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外星戦記  作者: 無名の凡夫
第3章 九州奪還へ

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第204話 探照灯の下で

「機械科歩兵部隊だ。規模は1個小隊。そちらに向かっている。」(浪城)


浪城大隊長の声が無線に流れます。


「ん? 奥の方に何か見える…あれは、迫撃砲だな。」(浪城)


迫撃砲。市街地で最も厄介な支援火器のですね。遮蔽物越しでも砲撃出来る上、この廃墟地帯では着弾地点も読みにくい。


「正面から迎え撃つのはまずい。総員、散開!」(ビービ)


隊員達が即座に瓦礫と建物陰へ飛び込む。その直後、夜空を裂くような発射音が響きました。



ドゴォン!!


廃墟の一角が吹き飛び、瓦礫が雨のように降り注ぎます。


「先に潰さないとまずいね。」(ビービ)


「リッチ班とスパイダー班は、迫撃砲と装甲車両に接近して破壊しろ!」(ビービ)


「了解」(カバナー)

「了解した」(アイブル)


次の瞬間、両班は闇の中に消えていきました。




「次弾、装填!」(アラファル・クーヨ陸軍曹長)

―第16機械科歩兵中隊 中隊支援火器分隊長―


半壊した商業施設跡地。その駐車場を利用し、迫撃砲陣地が展開されていた。周囲には簡易遮蔽物。熱源探知センサー、監視用ドローン。迫撃砲だけではない。分隊周辺には、短機関銃を構えた警戒兵達が配置されている。


「発射!」(クーヨ)


ボンッ!!


再び砲弾が夜空へ撃ち上がった。数秒後、遠方で爆炎が上がる。


「命中確認。」


クーヨは小さく鼻を鳴らした。


「敵は散開したか。だが、足は止まる。」(クーヨ)


分隊後方で警戒に当たっていた兎型獣人の兵士が、不意に顔を上げる。


「待て」(ミント・デイビッジ一等兵)


周囲の兵士達が動きを止める。


「どうした?」(クーヨ)


「熱源反応が消えました」(デイビッジ)


「故障か?」(クーヨ)


「いえ、消した。と言った方が適切でしょうか。それに、瓦礫の反響音が不自然です。」(デイビッジ)


空気が変わる。クーヨは即座に理解した。


「――隠密部隊だ。警戒線を上げろ!」(クーヨ)


同時に、周囲の探照灯が一斉に点灯した。




「3両確認。」(タック)


瓦礫陰へ伏せたまま、タックが低く呟く。


暗視装置越しに見えるのは、ゆっくり前進する装甲車列。


「真ん中、通信アンテナが多い。」(タック)


「指揮車だな」(カバナー)


「先に目を潰す。」(カバナー)


「テレル、ユノラフは右側面へ回れ。ナルクンとベリンゴンは後衛車両を監視。タック、サカラは私と来い」(カバナー)


「了解」(テレル)


履帯が瓦礫を踏み潰す瞬間に合わせ、カバナー達は数歩だけ前進した。金属音へ足音を重ね、探照灯の死角へ滑り込む。


装甲車両側も警戒を強めている。


車体上部では、暗視装置を動かし続けていた。探照灯が瓦礫地帯を横切り、白色光が廃墟を舐めるように走る。


「熱源反応、依然不明。」


「そんな筈はない。周辺を洗え。」(ピピリ・ベリタテウ陸軍中尉)

―第16機械科歩兵中隊第2小隊長―


中央車両――指揮通信車の上部ハッチから、大柄な獣人士官が周囲を睨んでいた。その頃、カバナー達は既に車列の目前まで接近している。崩れた外壁の陰へ身を伏せたカバナーが、小さく手を上げた。


全員が即座に動きを止める。


数メートル先では、装甲車両の履帯が瓦礫を踏み潰している。金属音と低いエンジン音が、腹へ響いてきた。履帯音を聞く度に、カバナーは北海道戦線を思い出す。瓦礫を踏み潰しながら進む装甲車両の後ろには、いつも死体が転がっていた。


「(相変わらず、不快な響きだ)」(カバナー)


「……探照灯の周期、8秒。」(サカラ)


「機銃手は前方警戒寄り」(タック)


「中央車両を落とせば混乱する。」(カバナー)


カバナーは腰の爆薬を確認しながら、小さく目を細めた。


「テレル、合図と同時にセンサーを潰せ。ナルクンは後衛車両の履帯を狙え。ベリンゴンは援護。」(カバナー)


無線越しに短い了解が返ってくる。その直後、探照灯が、こちら側へ向く。白色光が瓦礫地帯を横切り、あと数秒でカバナー達を照らそうとしていた。


カバナーは動かない。伏せたまま、静かに秒数を数えている。


カバナーは伏せたまま、探照灯の旋回周期を頭の中で数えていた。履帯が瓦礫を踏み潰す重低音。白色光が廃墟の壁面を流れていく。


「……3、2、1」


その瞬間、廃墟の別方向で金属が落ちる乾いた音が響いた。


カンッ――。


「敵だ!」


警戒兵達の視線が一斉に音源方向へ向く。同時にカバナーが低く命じた。


「行くぞ。」(カバナー)


スパイダー班が一斉に死角から飛び出した。


登場人物紹介

GASTスパイダー班

カバナー(班長)

テレル(副班長)

タック

ユノラフ

サカラ

ナルクン

ベリンゴン


アラファル・クーヨ

種族・性別:ヒト族の男性

所属・階級:陸軍曹長で、第8北九州統治軍・第16機械科歩兵中隊・中隊火器支援分隊長


ミント・デイビッジ

種族・性別:兎型獣人族の男性

所属・階級:陸軍一等兵で、第16機械科歩兵中隊・中隊火器支援分隊


ピピリ・ベリタテウ

種族・性別:ゴリラ型獣人族の男性

所属・階級:陸軍中尉で、第8北九州統治軍・第16機械科歩兵中隊・第2小隊長


浪城なみしろ げき……第1空挺団第2普通科大隊長

ビービ……GASTアマゾネス班の班長

アイブル……GASTリッチ班の副班長

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ミリタリー SF ファンタジー 自衛隊 戦争
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