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外星戦記~異星人に家族を殺された少年は、自衛官になって復讐を誓う~  作者: 無名の凡夫
第3章 九州奪還へ

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第284話 残された戦場

GASTが地下へ潜入してから、しばらくが経っていた。


陽動部隊の陣地には、砲撃によって崩れた土砂や破壊された掩体が残っている。隊員たちはその中で身を低くしながら、前方から迫る帝国軍を迎え撃っていた。


「先頭車両、来ます!」


竹下(たけした) 泰端(たいたん)一等陸尉が報告した。大隊長の浪城 激は双眼鏡を上げた。


山間の道路を、帝国軍の戦闘車両が進んでくる。その後ろには歩兵が続いていた。


「対戦車小隊、準備」


浪城の指示に、無線から小隊長の前田(まえだ) 繋義(つなぎ)二等陸尉の声が返ってきた。


『準備できています』


「まだ撃つな」


『了解』


浪城は車両を見据えた。


道路の左右には斜面が迫っている。帝国軍の車両は大きく横へ展開できず、狭い道路をそのまま前進するしかない。


車両の砲塔が動いた。


「来るぞ」


浪城が言った直後、砲声が響いた。砲弾が陣地前へ着弾し、土砂が吹き上がる。


「伏せろ!」


隊員たちが身を伏せる。


続けて車載機関砲が火を噴いた。弾丸が陣地を横切り、土嚢を削っていく。射撃姿勢を取っていた隊員が身を引いた。


『機関銃陣地、撃てません!』


前線から報告が入った。


浪城は前方を見た。


敵車両は撃ちながら近づいている。その陰から歩兵も少しずつ前へ出てきていた。


「歩兵が車両の後ろに入ってます!」


竹下が叫ぶ。


「まだ撃つな」


「ですが、このままだと……」


「分かっている」


浪城は車両を見据えた。


車両が前へ出るほど、陣地への射撃は激しくなる。その間に後ろの歩兵が距離を詰めれば、車両を相手にしている隊員の前へ帝国兵まで押し寄せてくる。


対戦車小隊の射撃位置も、すでに敵の砲塔から狙われ始めている。


浪城は待った。


敵車両がさらに近づく。砲塔が再び動いた。今度は対戦車火器の射撃地点を探している。浪城はその動きを見て、命令した。


「今だ」


01式軽対戦車(軽MAT)誘導弾が発射された。弾頭が車両の前方で爆発し、車体が大きく揺れた。


「命中!」


「まだ動いています!」


「次!」


別の射撃地点から発射された弾頭が、車体側面付近で爆発した。


車両が大きく進路を乱す。しかし、止まらない。砲塔が回った。


「撃ってくる!」


竹下が叫んだ。


直後、敵車両が発砲した。砲弾が陣地のすぐ前で炸裂し、爆風が隊員たちを叩く。


「被害!」


「数名負傷! 戦闘継続できます!」


浪城はすぐに前方を確認した。


車両は速度を落としている。それでも、まだ動いている。そして、その後ろの歩兵がさらに前へ出てきていた。


「対戦車小隊!」


『こちらです!』


「撃て!」


再び発射音が響いた。弾頭が車体側面へ命中し、爆炎が上がる。車両が大きく傾いた。ようやく、その動きが止まった。


「止まりました!」


浪城は車両から目を離さなかった。


「歩兵が、車両の陰から出てくるぞ!」


停止した車体の後ろから、帝国兵が一斉に飛び出した。彼らは車両を盾にして道路脇へ散開し、斜面や樹木へ身を隠す。


「撃て!」


射撃が集中した。帝国兵が倒れ、残った兵士たちが遮蔽物へ飛び込む。だが、停止した車両から再び砲声が響いた。砲弾が陣地を叩く。


「まだ撃てるのか!」


竹下が声を上げる。


「あれを放っておくな!」


浪城が無線へ呼びかけた。


「対戦車小隊、位置を変えながら狙え!」


『了解!』


対戦車小隊が移動する。その間にも帝国歩兵が前へ出てくる。


空挺団は射撃を続けた。負傷者が運ばれている。弾薬も減っている。陣地の一部はすでに使えなくなっていた。そこへ、第7普通科連隊第1中隊長の園(その) 佳行(よしゆき)一等陸尉がやってきた。


「浪城二佐」


「何だ?」


「そろそろ、次の動きを考えた方がいいと思います」


浪城は前方を見た。


「そうだな」


現在の戦闘を終えたとしても、ここから後方へ逃げられるわけではない。


門司では別の部隊が戦闘を続けている。この陽動部隊には、そこを抜けて撤退するような退路は用意されていなかった。


GASTが地下へ潜入したことも、まだ現時点では最終的な成功として確認されたわけではない。予定では、GASTから報告が入れば、その内容を受けて次の援護へ移ることになっている。


それまでは、この場所で帝国軍を食い止め続けるしかない。浪城がそう考えていた時、竹下が前方を指差した。


「二佐……あれは」


停止した車両のさらに後方から、新たな戦闘車両が姿を現した。その後ろに歩兵がいる。


浪城は双眼鏡を上げた。道路の向こうから、2両目の車両が近づいてくる。先ほど停止させた車両を迂回することもできないのか、後続の車両も道路上をそのまま進んでくる。


「まだ来るか」


浪城が呟いた。


竹下は双眼鏡を覗きながら答える。


「その後ろにもいます」


浪城は前方を見た。


確先頭車両を止めたことで生まれたわずかな時間も、長くは続かない。


浪城は無線機を握った。


「対戦車小隊、次の車両を狙え」


『了解』


「撃ったら、すぐ位置を変えろ」


『了解しました』


浪城は竹下へ向き直った。


「各中隊、今の位置を維持させろ。GASTからの報告が入るまでは、ここを抜かせない」


「了解」


竹下が前線へ伝達する。浪城は再び前方を見た。


GASTはすでに兵站拠点に潜入している。


自分たちが敵を引きつけた目的も、そこにあった。だが、その先で何が起きているのかは、まだ分からない。だからこそ、ここを維持する必要がある。


GASTから報告が入れば、陽動部隊も次の行動へ移ることができる。それまで、帝国軍を止め続けなければならない。


浪城は対戦車小隊の射撃を待った。帝国軍の2両目の戦闘車両が、狭い道路を進んでくる。その後ろには、さらに歩兵が続いていた。

登場人物紹介

浪城(なみしろ) 激(げき)……第1空挺団第2普通科大隊長

竹下(たけした) 泰端(たいたん)…… 同所属の一等陸尉


前田(まえだ) 繋義(つなぎ)

生年月日:1984年11月14日 / 出身:千葉県

階級:二等陸尉 / 第1空挺団第2普通科大隊の対戦車小隊長


園(その) 佳行(よしゆき)

生年月日:1985年3月15日 / 出身:青森県

階級:一等陸尉 / 第7普通科連隊第1中隊長

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ミリタリー SF ファンタジー 自衛隊 戦争
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