから次の部隊が出てきます。その光景を見ていると、胸の奥が重くなってきます。


(本当に、数が多い……)


これまでの戦闘とは違いました。敵を一つずつ倒していけばいいという状況ではありません。こちらが敵を倒している間にも、その後ろから新しい敵が現れます。しかも、敵には空から攻撃してくる部隊までいるのです。


「カラーノちゃん!」


フロリアンさんに呼ばれ、私は振り向きました。


「はい」


「あたしたちは、帝国産小型(ペ○パー君)戦車を止めるわよ!」


私は帝国産小型戦車(速射型自走砲)を見ました。


「私たちだけで、ですか?」


「ええ。あれを放っておいたら、普通科の子たちが持たないわ」


エルメスさんも頷きました。


「正面から近付くのは危険だよ。あれの射線を避けながら移動する」


「分かりました」


私は銃を握り直しました。そのとき、別の方向から銃声が響きました。敵の歩兵が、こちらの位置へ向けて射撃を始めています。


「先にこっちを片付ける!」


シャークさんが叫びます。私たちは遮蔽物を使いながら応戦しました。敵の数は多いですが、GASTの隊員が普通の歩兵と同じように撃ち合う必要はありません。


フロリアンさんが敵の射撃の隙を見つけて前へ出ます。大柄な身体が頼もしく見えます。私もその後を追いました。


距離が縮まるにつれ、敵兵の姿がはっきりと見えてきます。こちらへ向けて銃を構えた敵兵の1人が、私へ照準を合わせました。私は反射的に身を低くします。銃弾が頭上を通過しました。その直後、フロリアンさんの射撃が敵を倒します。


「止まらないで!」


「はい!」


私たちはそのまま前進しました。敵歩兵の間に入り込み、近距離から攻撃を加えていきます。正面から押し寄せていた敵の列が、そこで初めて崩れました。けれど、その向こうにはまだ敵がいます。そして、さらに遠くには、帝国産小型戦車(速射型自走砲)が見えていました。


「いた!」


エルメスさんが叫びます。


車両は別の道路へ移動しようとしていました。


「逃がさないわよ!」


フロリアンさんが銃を構えます。私も照準を合わせました。


しかし、その瞬間でした。上空から敵の姿が落ちてきます。


「また空挺部隊!」


私は慌てて銃口を上へ向けました。有翼種がこちらへ急降下してきます。その後方には、さらに別の敵が続いていました。


フロリアンさんが舌打ちします。


「もう、次から次へと……!」


空から迫る敵を迎撃するため、私たちは一度、自走砲への攻撃を中断せざるを得ませんでした。その間にも、敵の歩兵は前進を続けています。そして、その戦線の至るところで、同じような戦闘が始まっていました。

登場人物紹介

カラーノ……GASTピットブル班所属で、本作のヒロイン

フロリアン……GASTピットブル班所属で、大柄で筋骨隆々のオネェ

シャーク……GASTピットブル班の副班長

エルメス……GASTピットブル班所属で、アメリカ人とのハーフ


※ペッ○ー君→「第84話 強さの片鱗」参照

https://ncode.syosetu.com/n6005ma/84/

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ミリタリー SF ファンタジー 自衛隊 戦争
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