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外星戦記  作者: 無名の凡夫
第3章 九州奪還へ

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第209話 真正面の殴り合い

第41市街地警戒連隊の車列が、旧若松区方面は避難誘導を続けている。拡声器からは、退避命令が繰り返され、非戦闘員のグーリエ星人達が、覚えた様子で地下避難路へ急いでいた。


その様子を尻目に、第一空挺団第2普通科大隊、通称・浪城大隊は、仲間が戦っている立体駐車場跡地へ進んだ。浪城は、避難誘導中の兵士達すら排除して進みたい衝動を抑え込んだ。迫撃砲により1人が戦死、3人が重傷を負った。3人が助かる可能性は極めて低い。これ以上、死傷者を出すわけにはいかない。浪城大隊は急いだ。




「そんな…馬鹿な…」(カラカボン)


シミィ・カラカボン伍長は、信じられないという表情だった。ケンが1匹を戦闘不能にしたはずだった。しかし、その1匹によってムーアが討たれ、狙撃手によって、ウガーリッヒ兄弟も討たれた。1人1匹ずつ殺せと命じられておきながら、1匹も仕留めておらず、残るは自身だけとなった。


「おのれ!」(カラカボン)


怒りに身を任せて発砲するカラカボン。冷静さを欠き、弾道がぶれる。


「隙だらけだ」(アイブル)


アイブルは、カラカボンの背後に忍び寄り、短刀で喉を切り裂いた。カラカボンは息絶える。




「遅かったか…」(マケマナ)


ペイテル・マケマナ少尉は、倒れたカラカボンの遺体を見下ろしながら、静かに奥歯を噛み締めた。


情報偵察支隊はハウリーを残して死亡。上空支援役だったウガーリッヒ兄弟まで失っている。想定以上だった。敵は、たった4人で中隊規模の行動をここまで乱したのだ。その直後だった。


遠方道路側から、複数のエンジン音が接近してくる。だが、それは装甲車の重低音ではない。高機動車だ。軽武装の車列が瓦礫地帯へ滑り込み、その後方から空挺隊員達が次々と展開していく。


「浪城大隊だ!」(ハウフ)


「ようやく来やがったか!」(アイブル)


「援軍か?」(マケマナ)


マケマナの表情が変わった。


次の瞬間、暗闇の道路奥から高機動車数台が飛び出す。その後方には、第一空挺団第2普通科大隊――浪城大隊の車列が続いていた。同時に、拡声器越しの怒号が市街地へ響く。


「前方敵部隊を確認! 各中隊、戦闘隊形展開! 止まるな、押し潰せ!」(浪城)


命令と同時に、高機動車から空挺隊員達が次々と飛び降りる。隊員達は瓦礫帯へ散開しながら、無反動砲と軽機関銃を展開した。直後、後方迫撃砲班による120mm迫撃砲弾が立体駐車場跡地へ降り注ぐ。


轟音と共に外壁が吹き飛び、迫撃砲陣地周辺へコンクリート片が雪崩のように崩れ落ちた。火器支援分隊の兵士達が巻き込まれ、悲鳴と怒号が夜間市街地へ反響する。


しかし、第16機械化歩兵中隊側も即座に応戦へ移っていた。


「対装甲火器、前へ出せ! 高機動車を止めろ!」(マケマナ)


瓦礫陰から数名の兵士が飛び出し、携行対戦車火器を構える。


だが、その瞬間だった。


バシュッ――。


乾いた狙撃音と共に、先頭兵士の頭部が弾け飛ぶ。続く2発目が装填手を撃ち抜き、対装甲火器が瓦礫上へ転がった。


「また狙撃だ!」


「狙撃手を探せ!」


だが、既に発砲位置は変わっている。


セイレーン班は発砲と同時に陣地移動を繰り返しながら、第16機械化歩兵中隊の火力運用そのものを崩し始めていた。


ローレライ達は、発砲位置を変えながら戦場全体を切り崩し始めていた。一方、アイブルは新たな弾倉を装填しながら、浪城大隊先頭の装甲車列を見た。


「さて、ここからは真正面の殴り合いだ」(アイブル)


市街地全体へ銃声と爆発音が反響する。しかし、戦況は既に傾き始めていた。


火器支援分隊は迫撃砲陣地を失い、対装甲火器班もセイレーン班の狙撃で次々と潰されていく。さらに、浪城大隊の空挺隊員達が瓦礫帯へ雪崩れ込み、第3小隊の防衛線を徐々に押し崩し始めていた。


「東側防衛線、突破されます!」


「後退しろ! 第2遮蔽線へ――」(マケマナ)


その直後だった。


ドォンッ――。


無反動砲弾が瓦礫陣地へ直撃し、数名の兵士が吹き飛ぶ。第16機械化歩兵中隊の隊列が、ついに崩れた。


「駄目です! 抑え切れません!」


「退くな! まだ包囲は――」(マケマナ)


言い終える前に、至近弾が炸裂する。爆風で吹き飛ばされたマケマナは、瓦礫へ叩き付けられながら、遠方を睨んだ。そこには、瓦礫帯を突破してくる浪城大隊の姿があった。完全に押し切られた。マケマナは血を吐きながら、小さく呟く。


「……ここまでやるのか」(マケマナ)


その頃、アイブルは瓦礫陰から戦場を見下ろしていた。敵防衛線は崩壊寸前。既に勝敗は決している。


「終わりだな」(アイブル)


直後、浪城大隊の突撃が第16機械化歩兵中隊を完全に飲み込んだ。小倉南区の立体駐車場跡地における戦闘は、ここに終結した。


登場人物紹介

アイブル……GASTリッチ班の副班長

ハウフ……GASTリッチ班所属

浪城なみしろ げき……第一空挺団第2普通科大隊長

シミィ・カラカボン……第16機械化歩兵中隊・第3小隊・情報偵察支隊長

ペイテル・マケマナ……第16機械化歩兵中隊・第3小隊長

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ミリタリー SF ファンタジー 自衛隊 戦争
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