表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
外星戦記  作者: 無名の凡夫
第3章 九州奪還へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
189/261

第187話 成立条件

苫米地杏南…じゃなかった、カラーノです。どうもまだ、コードネームで名乗るのには慣れていません。


私達、新しくGASTに入隊した4人は、会議終了後、中隊長より、それぞれの配属先を言い渡されました。


「お前達4人の配属先を伝える。カラーノはピットブル、ギラードはタイガー、シリング(伝川)はセイレーン、マメッド(万代)はアルバトロスだ。あと、クラウスレイもアルバトロス班に入れ。」(シルビア)


「了解」


こうして、それぞれの班に振り分けられた私達は、各班の班長へ挨拶に向かうわけですが…。


「お前の力は知っている。だが――前の作戦、詰めが甘かったな。ああいうのは現場じゃ死人が出る。作戦の立案はまだまだだ。黙って上官の言う事を聞いておけ、余計な事はするな。」(BJ)


……。


酷い言われようです…。ですが、班員の皆さんはとても親切で、班長の悪態を謝ってくれました。


「はっはっは~口悪いよね~」(シャーク)


「ああ見えて良い人なのよ…」(フロリアン)


「そうそう、私達はBJ班長だから着いて行ってるの!」(エルメス)


班長のフォローも忘れません。きっと、班長は慕われているのでしょう。……統制は取れています。班長の言動と、隊員の反応が矛盾していない。ピットブル班の強さもこの目で見ました。疑う余地はありませんが…。


その時、通信が割り込みました。


「ピットブル、応答しろ。アイアン班が退路構築を開始している。前衛警戒に回れ」(シルビア)


空気が一瞬で変わります。先ほどまでの軽い空気は消え、全員が同時に動き出しました。


「聞いた通りだ。移動するぞ」(BJ)


短い指示でしたが、それで十分でした。班員はそれぞれの装備を確認し、無駄なやり取りもなく持ち場につきます。私は一歩遅れて、その流れに続きました。


「カラーノ、前に出過ぎるな。視界を広く持て」(BJ)


「了解です」


評価されているのか、釘を刺されているのか。どちらにしても、期待されている役割は明確でした。私は呼吸を整え、周囲の地形と動線を頭の中でなぞります。


やがて、破壊された構造物が見えてきました。関門橋の残骸――その一部を利用して、アイアン班が足場の確保を進めています。鉄骨が剥き出しになり、海面の上に不安定な線を描いていました。


「遅かったな。もう少しで組み上がる」(タハ)


「予定通りか」(BJ)


「想定内だ。ただし、長くは持たない。負荷をかけすぎれば落ちる」(タハ)


淡々としたやり取りの中で、状況は十分に伝わってきます。ここは“通るための道”であって、“戦う場所”ではない。長居すれば終わりです。


私は橋脚の配置と視線の通り方を確認しました。敵がこの地点を監視しているとすれば、正面ではなく側面からの射線が通りやすいはずです。


「……視線は分散していますが、完全ではありません。接近すれば捕捉されます」(カラーノ)


「分かってる。だからお前らがいるんだろ」(BJ)


その一言で、自分が“戦力として数えられている”ことを理解しました。


タタン!


その言葉が終わるより早く、乾いた音が響きました。金属を叩く衝撃。次の瞬間、足場の一部に火花が散ります。


「敵ね、数は多くないわ」(フロリアン)


「散開しろ。アイアンを止めさせるな」(BJ)


戦闘が始まりました。ですが、大規模な交戦ではありません。こちらの動きを察知した敵が、小規模に接触してきた形です。


「射線、通るか……いや、遮蔽が多い。これは厳しいぞ…」(ガーツ)


「なら私の出番だね!」(シャーク)


シャークさんが前に出ます。迷いのない素早い動きでした。距離を一気に詰め、近接で制圧します。


「前、任せたよ~!」(シャーク)


「了解」(フロリアン)


フロリアンさんは一歩引いた位置で全体を見ています。射線の整理と、各員の位置調整。見ていて分かる、安定した指揮でした。


私は一瞬、判断に迷いました。側面に回るべきか、正面の支援に入るべきか。理屈では側面です。ですが――現場は、理屈よりも速さを要求していました。


「遅い! 今は正面だ」(BJ)


指摘は短く、的確でした。私はすぐに動きを修正し、前線の支援に入ります。敵の数は多くありませんが、位置が悪い。長引けば、こちらが不利になります。


「あとどれくらいだ?」(BJ)


「もう少しだ。固定を終えれば通せる」(タハ)


時間を稼ぐ。それが今の任務です。私は呼吸を整え、次の射線を取ります。理屈だけでは足りない。現場は、常にその一歩先を要求してきます。やがて、アイアン班から合図がありました。


「通せる。だが一度に通すな。負荷が分散できない」(ルース)


「ここが崩れれば、侵入部隊の退路は消える。渡った後に戻れなくなるぞ」(タハ)


「十分だ。ピットブル、後退しながら離脱する」(BJ)


戦闘は短時間で終わりました。ですが、残ったのは明確な感覚です。この作戦は、確かに“通る余地がある”。ただしそれは、少しでも噛み合わなければ崩れる危うさの上に成り立っている。


成功率3割――その数字の意味を、私はようやく理解し始めていました。ですが、それを受け入れられているのかどうかは、まだ分かりませんでした。


登場人物紹介

カラーノ……本作のヒロイン。ピットブル班に配属される

BJ……GASTピットブル班の班長

シャーク……ピットブル班の副班長

フロリアン……ピットブル班の隊員

エルメス……ピットブル班の隊員

ガーツ……ピットブル班の隊員

シルビア……GASTの中隊長

タハ……GASTアイアン班の班長

ルース……GASTアイアン班の隊員

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミリタリー SF ファンタジー 自衛隊 戦争
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ