表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
外星戦記  作者: 無名の凡夫
第1章 初陣~オペレーション・ギデオン~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
19/261

第19話 嵐の予兆と山中の血戦

― 時間を巻き戻して、9月22日 22:00 山梨県大月市・菊花山周辺 ―


「なあ、何で俺たちが山なんだよ。」


「斥候だからだ。」


「13普連の方が適任じゃないですか?」


「愚痴は終わりだ。警戒しろ。」


西(にし) 友貴(ともき)陸士長は、同期に愚痴をこぼしていた。今回招集された13普連は、全員レンジャー持ちの精鋭。レンジャー資格のない、自分よりも適任であろうと。


「おい、無駄話をするな。敵に聞かれたらどうする?」


野木(のぎ) 龍悟(りょうご)三等陸曹の忠告に、西は黙って頷いた。夜の山は、昼間とは全く違う顔を見せる。湿った土の匂い、木々のざわめき一つ、風の音一つが、神経をすり減らしていく。視界は月明かりだけ。10メートル先の木立ですら輪郭が曖昧だった。西は、背中に嫌な汗が伝うのを感じていた。そのとき、三笠(みかさ) 恭太(きょうた)陸士長が動きを止めた。


三笠の視線が一点で止まった。ゆっくり拳を上げる。全員が足を止めた。


「……いた。」


月明かりの下。木々の間に、3つの影。人ではない。尖った耳。闇の中で光る瞳。


「…エルフだ。」


野木が低く呟く。彼らの動きは滑らかで、ほとんど気配を感じさせない。まるで森の一部になったようだ。


「距離は?」


「100メートル弱」


「……もう少し引き付ける。」


野木は三笠と視線を交わす。わずかに頷く。2人は音を殺して一歩踏み出した。しかし、その前に夜の闇を引き裂く鋭い銃声が轟いた。


西は反射的に物陰に飛び込む。直後、耳元を「ヒュッ!」と風切り音が通り過ぎ、近くの木に弾丸が食い込んだ音がした。


再び銃声がした。乾いた音。直後、三笠の体が揺れた。


「ぐっ!」


左肩から血が噴き出す。


「くそっ!」


三笠の苦悶の声が聞こえた。西が恐る恐る顔を出すと、三笠が左肩を押さえて座り込んでいた。野木がすかさず応戦する。彼の小銃が火を吹くが、敵の動きは素早い。3つの影は、一瞬にして散開し、木々の陰に身を潜めた。


「三笠、大丈夫か!?」


「西、お前は下がれ。このままじゃ全滅だ。」(三笠)


「本部へ報告しろ。行け!」(野木)


「これは命令だ!」(野木)


西は躊躇した。仲間を見捨てるなど、訓練では習わなかった。だが、野木や三笠の決意に満ちた顔を見て、西はこれ以上ここにいることが、彼等の犠牲を無駄にすることになると悟った。


「…はいっ!」


西は彼らの覚悟を胸に刻み、暗闇の中を駆け出した。背後で、再び応戦の銃声が響く。


西が消えた森を見つめ、男が舌打ちした。


「一匹逃げたか。」


「まあ良い。資料にあった顔じゃない」


月明かりの下、長い耳が影を落とす。


「もっとも、次会ったら殺すがな」

登場人物紹介

西にし 友貴ともき

生年月日:1998年10月16日 / 出身:新潟県

階級:陸士長 / 所属:第12偵察隊

備考:菊花山で斥候をしていた際に敵兵と遭遇。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミリタリー SF ファンタジー 自衛隊 戦争
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ