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外星戦記  作者: 無名の凡夫
第2章 成長と挫折

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第173話 決断

―官邸―


会議室の空気は、張り詰めていた。机の上には資料が並んでいる。だが、誰もそれを見ていない。視線は一つの画面に集まっている。同じ映像だった。


撃つ、倒れる、それが繰り返される。


「……世論の動きは?」(永久井(とわい)(はしら):内閣総理大臣)


総理の声は低い。


「急速に悪化しています。支持率は一日で大きく下落。特に無党派層の離反が顕著です」


「デモも拡大しています。週末には全国規模になる見込みです」


淡々と報告が続く。


「海外の反応は?」(永久井)


「一部で批判が出始めています。人権問題として扱われる可能性があります」


沈黙が落ちる。



「事実関係は?」(永久井)


防衛大臣が口を開く。


「現時点では断定できません。ただし、映像の位置、装備、部隊行動の記録から見て――」(湯場)


言葉が止まる。


「……否定は困難かと」(湯場)


誰も顔を上げない。




――臨時国会――


「現場の判断です」(湯場)


ようやく、防衛大臣が続ける。


「敵拠点への突入時における、脅威排除行動の一環であり――」(湯場)


「それを国民が理解すると思うか!」(的場)


野党議員の一言で遮られる。静かになった。だが、それで十分だった。



「……このままでは、作戦の継続は困難です」


誰かが言う。それは提案ではなく、結論に近かった。




―別室―


「このまま押し切れば、政権が持ちません」


「分かっている」(永久井)


「野党は不信任を準備しています。与党内からも動きが出始めています」


短い会話。


「……選択肢は?」(永久井)


「2つです」


「説明して押し切るか、あるいは――」


言葉が止まる。


「……切るか」(永久井)


総理が引き取る。誰も否定しない。




―臨時拠点―


「出撃、まだか?」


「待機だ」


短いやり取り。車両は並んでいる。人員も揃っている。だが、動かない。


「遅いな」


誰かが呟く。その理由は、もう誰もが分かっていた。


要は装備を確認していた。


無駄のない動き。準備は整っている。だが、出る先がない。一瞬だけ手が止まる。すぐに動く。動きを止めない。


僕はその光景を見ていた。


戦う準備はできている。だが、戦う理由が揺れている。


「……」


言葉にできなかった。




―テリムトー


端末の画面に、同じ映像が流れている。


「広がりましたね」


静かな声。


「想定以上だ」


応じる声も、落ち着いている。


「これで、次のフェーズへ移れる」


「ええ――」


会話は短い。結論は出ている。




―官邸―


「……決める」(永久井)


総理の言葉に視線が集まる。


「オペレーション・ミネルヴァは、一時停止とする」(永久井)


誰も動かない。


「事実関係の調査を優先する」(永久井)


それは、表向きの理由だった。


「併せて、解散を行う」(永久井)


空気が変わる。


「国民に信を問う」(永久井)


決定だった。




―臨時拠点―


無線が入る。


「各隊に通達。オペレーション・ミネルヴァは一時停止」


一瞬、音が消えたように感じた。


「全隊、現位置にて待機。続報を待て」


それで終わる。


「……中止かよ…」


誰かが言う。否定する者はいない。


要は、そのまま立っていた。動かない。だが、視線は落ちていない。前を見ている。


僕は銃を持ったまま、何もできなかった。戦場はそこにある。だが、進めない。


戦争は、止まっていない。ただ、形を変えただけだった。


登場人物紹介

永久井とわい はしら

生年月日:1945年2月20日 / 出身:宮崎県

備考:現内閣総理大臣


湯場ゆば 雅人まさと……防衛大臣

的場まとば 大和やまと……野党・社会一新党の議員

段場だんば 隼人はやと……本編の主人公

運天うんてん かなめ……隼人の同期

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ミリタリー SF ファンタジー 自衛隊 戦争
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