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外星戦記  作者: 無名の凡夫
第3章 九州奪還へ

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第252話 ようやく

スパイダー班は、目前にいるメルコ・スアキロン海軍中佐の前に飛び出した。


カバナーはスアキロンの背後にある簡易プールに気付いた。


「(あれで乾きを補うつもりか)」(カバナー)


直後、その簡易プールから人魚族の兵士が飛び出した。


「司令、ここはまず私が!」


まず立ちはだかったのは、副官のアレイア・シック海軍中尉。スアキロンの右腕として、長く支えていた尉官だ。


シックはまず、カバナーに向けて発砲する。


パシュ! パシュ!


「くっ…」(カバナー)


カバナーは慌てて身を隠す。


「(あれが指揮官だな。なら私が倒す。)」


シックは、他の隊員には目もくれず、カバナーをターゲットに絞った。


「お前等は、残りの雑魚を片付けろ!」(シック)


シックは、部下に命令を下すと、カバナーに接近する。


パシュ! パシュ!


水銃がカバナーを隠す遮蔽物に撃ちつけられ、削られていく。カバナーは、ここでじっとしていると、いずれ被弾する事を悟った。


「隠れてないで、いい加減出てこい!」(シック)


徐々に近づいていくシック。そこから動けないカバナー。その時…


「お前、油断しすぎだ」(ユノラフ)


シックの背後をユノラフが取った。しかし、シックは焦っていない。


「お前がな」(シック)


シックは不敵に笑い、尾鰭でユノラフを弾き飛ばした。


「ぐわあっ」


「ユノラフ!」(カバナー)


ユノラフは壁に叩きつけられ、気を失ってしまう。後頭部を打ったようだ。




「くそ……」(テレル)


テレルは、自身の作戦ミスを悔やんだ。シックはカバナーにしか目が行っていなかった。だからこそ、隙が出来る。そう踏んでユノラフを向かわせた。しかし、その結果は失敗に終わった。人魚の尾尾鰭にあれだけの威力がある事は想定外だった。あれでは近づけない…。


ユノラフは、付近にいた兵士に軍刀によって心臓を突かれ、更には首を刎ねられて絶命した。





「ユノラフ!」


カバナーが叫ぶ。ユノラフの首が床を転がる。シックはそれを見下ろした。


「馬鹿な奴だ。背後から仕掛けるなら、もっと確実にやれ」


そう言いながらカバナーに銃口を向ける。


だが、その瞬間だった。


パンッ――


シックの肩が弾けた。テレルだった。


「班長!」


叫ぶ。シックは即座に振り向く。だが今度はカバナーが動いていた。遮蔽物から飛び出し、一気に距離を詰める。


「なっ――」


シックが銃を向ける。しかし遅い。カバナーの銃弾が胸部へ命中した。続いて2発、3発。シックの身体がよろめく。それでも倒れない。


「司令……」


シックは血を吐きながら振り返った。ずっと隣で支えてきた。唐津湾分屯地がまだ平穏だった頃から。


「申し訳……ありません……」


それが最後だった。


シックの身体が床へ崩れ落ちる。司令部にいた帝国兵達の表情が変わった。誰もが知っていた。あの男が司令の右腕だったことを。その時、メルコ・スアキロン海軍中佐が一歩前へ出た。


「下がれ」


静かな声だった。兵士達が振り返る。スアキロンは小銃を構えた。


「ここから先は私がやる」


カバナーはその姿を見据える。ようやく辿り着いた。この基地の中枢に。


登場人物紹介

アレイア・シック

種族・性別:人魚族の男性

所属・階級:海軍中尉、第1領海警備隊唐津湾分屯地司令部

備考:スアキロンの副官。今話で名前が判明


カバナー……GASTスパイダー班の班長

テレル……GASTスパイダー班の副班長

メルコ・スアキロン……第1領海警備隊唐津湾分屯地司令


殉職したGAST隊員

ユノラフ:本名:凛珠りんたま 啓史けいし

生年月日:1993年5月1日 / 出身:新潟県

階級:二等陸曹 / 所属:GASTスパイダー班

享年:29歳

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ミリタリー SF ファンタジー 自衛隊 戦争
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