表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
外星戦記  作者: 無名の凡夫
第3章 九州奪還へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
249/261

第247話 失われた一人

カバナーが駆け寄った先にいたのはタックだった。かろうじて生きている。しかし、助からないのは明らかだった。敵のRPG相当の武器を受けたのだろう。彼女は腰から下が無くなっていた。辺り血溜まりが出来ており、かなりの量の出血もしていたようだ。


「……タック」


助からないのは目に見えていたが、それでも声をかけずにはいられなかった。


「おい、しっかりしろ」


返事がない。何か呟いているようだ。


(ひらく)…」


プラングリーの本名だった。


「会いたい……」


「もうすぐ、会えるかな……」


蚊の鳴くような声だったが、そう言い残し、タックこと、波瀬(はせ)咲蘭(さらん)三等陸曹は息を引き取った。


感傷に浸っている場合はない。カバナーは黙ったまま、タックの無線を確認した。タックの無線も壊れていた。


「(仕方ない。このまま進むか…)」(カバナー)


「う、ああああ……」


その場から離れようとしたとき、誰かの呻き声が聞こえた。


「この声は…」(カバナー)


カバナーは、この声に聞き覚えがあった。彼女は、また嫌な気分になった。


「ベリンゴン…」(カバナー)


そこには右足を失ったベリンゴンの姿があった。かろうじて止血はしてある。しかし、かなりの重傷なのは見て分かった。


「は、班長…タック、タックは……?」


「死んだ」


「そ、そうですか…タックは……」


「タックは死んだ。お前ももう、戦えない。挟撃されて後送も出来ない。この意味が分かるか?」


非情な決断だと思った。しかし、この状況では、そうせざるを得なかった。ヘリを出せば、筑紫野の部隊にも気付かれる。ベリンゴンも”死んだ者”として扱うしかなかった。


「…はい。」


ベリンゴンも全てを察したようだ。


「私の無線は壊れている。お前のは無事か?」


ベリンゴンは、何も言わず無線を差し出した。とはいえ、ベリンゴンはただで死ぬつもりはない。弾倉を装填し直す。遮蔽物に身を隠し、激痛に必死に耐えた。


カバナーは無線を受け取った。背後では銃声と爆発音が途切れない。目の前にはタックの遺体が横たわり、少し離れた場所ではベリンゴンが銃を構えている。どちらも自分の部下だった。だが今は立ち止まれない。生きている者を指揮することこそ、自分に残された仕事だった。




雑音が流れた後、ようやく通信が繋がった。


『こちらスパイダー02! 応答してください!』(テレル)


「私だ」


『班長! 無事だったんですね!』


テレルの声に安堵が混じる。


「状況を報告しろ」


『私もユノラフも軽傷で済んでます。ですが、特戦群第2中隊も損害が出ています』


「タックの戦死、ベリンゴンの重傷を確認した。サカラとナルクンは無事か?」


『こちらスパイダー03、サカラ。無事です。ナルクンも』(サカラ)


「敵砲撃部隊の位置は分かるか?」


『北東約八百メートル。市街地外縁部です。このままでは押し返されます』(テレル)


カバナーは地図を思い浮かべた。敵は基地救援のために増援を送り込んだのではなく、砲撃でこちらの攻勢を止め、その間に海軍基地の守備隊を立て直そうとしている。そう推測した。


「家気大隊長、聞こえますか?」


『こちら家気。カバナー、無事でよかった』(家気(けき)雄信(ゆうしん):二等陸佐)

※水陸機動団特科大隊長


「家気大隊長、砲撃座標を送ります。後方の増援部隊を、中SAMで潰せますか?」


『可能だ。ただし連続射撃はできん。基地との距離が近い』


「十分です」


カバナーは即答した。


「敵を止めてください。我々は基地を落とします」


『了解。敵増援へ射撃を開始する』


「スパイダー班、聞いていたな」


『了解』(テレル)


「進路変更なし。目標は海軍基地司令部だ」


カバナーは炎上する港湾施設へ視線を向けた。タックは死んだ。ベリンゴンも戦線から脱落した。それでも任務は終わっていない。敵の増援が到着する前に、この海軍基地を沈黙させる必要があった。


登場人物紹介

家気けき 雄信ゆうしん

生年月日:1980年1月14日 / 出身:熊本県

階級:二等陸佐 / 役職:水陸機動団 特科大隊長


GASTスパイダー班

カバナー(班長)

テレル(副班長)

ユノラフ

ベリンゴン


殉職したGATS隊員

タック:本名:波瀬はせ 咲蘭さらん

生年月日:1997年12月3日 / 出身:静岡県

階級:三等陸曹 / 所属:GASTスパイダー班

備考:敵のRPG相当の攻撃を受け、死亡

享年:25歳

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミリタリー SF ファンタジー 自衛隊 戦争
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ