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外星戦記  作者: 無名の凡夫
第3章 九州奪還へ

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第241話 兄として

段場 隼人です。


今日は休みだったので、久しぶりに静流に会っている。静流も、高校3年生になり、受験を控える年だ。


「私、高校出たら働くよ。お兄ちゃんに負担はかけられないもん」(静流)


静流はそう言うが、僕は大学へ行っても構わないと思っている。静流のためだ。お金なら僕が出す。入隊して今まで、お金を使う暇がなかったので、結構貯まっている。自衛隊はお金が貯まりやすいと誰かが言っていたが、それは本当のようだ。


「お金は僕が出すよ。蓄えはあるし、静流には大学へ行って欲しいと思ってるんだ」(隼人)


「どうしてそう思うの?」(静流)


「そんな顔してるよ。成績は問題ないんだろ? だったら挑戦しなよ」(隼人)


「大学に行きたい。でも、迷惑はかけられないよ。」(静流)


「迷惑なんかじゃないさ。僕の貯金額を侮るなよ」(隼人)


僕は、冗談交じりに言った。静流が僕に自衛隊を辞めて欲しいと思っているのは知っている。でも、自分の決めた事を曲げたくはない。だから、せめて静流のために何かしたいという気持ちがある。


「やりたいことがあるんだろ?」(隼人)


「……うん」(静流)


「なら、僕を頼って欲しい。静流に迷惑をかけている分、何かできることはしたいんだ」(隼人)


静流はしばらく俯いていた。やがて小さく息を吐く。


「お兄ちゃんは、そういう所ずるいよ」(静流)


「なんだよそれ」(隼人)


「だって、私が断りにくいこと分かって言ってるもん」(静流)


少しだけ頬を膨らませる。昔から変わらない仕草だった。


「別に無理やり進学させる気はないよ。ただ、選択肢をお金で諦めてほしくないだけだ」(隼人)


静流は黙って僕を見る。その視線に気付いて、僕は苦笑した。


「そんな顔するなよ」(隼人)


「お兄ちゃんこそ」(静流)


静流はそう言うと、少しだけ真面目な顔になった。


「最近、無理してない?」(静流)


「してないよ」(隼人)


反射的に答えた。だが静流は納得していないようだった。


「テレビもニュースも見てるからね」(静流)


そう言われる。九州の戦況は連日報道されている。もちろんGASTの存在は公表されていない。だが、自衛隊が大きな戦いを続けていることくらいは誰でも知っていた。


「九州に行きたいの?」(静流)


「どうだろうな」(隼人)


静流によっては意外な答えだったのだろう。きょとんとした顔になった。


「え、意外…」(静流)


「そうか?」(隼人)


「両親の敵討ちをしたい気持ちは今もある。けど、死ぬ恐怖とを天秤にかけた時、進んで戦地へ行きたいかと言われれば、返答に困る。」


そういう側面もあるという話だ。


「ちょっと安心した。」(静流)


「何が?」(隼人)


「お兄ちゃん、死に急いでるわけはないんだって」(静流)


まだ実力不足だ。今のまま前線に立っても無駄死にだ。それは過去の経験から嫌というほど学んだ。だから、しっかりと力を身につける。戦地で生きる確率を1パーセントでも伸ばせるように。


「でも、話して吹っ切れた。私、大学進学目指すね。」(静流)


「そうか。また時期が来たら連絡くれ」(隼人)


「うん」(静流)


僕は静流と別れた。静流の元気な姿を見れた嬉しさと同時に、杏南をも想う。今どこにいるのかは知らない。それでも、あの異動がただの配置換えだったとは思えなかった。異動先は知らされていない。だが、あの実力なら九州へ送られていても不思議ではない。もちろん確証はない。ただ、連絡が途絶えた時期と異動の時期を考えると、そう考えてしまう自分がいた。


九州の情報は随時送られてくるが、死傷者の情報は遅い。そう考えると心配になる。今も無事でいてほしい。だが、僕にはどうすることも出来ない。とにかく、今は訓練をこなすことだ。


来年のレンジャーへ向けて力を付けること。そして、いつか必要になった時に戦えるよう準備しておくことだ。


電車の扉が閉まる。窓の外へ流れていく景色を見ながら、僕は静かに拳を握った。


登場人物紹介

段場だんば 隼人はやと……本編の主人公

段場だんば 静流しずる……隼人の妹。高校3年生になった。

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ミリタリー SF ファンタジー 自衛隊 戦争
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