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外星戦記  作者: 無名の凡夫
第3章 九州奪還へ

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第182話 命令違反者

俺は運天要だ。今現在、オペレーション・ミネルヴァ(第8次首都圏奪還作戦)で命令違反を行ったとして、無期限謹慎中だ。


オペレーション・ミネルヴァでは散々な目に遭った。俺は多くの仲間を死なせ、自分も死ぬかもしれない、そんな窮地に陥った。あの時、GASTに助けて貰わなければ、俺も死んでいただろう。


しかし、自分の行動が全て間違っているとは思っていない。どうも、上官連中の命令は消極的すぎる。あのまま指示通りに動いていたら、状況はもっと悪くなっていたはずだ。俺はそう思っている。


もっと前に出るべきだった。もっと強く踏み込むべきだった。……最後の判断で、ミスはしたかもしれない。だが、それまでは――


「……」


そこで、言葉が止まる。


結果?


そういえば、俺は何を残した?


頭の中を探っても、はっきりしたものが出てこない。


「……」


何もしていないのか?


いや、違う。そんなはずはない。


あの時、前に出たからこそ繋がった場面もあった。あれがなければ、もっと早く崩れていた可能性だってある。ただ――それを、結果として示せなかっただけだ。だったら、次は形にする。



―別日―


「失礼します。」(要)


俺は連隊長室へ呼ばれた。連隊長執務室は静かだった。無駄なものがない。机と書類、最低限の調度品だけが整然と並んでいる。


俺は一歩踏み込み、正面を向いた。机の向こうに、空間連隊長。横には、腕章を付けた男が一人。


「座りなさい」(空間)


「はい」(要)


連隊長に言われ、俺は椅子に腰を下ろす。


「第103地区警務隊、月城だ」


横の男が名乗る。まるで機械のようで、表情は動かない。


「本件については、既に記録と照合が済んでいる」(月城)


端末を一度だけ操作する。


「運天一士。貴様はオペレーション・ミネルヴァにおいて、命令を逸脱し、独断で前進行動を実施した。相違ないな?」(月城)


「……はい」(要)


「結果として、部隊は孤立。損耗が発生している」(月城)


「……はい」


否定はしない。


「以上の事実に間違いはないな?」(月城)


「ありません」(要)


月城三佐は小さく頷き、入力を終える。


「確認した(月城)


それだけ言って、視線を横へ流す。空間連隊長が口を開く。


「運天一士」(空間)


「はい」(要)


「なぜ、命令に従わなかった?」(空間)


問いは単純だった。俺は、少しだけ言葉に詰まった。


「……前に出る必要があると判断しました」(要)


「必要?」(空間)


「はい。あのままでは、状況は悪化すると考えました」(要)


空間連隊長は表情を変えない。


「その判断で、結果は出た?」(空間)


「……」(要)


言葉が詰まる。痛いところを突かれた。


「出ていません」(要)


「そうだね」(空間)


否定も肯定もない、事実確認だけの声だった。


「貴官の行動は、命令違反だ。結果として戦力を損耗させている」(空間)


「……はい」(要)


「よって――無期限謹慎、併せて昇任停止とする」(空間)


「了解しました」(要)


反射的に返す。


「前線復帰については、再評価とする」(空間)


そこで一度、言葉が切れる。空間はわずかに視線を細める。


「……1つだけいい?」(空間)


「はい」(要)


「同じ状況になった場合、どうする?」(空間)


言葉に詰まる。ほんの数秒。


「……命令には従います」(要)


形式としては、正しい答えなのだろう。だが、連隊長は何も言わず、ただ見ている。沈黙が、わずかに長くなる。


「……ただし、状況が同じであれば、前に出る判断自体は、間違いではなかったと考えています」(要)


空気が変わった。月城三佐の指が止まる。


「問題は――結果を出せなかったことです」(要)


「次は、同じ判断でも、結果を出します」(要)


俺は信念を曲げるつもりはない。しかし、連隊長室の空気が、わずかに張り詰める。連隊長は、しばらく何も言わなかった。やがて、短く息を吐く。


「……そう」(空間)


それだけだった。


「下がりなさい」(空間)


「はい」(要)


椅子から立ち上がる。敬礼し、踵を返して、扉へ向かう。ドアノブに手をかけたところで――


「運天一士」(空間)


足が止まる。振り返らないまま、返す。


「はい」(空間)


「結果を出す前に、組織を壊すな」(空間)


「……」(要)


一瞬だけ、言葉に詰まる。


「……了解しました」(要)


命令には従う。それは、当然だ。だが――それで終わるつもりはない。


廊下は静かだった。


さっきまでの空気が、嘘みたいに薄い。


「……」


無期限謹慎。昇任停止。頭では理解している。だが――


「……まだ、終わってない」(要)


命令には従う。次は崩さない。それでも――前には出る。結果を出す。それ以外に、俺がここにいる意味はない。


歩き出す。行き先は決まっていない。だが、足は迷わなかった。


登場人物紹介

運天うんてん かなめ……オペレーション・ミネルヴァで命令違反を繰り返す

空間そらま 瑠衣るい……35普連の連隊長

月城つきしろ 駈門くもん……第103地区警務隊所属

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ミリタリー SF ファンタジー 自衛隊 戦争
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