表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
外星戦記  作者: 無名の凡夫
第3章 九州奪還へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
241/261

第239話 失われた名前

―門司区―


九州に上陸していた部隊が集まった。若松の陸軍基地を制圧した、ネイマン率いるリッチ班、教授率いるタイガー班、そして47普連1中隊の損耗が激しく、これ以上の進軍は不可能を判断した。一度、組織を再編する必要があった。


拠点の一角で、アイブルは集まってきた隊員達の顔を見回していた。ウェイドがいないことに気が付いた。


「ウェイドはどうしうた?」(アイブル)


ルッテンが静かに答えた。


「……死んだ」(ルッテン)


「ウェイドは上陸中に負傷した。だが後送できる状況じゃなかった。そのまま戦闘を続けて戦死した」(ルッテン)


「そっちこそ、ヒュームさんが…」(ルッテン)


「ヒュームは戦闘中に左腕を欠損。そのまま離脱した。戦線復帰は難しいだろう」(アイブル)


ルッテンは黙って頷いた。勝利の報告より先に、失った仲間の話ばかりが出てくる。それが今回の作戦の現実だった。


あたりに沈黙が広がる


「班長は集まれ、会議を行う。」(シルビア)




―臨時の会議室―


室内には各班の班長と、第47普通科連隊、特殊作戦群の指揮官達が集められていた。まず、最初に行われたのは戦況報告ではなく、損害確認だった。


「アイアン班、タハ班長はどうした?」(BJ)


質問を受けたガジがゆっくり顔を上げる。その表情を見た瞬間、何人かは察した。


「タハ班長ですが……」


ガジは一度言葉を切った。


「壇之浦で負傷後、医療班に救助されました」


室内は静まり返る。誰も口を挟まない。


「その後、病院へ搬送されましたが、死亡が確認されました」


沈黙が落ちた。タハは生死不明だった。だからこそ、どこかで助かっていると思いたかった者も多かった。しかし、その希望は消えた。北九州地図の脇には戦死者一覧が貼られていた。そこにタハの名が追加された。


「会議を続ける」(シルビア)


シルビアは壁に貼られた地図へ視線を向けた。


「まず現状を整理する」


北九州一帯を示す地図には、自衛隊の制圧地域と未制圧地域が記されていた。


「若松の陸軍基地、佐賀関の海軍基地は制圧。門司方面の敵戦力も大きく後退している」


教授が腕を組む。


「北九州の主導権はこちらに移った、と見ていいでしょう」


「概ねその認識で構わない」


シルビアは頷いた。


「ただし敵が消滅したわけではない」


そう言って鳥栖周辺を指差す。


「偵察情報によれば、生き残った帝国軍は鳥栖方面へ撤退を開始している。しかも潰走ではない。各部隊が一定の秩序を保ったまま後退している」


柄垣が口を開く。


「門司に現れた有翼種や、若松に現れたという狙撃手か。敵の後退は統制されていた。それが気になるな。」(柄垣)


「まだ我々が把握できたのは北九州と佐賀関近辺のみだ」(シルビア)


シルビアは地図の南側へ視線を移した。


「博多以南については依然として情報不足だ。敵がどれだけの戦力を保持しているのかも分かっていない」


教授が口を開く。


「博多に軍がいたら、再び本州に上陸される恐れがあります。博多を偵察すべきでしょう」


「敵は後退している。だが潰走しているのか、計画的に再編しているのか判断できない」(シルビア)


ネイマンが腕を組む。


「つまり、まず目が必要ってことですね」


「そういうことだ」(シルビア)


シルビアはネイマンを見る。


「リッチ班には先行偵察を任せたい。敵地深くへの潜入能力はリッチ班が最も高い」


「予想してた」


ネイマンは淡々と答えた。


「ただし無理はさせない」


シルビアは地図上の門司と壇之浦を指した。


「関西方面隊から増援を受け入れる。到着した部隊は北九州の警備、補給路の防衛、残敵掃討を担当する」


そして博多方面へ指を滑らせる。


「その間に我々は敵の実態を探る。次の戦いが博多になるのか、それとも別の場所になるのか、それすらまだ分かっていない」


会議室にいた者達は静かに頷いた。若松と佐賀関を制圧したことで橋頭堡は築かれた。しかし彼らが手にしたのは九州のごく一部に過ぎない。


登場人物紹介

シルビア……GAST中隊長

アイブル……GASTリッチ班の副班長

BJ……GASTピットブル班の班長

ガジ……GASTアイアン班の副班長

柄垣えがき 獅導しど……第一空挺団第3普通科大隊長

教授……GASTタイガー班の班長

ネイマン……GASTリッチ班の班長


戦死したGAST隊員

ウェイド:本名:政堂せいどう 花鈴かりん

生年月日:1995年12月10日 / 出身:岡山県

階級:三等陸曹 / 所属:GASTリッチ班

備考:九州上陸中に負傷。上陸後の戦闘で戦死

享年:26歳


タハ:本名:上下田かみしもだ がく

生年月日:1983年9月29日 / 出身:福井県

階級:二等陸尉 / 所属:GASTアイアン班長

備考:敵狙撃手により狙撃され、搬送先の病院で死亡

享年:38歳

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミリタリー SF ファンタジー 自衛隊 戦争
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ