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外星戦記~異星人に家族を殺された少年は、自衛官になって復讐を誓う~  作者: 無名の凡夫
第3章 九州奪還へ

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第270話 狩人の目

砲撃が止んだあとも、山間部には土煙が残っていた。


アマゾネス班とアルバトロス班の間に撃ち込まれた砲弾によって斜面の一部が崩れ、折れた木々が視界を遮っている。先ほどまで互いの位置を確認できていた2つの班は、いまや地形の変化によって容易には姿を捉えられなくなっていた。


ビービは伏せた姿勢を崩さないまま無線端末へ手を伸ばした。


「アルバトロス班、聞こえる?」


『聞こえています』


返答したのはクラウスレイだった。


『全員無事です。ただ、先ほどの砲撃で進路が塞がれました』


「こちらも同じ。予定どおり北西へ向かう」


『了解』


通信を切ったビービは、前方の斜面へ視線を戻した。


敵の姿は見えなかったが、撤退したわけではない。先ほどまで射撃を続けていた帝国兵は、砲撃が始まった途端に姿を消している。追撃してくる気配もなく、砲撃によってこちらの態勢が崩れたところへ歩兵を突入させる様子もなかった。


普通なら、ここは攻撃を継続する好機のはずだった。しかし、敵は動かなかった。


ビービはその理由を考えながら、スライスへ視線を向ける。


「スライス」


「はい」


「敵はいないと思う?」


「……思いません」


「私も」


ビービは慎重に身を起こした。


「全員、警戒を維持したまま進む。敵が消えたんじゃない。位置を変えただけだよ」


アマゾネス班が動き始めた。


斜面を下り、崩れた地形を避けながら北西へ向かう。その直後、右手の林から銃声が響いた。


ビービが反射的に身を伏せる。弾丸がすぐ脇の地面を削り、土が跳ね上がった。


「右!」


キーラが叫ぶ。


ピケットとサリカムが即座に反応し、林へ向けて射撃を返した。しかし、敵からの反撃はなかった。


スライスが周囲を警戒しながら呟く。


「……まただ」


ビービは林を見つめた。


「追わない」


「了解」


敵は撃ってきた。それにもかかわらず、こちらが反撃すると姿を消す。これまでにも繰り返されてきた行動だった。


ビービには、敵が何を狙っているのかが、ようやく見え始めていた。


敵はアマゾネス班をその場で撃破することだけを目的としているわけではない。射撃によってこちらの位置を確認し、進路を限定しながら、GASTが次にどこへ動くのかを待っている。その先には火力支援が待ち構えている可能性が高い。


(私達を戦わせながら、少しずつ目的地へ押し込んでいる)


そう考えれば、敵がこれほど執拗に進路を制限してくる理由も理解できる。GASTが兵站拠点へ向かうことそのものを利用しているのだ。ならば、敵が本当に待っている場所は、この先にある。


「進むよ」


ビービが命じた。


アマゾネス班は警戒を解かないまま、北西へ進み始めた。




一方、アルバトロス班では、ブエンテロが崩れた斜面を越えようとしていた。


「クラウスレイ、北西へ行けばいいんだな?」


「はい。ただし、先ほどの砲撃で地形が変わっています。予定していたルートは使えません」


「なら別の道を探す」


「それが問題です」


クラウスレイは周囲を見回した。


「敵は我々がどこへ進むかを見ています」


ブエンテロは舌打ちした。


「だったら、見られていることを前提に動けばいい」


「具体的には?」


「敵が俺達を誘導したいなら、その方向へ行く」


クラウスレイがブエンテロを見る。


「それは先ほども言いましたが――」


「分かってる」


ブエンテロは遮った。


「でも、今度はこっちから利用する」


ゴルムが笑った。


「ようやく班長らしくなってきましたね」


「うるさい」


その会話を聞いていたソブラウが、斜面の向こうを覗き込んだ。


「敵がいます」


全員の意識が前方へ向いた。


「どこだ?」


「正面です。たぶん分隊規模」


ソブラウは指を差した。


「でも、変です」


「何が?」


「こちらへ向かってきていません」


クラウスレイが双眼鏡を受け取った。


確かに、敵兵は前進している。しかし、アルバトロス班へ直接向かっているわけではない。一定の距離を保ちながら斜面を横切り、その移動によってアルバトロス班の左側に圧力をかけていた。


クラウスレイは敵の意図を読み取った。


「……誘導だ」


「我々の左側へ回っている」


ブエンテロが言った。


「俺達を右へ押し出すつもりか」


「恐らく」


クラウスレイは答えた。


そのとき、無線へビービの声が入った。


『アルバトロス、こちらアマゾネス01。敵がそちらを右へ押し出している』


「こちらも確認した」


『そのまま北西へ向かう。敵の誘導に乗ったふりをする』


「了解」


通信が切れる。


ブエンテロは銃を握り直した。


「行くぞ」


アルバトロス班が動いた。


先頭を進むブエンテロの後ろをクラウスレイとゴルムが続き、ソブラウとマメッドも間隔を保って前進する。敵が右側へ押し出そうとしているなら、その圧力を利用して北西へ向かえばいい。


ただし、クラウスレイは周囲への警戒を解かなかった。敵の誘導に乗るということは、敵が用意した戦場へ自ら入ることでもある。それでも進むしかない。


兵站拠点へ到達するためには、敵の意図を完全に拒絶するのではなく、その意図を逆手に取る必要があった。


その動きを、遠方から観察している者がいた。




エンリケ・アルサーフィン大尉は、部下が持つ観測装置を覗きながら地図上の表示を確認していた。戦況が記された地図を見下ろしながら、各部隊から送られてくる情報を整理している。


「アマゾネス班(あの女ども)が北西へ移動しています」


「アルバトロス班(後ろの連中)は?」


「後方から追従しています」


アルサーフィンは地図へ視線を落とした。


「予定通りだ」


部下の1人が続ける。


「敵は火力支援の位置を探しているように見えます」


「当然だ」


アルサーフィンは答えた。


「こちらが撃てば、連中も撃たれる理由を考える。奴らが精鋭ならなおさらだ」


「では、火力支援を移動させますか?」


「必要ない」


アルサーフィンは地図上の一点を指した。


「連中が火力支援を探すなら、探させればいい」


「……了解」


「こちらが見せたいものだけを見せる」


アルサーフィンはそう言ってから、第115歩兵科中隊の各分隊へ指示を出した。


「正面の分隊を少し下げろ」


「了解」


「ただし、完全には退くな。敵に突破できると思わせろ」


部下が無線を操作する。


「了解しました」


115中隊の歩兵が動き始めた。


アマゾネス班の前方で射撃していた帝国兵が距離を取り、アルバトロス班へ圧力を加えていた分隊も、それに合わせて位置を変えていく。


戦線に、わずかな隙間が生まれた。


GASTから見れば、突破口に見える程度の隙間だった。


アルサーフィンはその変化を確認すると、静かに口を開いた。


「敵は自分から来る」


その言葉に、周囲の帝国兵は何も答えなかった。彼らが待っているのは、敵を追いかけることではない。GASTが自ら選んだ進路の先で、次の攻撃を加えることだった。




その頃、フォックス班は、敵の第115歩兵科中隊・狙撃班からの銃撃を受け、新たな射撃位置へ移動していた。


コルガンは身を低くしたまま周囲を確認し、隊員たちが予定した位置へ移っていることを確認する。


「全員、射撃位置を変える。ジミー、グイダは俺と一緒だ」


「了解」


ジミーが答え、グイダも無言で移動を開始した。


敵の観測員を排除したことで、フォックス班は一時的に敵からの正確な射撃を抑えていた。しかし、116中隊が攻撃を止める気配はない。


観測員を失ったなら、その代わりになる手段を用意してくるはずだった。


ダンタスが低い声で呼びかける。


「班長」


「何だ?」


「左の林。敵がいます」


コルガンが視線を向ける。


「何人?」


「不明。ですが、こっちを追っています」


ジミーがスコープを覗いた。


「俺が見る」


「勝手に動くなよ」


グイダが釘を刺す。


「分かってる」


「本当だろうな?」


ジミーは返事をせず、照準器越しに林を見続けていた。


コルガンは小さく息を吐いた。


「ジミー、グイダ。敵を見つけても、俺の指示があるまで撃つな」


「了解」


ジミーが答えた。


そのとき、遠方から銃声が響いた。フォックス班の近くへ弾着が集中する。射撃方向は一定せず、木々や岩陰を利用してこちらへ圧力を加えていた。


「撃ってきた!」


カロが叫ぶ。


「全員、伏せろ!」


コルガンが命じた。


敵の歩兵が射撃しながら距離を詰めてくる。その動きは、単純にフォックス班を撃破しようとしているようには見えなかった。


狙撃班に射撃を強要し、移動させ、次の射撃位置を限定する。フォックス班を狩るための戦術だった。


「敵が近づいてくる」


コルガンは周囲を確認した。


「移動するぞ」


フォックス班が後方へ下がる。


そのとき、カロの身体が突然揺れた。


「カロ!」


ラーキンが叫ぶ。


カロはその場に倒れ込んだ。胸部から血が流れている。


コルガンは即座に周囲を確認した。


「どこからだ!」


「分からない!」


ダンタスが答える。


ジミーがスコープを覗き込んだ。


「……あそこ」


木々の隙間で、わずかな影が動いた。


「俺がやる」


ジミーが銃を構える。


「待て!」


グイダが止める。


「敵は1人じゃない!」


ジミーが照準を動かした。


別の場所にも射撃位置がある。


「3人いる」


コルガンが言った。


「こっちを狙っている」


カロは地面に倒れたまま動かなかった。


ラーキンが救助へ向かおうとする。


「班長、カロを――」


「動くな!」


コルガンが制した。


「まだ撃ってくる!」


次の弾着が近くの地面を削る。


ラーキンは歯を食いしばりながら伏せた。


コルガンはカロを見た。


戦場で負傷者を置いていく判断は、指揮官にとって容易なものではない。しかし、ここで救助に動けば、狙撃手の射線へ新たな隊員を差し出すことになる。


ダンタスがカロの状態を確認しようとする。


「カロは……」


言葉が続かなかった。コルガンは、それだけで理解した。


「分かった」


一度だけカロへ視線を向ける。


「記録する。今は移動するぞ」


ラーキンが悔しそうに唇を噛んだ。


「……了解」


フォックス班が移動を開始する。


その中でジミーだけが何度も後方を振り返っていた。敵の狙撃手を追いたいという感情が表情に滲んでいる。


グイダがその横へ寄る。


「おい」


「……分かってる」


「なら来い」


ジミーは答えず、グイダと同じ位置を維持したまま移動した。


コルガンはその姿を一瞥した。


今は、それでよかった。




フォックス班を狙っていたのは、115中隊の狙撃分隊だった。


エンリケ・トーテ少尉は、射撃後の敵の動きを確認しながら、次の射撃位置を探していた。


「敵1匹を排除した」


部下から報告が入る。トーテは双眼鏡を下ろした。


「移動は?」


「開始しています」


「追いすぎるな」


トーテは冷静に指示した。


「狙撃班は撃破するだけが目的ではない。射撃位置を失わせれば、こちらの歩兵は前進できる」


「了解」


トーテは視線を別方向へ移した。


「もう1つの部隊は?」


「まだ動いていません」


「……そうか」


トーテの表情が僅かに変わる。


フォック(片方)ス班は動いた。しかし、セイレーン(もう片方)班は動かない。狙撃班としての判断が早い。


トーテはセイレーン班を直接動かすための方法を考えた。


「フォックス(動いた方)班は、圧力を強めろ」


「了解」


「ただし、セイレーン(もう片方)班にはこちらの射撃位置を見せるな」


「はい」


トーテは地形図へ目を落とす。


敵狙撃班の中でも、セイレーン班(動かなかった方)は厄介だった。特に、ローレライ(隊長らしき女)。


その名前を帝国軍側が知っているわけではない。ただ、北海道から続く戦闘で蓄積された報告から、敵狙撃手の中に極めて高い技量を持つ射手が存在することは把握している。そして、その射手を仕留めるには、正面から狙撃戦を仕掛けるだけでは足りない。


トーテは別の方法を選んだ。




セイレーン班では、フォックス班からの銃声と無線を聞いていた。


『フォックス02より。カロが戦死』


シリングが息を呑んだ。


「カロさん……」


ラスタも一瞬だけ視線を落としたが、ローレライはスコープから目を離さなかった。


「今は集中して」


「はい」


ローレライは敵の狙撃位置を探していた。


フォックス班を攻撃した敵は、射撃後に位置を変えている。しかも、セイレーン班へ直接射撃を仕掛けてくる気配はない。敵が何を狙っているのか、ローレライには見えていた。


「……誘ってる」


シリングがローレライを見る。


「私達にフォックスを助けさせたい」


「そう」


ローレライは答えた。


「それで移動させるつもりですか?」


「そう」


ローレライはスコープを僅かに動かした。


「だから、動かない」


シリングはその判断を受け入れた。


ラスタも周囲を確認しながら、フォックス班のいる方向へ視線を向ける。


「では、フォックス班は……」


「コルガン班長が判断する」


ローレライは答えた。


「私達が勝手に動けば、敵の思う通りになる」


その直後、別方向から砲声が響いた。迫撃砲弾がセイレーン班の後方へ着弾し、土砂が舞い上がる。


シリングが振り返った。


「砲撃です!」


「分かってる」


ローレライは動じなかった。


「敵は私達をここから動かしたい」


そのとき、無線へ通信が入った。


『アマゾネスより各班へ。敵の歩兵が北西側へ移動している』


ビービの声だった。


『アルバトロスも追従中。敵は我々を同じ方向へ押し込んでいる』


ローレライは地図を確認した。


フォックス班は敵によって移動を強いられている。アマゾネス班とアルバトロス班も、敵の歩兵によって北西へ押し出されている。セイレーン班には砲撃が加えられた。


それぞれの攻撃が別々に行われているように見えて、その実、敵はGAST全体を一つの地域へ集めようとしていた。ローレライは、その意図を理解した。


「……なるほど」


「何が分かったんですか?」


シリングが尋ねる。


「敵は、私達を一つの場所へ集めようとしている」


ローレライが答えた。


そのとき、ビービの声が無線から入った。


『ローレライ、そっちはどう?』


「敵は私達を動かそうとしています」


『やっぱりね』


「でも、目的地が分からない」


『なら、分かるところまで行くしかない』


ビービの言葉に、ローレライは小さく頷いた。


「了解」


通信が切れる。


ローレライは再びスコープを覗いた。


遠方の林、そのさらに向こうで敵兵が動いている。その動きは、これまでより明らかに統制されていた。敵はGASTを追いかけているのではない。


GASTが進む方向を決め、その先で待ち受けようとしている。ローレライはその事実を理解しながら、敵の配置を探り続けた。




その頃、アマゾネス班とアルバトロス班は、帝国軍が用意した進路へ入りつつあった。


ビービは前方の地形を確認しながら、敵の動きを追っていた。


帝国兵は姿を見せたり隠したりしながら、GASTが進む方向へ圧力を加えている。その射撃は無駄撃ちではない。こちらの足を止めるためでも、ただ殺傷するためでもない。進路を選ばせるための射撃だった。


「スライス」


「はい」


「左を警戒して」


「了解」


ビービは右側へ視線を向けた。


「キーラ、後ろは?」


「問題ありません」


キーラが答える。


「ただ、敵が距離を取っています」


「そう」


ビービは前方へ視線を戻した。


敵が距離を取る理由は分かっている。こちらが近づけば撃ち、追撃しようとすればさらに後退する。GASTを殺すためではなく、決められた地点まで進ませるための行動だ。


(狩場へ誘い込むつもりね)


その瞬間、アルバトロス班から通信が入った。


『ビービ班長、こちらクラウスレイです』


「どうした?」


『前方に敵の歩兵がいます。かなり後退しています』


「こちらも見えてる」


『妙です。こちらを止めるつもりなら、もっと前へ出てくるはずです』


「そうだね」


ビービは周囲を見回した。


「敵が退いているように見えるなら、たぶん次の段階に入ったんだと思う」


『同感です』


「アルバトロスはそのまま進んで」


『了解』


通信を終えたビービは、アマゾネス班へ向き直った。


「行くよ」


アマゾネス班が前進する。その後方から、アルバトロス班も続いた。




一方、山のさらに奥では、火力支援中隊が次の射撃準備へ入っていた。


第31歩兵科大隊・火力支援中隊。その指揮所では、ゴリンボ・ディアカテ中尉が観測情報を確認していた。


「観測情報、入っています」


部下が報告する。


「敵4個支隊、いずれも北西方向へ移動しています」


ディアカテは地図を見た。


「射撃諸元は?」


「算定済みです」


ディアカテはしばらく地図を見つめた。


「まだ撃つな」


「撃たないのですか?」


「早すぎる」


ディアカテは淡々と答えた。


「今撃てば、敵は散る。歩兵が十分に押し込んでからでいい」


そして、地図上の一点を指した。


「ここへ集める」


そこには、GASTが向かっている場所が示されていた。


「全班が入ったところで撃つ。それが大隊長から命じられた作戦だ」


「了解しました」


火力支援中隊の兵士たちは射撃準備を続ける。


まだ発砲はしない。


観測員がGASTの動きを追い、各中隊から送られてくる情報を整理しながら、射撃開始の瞬間を待っていた。


そして、115中隊と116中隊も、それぞれの持ち場でGASTを追い込んでいた。


アマゾネス班とアルバトロス班を担当する部隊では、アルサーフィンが前進するGASTの位置を確認している。


フォックス班とセイレーン班を担当する部隊では、トーテが狙撃班の移動を監視している。


火力支援中隊では、ディアカテが射撃命令を待っている。


それぞれの部隊が別々に動いているように見えながら、3つの戦いは1つの計画の中に組み込まれていた。


しかし、GASTもただ追い込まれているわけではなかった。


フォックス班はカロを失った。


その損失によって、コルガンは敵の狙撃班が自分たちをどう追い詰めようとしているのかを、より明確に理解し始めていた。


セイレーン班は敵の射撃位置を探り続けている。


アマゾネス班とアルバトロス班は、敵が用意した進路を利用して前進していた。


そして、その先には火力支援中隊がいる。


GASTはまだ、その正確な位置を掴んでいない。だが、敵がどこから撃っているのかを探すためには、まず敵が撃ちたくなる場所へ入る必要がある。それは危険な賭けだった。


けれども、ビービはすでに決めていた。敵が狩場を用意しているのなら、そこへ入る。ただし、獲物としてではない。狩人の目で、敵がどこに潜んでいるのかを見極めるために。


その頃、火力支援中隊の観測員が声を上げた。


「敵部隊、指定地域へ進入します」


ディアカテが地図を見る。


「まだだ」


「了解」


「全班が入るまで待て」


山中で、帝国軍の砲兵は静かに待っていた。その射線の先へ、GASTが少しずつ入り込んでいく。


そして、その光景を見ていたアルサーフィンは、わずかに口元を緩めた。


「これでいい」


その声を聞いた部下が、次の命令を待つ。アルサーフィンは地図から目を上げなかった。


「狩りは、獲物が逃げ道を失ってから始まる」


その頃、別の場所ではローレライがスコープ越しに敵の動きを追っていた。彼女の目には、敵が用意した戦場の全体像が少しずつ浮かび始めていた。

登場人物紹介

GASTアマゾネス班

ビービ(班長)、スライス(副班長)、イリー、キーラ、ピケット、サリカム、シャオリン(怪我により離脱中)


GASTアルバトロス班

ブエンテロ(班長)、クラウスレイ(副班長)、ゴルム、ソブラウ、マメッド


GASTセイレーン班

ローレライ(班長)、ボナー(副班長)、シリング、ラスタ、ベルチャー、シノシック、ファス、ビュー、シェンブリ


GASTフォックス班

コルガン(班長)、ダンタス(副班長)、ジミー、グイダ、ラーキン 他3名


エンリケ・アルサーフィン……猿型獣人族の男性で陸軍大尉。第115歩兵科中隊長

エンリケ・トーテ……エルフの男性で、陸軍少尉。第115歩兵科中隊・狙撃分隊長

ゴリンボ・ディアカテ……ゴリラ型獣人族の男性で陸軍中尉。第31歩兵科連隊 火力支援中隊長


殉職したGAST隊員

カロ:本名:斎藤(さいとう) 美(みみ)々子(こ)

生年月日:1993年2月1日 / 出身:神奈川県

階級:一等陸曹 / 所属:GASTフォックス班

享年:29歳

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ミリタリー SF ファンタジー 自衛隊 戦争
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