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外星戦記  作者: 無名の凡夫


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第127話 遭遇

敵の補給拠点1つを制圧した僕らは、次の目的地へ向かう事になった。


「次のターゲットは、目黒駐屯地だ。」(ヤオ)


「グーリエ星人は、駐屯地をそのまま軍事基地にしている。さっきのやつは例外みたいなものだ。次は、目黒を落とし、都内に潜伏する。残念だが、プレヤディッチの居場所はまだ掴めていない。奴は神出鬼没で、なかなか居所を掴めない。」(ヤオ)


「都庁、国会議事堂、皇居あたりがプレヤディッチの住処として可能性が高い。なら、練馬・朝霞・十条・目黒の駐屯地は警備が手厚いはずだ。そこを順に潰していく。」(ヤオ)


「この人数で大丈夫なんですか?」(隼人)


「やるんだよ。」(ヤオ)


ヤオさんの言葉に、僕たちの間に緊張が走った。僕たちは血のついた戦闘服を整え、闇に紛れて移動を開始する。補給拠点の戦いで負った疲労、そして失った3人の仲間の面影が、重い足枷のようにのしかかっていた。


「(目黒まで行けば、もっと多くの日本人がいるはず。そこを解放できれば……)」(隼人)


僕は自分に言い聞かせるように、震える手で小銃を握り締めた。だが、目的地である目黒駐屯地まであと数キロという地点。多摩川を越え、街の静寂が不気味なほど深まった十字路で、それは突如として現れた。




「(何か視線を感じ――)」(ヤオ)


パァン――。


乾いた音が、静寂を切り裂いた。


「……え?」


誰かが間の抜けた声を漏らす。ヤオさんの身体が、前のめりに崩れた。地面に叩きつけられるその瞬間まで――誰一人、何が起きたのか理解できなかった。


「……ヤオ?」(橋本)


返事はなかった。頭部は、既に原形を留めていなかった。


「狙撃手?」(隼人)


街灯が、チカチカと明滅する。その中央に――“最初からそこにいたかのように”、一人の女が立っていた。


「――静かに歩けないのかしら」


その声は小さいのに、全員の鼓膜に直接触れてくる。誰も、動けなかった。


「あ、アイツは…。」(バルカン)


「こんなところでお出ましか…。」(トロ―ジャン)


中心に立つのは、純白の軍服を纏った麗人。その優雅な立ち振る舞いとは裏腹に、彼女が放つ殺気は、先程戦ったアイゼンやアスゲニフが子供騙しに見えるほど圧倒的だった。


「あれが、プレヤディッチ…」(隼人)


「(ぞくっ…!)」(杏南)


「(こいつは……ヤバい…)」(諏訪)


杏南も諏訪も、このプレヤディッチの強さを肌で感じていた。そして、どう足掻いても敵わないことを…。


「(それに、他の3体もかなりの手練れだ。最悪だ…。この戦力では、勝てない…。)」(諏訪)


「総員、気を引き締めろ。こいつは、正面から戦って勝てる相手じゃない…。」(トロ―ジャン)


「ヤオさん…。」(隼人)


僕はヤオさんの亡骸に目を向けた。特戦群として、僕たちを導いてくれた最強の「フクロウ」が、戦うことすら許されず地面に転がっている。


「私の民を殺し、平和を乱す鼠には、相応の罰を与えなければならない。……さあ、お前たちよ。掃除の時間だ」(プレヤディッチ)


プレヤディッチが指を鳴らした瞬間、背後の3人が弾丸のような速度で肉薄してきた。


「バルカン、皆を逃がせ! ここは俺が止める!」(トロージャン)


「本部、プレヤディッチと遭遇! 予想より早く接触し、状況は圧倒的不利! 我々は撤退する。プランBへの下方修正を求める!」(バルカン)


トロージャンさんが叫びながら、背中の重火器を展開する。だが、その前にブリンキンが立ち塞がった。


「遅い」(ブリンキン)


声がした瞬間、トロージャンさんの上半身と下半身が、ずれていた。


「くそおおおッ!」(バルカン)


バルカンさんがロケットランチャーを構える。だが、シュグルポッターの放った一撃が、放たれる前の弾頭を直撃させた。爆炎の中、僕たちの盾だった特戦群の3人は、瞬く間にこの世から消し去られた。


「あ、ああ……」(隼人)


「撤退だ! 一度引く!」(天津種)


そう叫んだ直後、彼女は誰よりも早く背を向けていた。……違う。彼女は“判断した”のではない。 “耐えきれなかった”のだ。


「ひ、ひぃぃ……! 死にたくない、私はまだ、こんなところで……!」(天津種)


彼女は震える手で背嚢や拳銃を投げ捨て、部下たちを盾にするように、真っ先に後方の闇へと走り出した。


「中隊長! どこへ行くんですか!」(諏訪)


諏訪陸士長の怒声も届かない。天津種中隊長は、生き残った僕たちのことなど一顧だにせず、ただ自分の命を守るためだけに逃走していった。


「(あの野郎……自分だけ……!)」(益子)


「(謹慎しても効果はなかったな!)」(富貴)


だが、恨んでいる暇すらない。プレヤディッチの側近たちが、今度は僕たちへと牙を剥く。


「逃がさないよ」(オズスリットリウム)


目の前に死の影が迫る。その時だった。


「――段場、日下部! 止まるな! 走れ!!」(豆小玉)


豆小玉三曹、飯田三曹、そして高村二曹。レンジャーのバッジを付けた上官達が、僕たちの前に立ち塞がった。


「豆小玉三曹、飯田三曹!?」(隼人)


「……なあ、段場」(高村)


「俺、ずっと思ってたんだよ」(高村)


「強い奴ってのは、 “死なない奴”じゃなくて――」(高村)


ピンを抜く。


「 “誰かを生かせる奴”なんじゃねぇかってな」(高村)


高村二曹は、悩める表情を消し、晴れやかな、しかし決死の笑顔で僕に背中を見せた。


登場人物紹介

段場だんば 隼人はやと……本編の主人公

苫米地とまべち 杏南あんな……隼人の同期で恋人

諏訪すわ 明登めいと……隼人への当たりがきつい陸士長

橋本はしもと 紋次もんじ……35普連1中隊の中隊長

天津種あまつたね うらら……35普連2中隊の中隊長。敵前逃亡を図る

益子ますこ 武朗たけろう……35普連2中隊の問題児

富貴ふき 彪雅ひょうが……35普連2中隊の三等陸曹

豆小玉まめこだま 芙琉ぶりゅう……隼人直属の上官

飯田いいだ 源紀げんき……35普連2中隊のレンジャー持ち

高村たかむら 伸作しんさく……悩めるレンジャー隊員


ヤオ……本名:芳賀はが 統心とうしん

生年月日:1993年4月30日 / 出身:神奈川県

階級:二等陸曹 / 所属:特戦群4中隊

享年:28歳


トロ―ジャン……本名:雪下ゆきした 那行ないき

生年月日:1993年1月13日 / 出身:徳島県

階級:三等陸曹 / 所属:特戦群4中隊

享年:28歳


バルカン……本名:帆高ほだか しん

生年月日:1995年2月5日 / 出身:大阪府

階級:三等陸曹 / 所属:特戦群4中隊

享年:26歳


ピッピディー・プレヤディッチ

種族・性別:ダークエルフの女性

所属・階級:陸軍中将、テリムトの総督府

備考:帝国初の女性将校


ホルナ・オズスリットリウム

種族・性別:天使族の女性

所属・階級:陸軍大尉

備考:大月の戦いでの敗戦で少佐から大尉に降格させられた


パウ・シュグルポッター

種族・性別:獅子型獣人族の男性

所属・階級:陸軍中尉

備考:大月の戦いでの敗戦で大尉から中尉に降格させられた


トビ・ブリンキン

種族・性別:熊型獣人族の男性

所属・階級:陸軍少尉

備考:大月の戦いでの敗戦で中尉から少尉に降格させられた

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