表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
外星戦記  作者: 無名の凡夫


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

134/146

第132話 浅川へ急げ

「(来る……っ!)」(隼人)


視界の端で、敵軍装甲車の機関砲が火を噴くのが見えた。アスファルトが爆ぜ、巻き上がったつぶてが頬を掠める。


「止まるな! 走り抜けろ!」(ペッシ)


前を走るペッシさんが、走りながら腰のホルスターから信号弾を抜き出し、後方の装甲車に向けて放った。直撃こそしないものの、強烈な発光が砲手の照準をわずかに狂わせる。その隙に、僕はクラウスレイさんを背負い直し、コンクリートの残骸を飛び越えた。心臓が破裂しそうなほど脈打ち、肺が灼けるように熱い。でも、背中の重みが“ここで止まるな”と命じていた。


「(まだだ……まだ死なせちゃいけないんだ!)」(隼人)


前方100m。目標のホバーキャリアが、敵兵の怒号の中に鎮座している。


「あと少し!」(イーゴ)


ペッシが振り返る。


「(段場…よし、着いて来れてる!)」(ペッシ)


だが、その進路を阻むように、2体の歩兵がを構えて立ち塞がった。


「撃てぇ!」


「!!」(イーゴ)


「ちくしょう、ここまで来たのに…」(イーゴ)


擲弾が直撃した。


「――あ」(イーゴ)


それが、イーゴさんの最期の声だった。


その爆風でペッシさんも吹き飛ばされ、背中を強く打って起き上がれないようだった。


「う、うう…」(ペッシ)


その隙をグーリエ星人が見逃すはずもなく、ペッシさんを取り囲んだ敵歩兵が、軍刀を突き刺す。何度も、何度も…。


「うぐあああああああああああああああ」(ペッシ)


声にならない声が、水と血に沈んだ。


ペッシさんの断末魔の悲鳴を聞きながら、僕は先程の歩兵と対峙している。当然、僕にも自動投擲銃が向けられている。


「くそ、最後まで諦めないぞ…。」(隼人)


僕は89式小銃を構え、引き金を引いた。


「隼人、下がれ!」(小城)


その時、小城が僕の前に現れた。小城は、素早い動きで目の前の2体を仕留めた後、こちらに砲口を向けた装甲車両に発砲した。小城の弾が、開きかけた砲口の内部に吸い込まれる。次の瞬間――内部から爆ぜた。


ドオオオオン!


敵装甲車両は砲口の中で暴発し、僕達は無事ホバーキャリアを鹵獲することに成功した。


「隼人、三宝寺を拾ってお前は立川へ向かえ! さっき、救護用のヘリが出ると連絡が来た! まずは浅川まで向かえ!」(小城)


「分かった! 死ぬなよ、小城!」(隼人)


「お前は怪我人を死なすなよ!」(小城)


僕は急ぎ、三宝寺の下へ向かい、彼を乗せた。


「私も行くわ。私がいれば、通信が通る可能性があるわ…!」」(天津種)


天津種中隊長もホバーキャリアに同乗した。腐っても中隊長。確かに本部との通信はスムーズになるかも。


「(残っても役に立ちそうにないし…)」(隼人)


「羽虫が逃げるぞ!」(フランシスコ・ファストゥーロ少尉)


「小隊長、追いますか?」


「当然だ! 一匹たりとも逃がさん!」(ファストゥ―ロ)


「追手よ、追手が来るわ!」(天津種)


天津種中隊長が怯えて叫ぶ。一機の敵装甲車が、僕らの方へ向かっている。当然、僕だって分かっている。しかし、それよりも今は一刻も早く、1mでも先に進むことが優先だ。あの装甲車は仲間に託すしかない。


「三宝寺、クラウスレイさんの状況を見守っていてくれ。」(隼人)


「りょ!」(三宝寺)


三宝寺の意識ははっきりしている。片腕を怪我して不憫だと思うが、僕はこのホバーキャリアを操縦しなければならない。幸い、車と同じ要領で操縦出来た。変にパスワードもかかっていなかったので、僕らは浅川へ向かうことが出来た。


「(……まだ、呼吸はある……!)」(三宝寺)


「段場を守れ! 何がなんでもクラウスレイを搬送するんだ!」(橋本)


「止まりやがれ!」(諏訪)


「周りの歩兵は俺が!」(小城)


小城が周辺の歩兵を仕留めている間、諏訪はファストゥーロが乗る装甲列車のハッチを開け、乗組員を1人ずつ仕留めていく。その横では、杏南が同じように高校車両のハッチを開けて敵を仕留めていた。


「(小城の奴、あいつも俺と同じように力に目覚めたな。さっきよりも動きが全然違う。…ありがたい。こういう奴は1人でも多い方がいい。)」(諏訪)


「苫米地、小城! 俺達は装甲車両を破壊するぞ!」(諏訪)


「了解!」(杏南、小城)


「段場、行け!」(橋本)


振り返るな、と言われている気がした。それでも――振り返りそうになる足を、無理やり前に出す。背後で、装甲車の砲が火を噴いた。


登場人物紹介

フランシスコ・ファストトゥーロ

種族・性別:ヒト族の男性

所属・階級:陸軍少尉で、三宿に駐在している機械科歩兵大隊

備考:諏訪によって討たれる


イーゴ:本名:出来谷できや 碧生あおい

生年月日:1995年3月31日 / 出身:鳥取県

階級:三等陸曹 / 所属:GAST「ラビット班」

享年:26歳


ペッシ:本名:河西こうざい あかね

生年月日:1996年10月17日 / 出身:千葉県

階級:三等陸曹 / 所属:GAST「バイパー班」

享年:25歳


段場だんば 隼人はやと……本編の主人公

苫米地とまべち 杏南あんな……隼人の同期で恋人

小城こじょう 聖太せいた……隼人や杏南の同期。謎の力が覚醒する

橋本はしもと 紋次もんじ……35普連1中隊の中隊長

天津種あまつたね うらら……35普連2中隊のポンコツ中隊長

三宝寺さんぽうじ 海斗かいと……35普連1中隊の新人


※隼人が鹵獲したホバーキャリアは水陸両用です。イーゴは、帝国兵のホバーキャリアが水陸両用なのを把握していました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ