第212話 スタートライン
「そんな、准将殿……」(エウクリッズ)
「兵を集めろ! 司令部を封鎖しろ!」(フォンボス)
その瞬間だった。
タタタタン――。
乾いた短連射音が室内へ響く。
「がっ……!」(メンケント)
振り向いたメンケントの胸部へ血が咲く。そのまま壁際へ崩れ落ちた。続けて、別方向から再び銃声が走る。
タタタタン――。
「ぐ……ぁ……」(ヤバタノボシ)
ヤバタノボシが喉元を押さえながら倒れ込む。
「メンケント先任大尉殿! ヤバタノボシ中佐殿!」(ラキトゥス)
ラキトゥスは拳銃を抜き放ちながら周囲を見回した。しかし、敵の姿が見えない。司令室には確かに誰かがいる。だが、気配が掴めない。暗闇のどこかから、視線だけがこちらを見ている。そんな錯覚だけが残る。
「どこだ……!」(ラキトゥス)
その直後だった。背後で、衣擦れの音がした。反射的に振り向く。
だが、遅い。
鋭い刃が喉元を深く裂き、ラキトゥスは声も出せないまま崩れ落ちた。
「ひっ…」(エウクリッズ)
エウクリッズは、得体のしれない”賊”に恐怖を感じる。
「退却する!」(フォンボス)
フォンボスは、エウクリッズの手を引き、その場から離れる。
「逃げたか…」
声の主、ガストン・ヒアカッペを仕留めたリッチ班の班長・ネイマンが小さく呟く。
「本当に司令官を仕留めるなんて…でも、無茶しすぎですよ、班長」(マッキー)
マッキーが呆れたように話しかける。
「まったく、寿命が縮みましたよ。」(ルッテン)
ルッテンも、ネイマンの大胆な行動に呆れている。
「敵は、門司に増援するみたいですが、向かいますか?」(ルッテン)
「いや、それでは振出しに戻るようなものだ。敵援軍は、門司の部隊に任せる。俺達はタイガー班と合流して、教授に策を講じてもらおう。ここを潰すためにね」(ネイマン)
マッキーとルッテンは深くため息をつく。
「また無茶するんですね…」(マッキー)
「班長が“策を講じる”と言い出した時、大抵ろくな事にならないんですよ」(ルッテン)
カラーノです。ファルコン班により、敵の拠点が判明し、これにより、私達は桂陸将に指示を乞うことになりました。
「まずは、水棲種の脅威を排除したいところだ。佐賀関へ向かい、海軍基地を墜とせ」(桂)
「了解。若松の陸軍基地はどうします?」(浪城)
「それは、我々にお任せを。もう司令官は討ちました。」
「!?」
「仕留めた? 嘘だぁ~」(シャーク)
シャークさんは「信じられない」という感じでした。それはそうでしょう。敵の拠点が判明したのは、ついさっきです。
「ちっ、相変わらず、あの連中は規格外だな」(浪城)
浪城大隊長はどこか悔しそうでした。
「空挺団は、特戦群が嫌いなんだよ」(塗) ※個人の感想です
塗二曹が、こっそりと教えてくれました。そんな事はないと思いますが……
「今、ようやくスタートラインに立った。」(桂)
桂陸将が答えます。
「敵もこちらを理解し始めている。次からは、もっと激しくなるぞ」(桂)
誰も否定をしませんでした。本当の攻略戦は、ここから始まります。
登場人物紹介
ネイマン……GASTリッチ班の班長
マッキー……GASTリッチ班所属
ルッテン……GASTリッチ班所属
カラーノ……本作のヒロイン
シャーク……GASTピットブル班の副班長
浪城 激……第一空挺団第2普通科大隊長
塗 渉……第一空挺団第2普通科大隊所属
桂 蘭次郎……九州奪還作戦の最高司令




