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外星戦記  作者: 無名の凡夫


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第110話 襲撃

苫米地杏南です。


翌朝、私たちはレンジャー訓練を再開しました。津丸一士の死を受け、死に対する張り詰めた緊張と、それを乗り越えなければならないという強い義務感が渦巻いていました


「ロープ橋は全員まだ終えていない。諏訪・美村、伝川・苫米地ももう一度やれ。まずは、高村と西から始めろ。」(五十鈴)


「レンジャー!」(高村・西)


死亡事故が起きたロープ橋です。高村二曹も西三曹も、細心の注意を払いながらも、全身全霊でロープを掴んでいました。


「レンジャー! レンジャー!」(高村)


気合の入った掛け声で、高村二曹がスムーズに進んでいくと、凍り付いていたはずの訓練生たちから、自然と声が上がりました。


「良いペースです。このまま油断せずに!」(段団)


「西も続け! 頑張れ!」(飯田)


助教からはすぐに罵声が飛びます。


「お前等、人の事よりも自分の心配をしろ!」(秋口)


「テメェ等は、他人を応援できる立場なのか?」(原崎)


「違います。ですが、応援させてもらいます!」(輪床)


輪床三曹は迷いを断ち切ったように言い放ちました。助教からの叱責も気にせず、私たちは互いを鼓舞し合うことで、悲劇を乗り越えようとしていたのです。


「生意気な……」(原崎)


そう呟く原崎だったが、隊員達の成長を嬉しく思っていた。


こうして、全員が無事、ロープ橋を終え、続いてヘリでの降下訓練へと移ろうとした、その時でした。五十鈴教官が、まるで時が止まったかのように、ピタリと動きを止めました。


「全員、武装しろ。」(五十鈴)


その声は小さかった。ですが、命令です。


「……いる」(五十鈴)


「!?」


教官の冷たく低い命令に、張り詰めた緊張が走ります。


「敵だ。おそらく15体。大綱助教、本部に報告。援軍を要請しろ。」(五十鈴)


「了解!」(大綱)


私は敵の気配にまったく気付けていません。角南三曹や、諏訪陸士長も気付かなかった。それだけ手強い敵、あるいは、私たちが想像もできないほどの速度で接近していると判断できます。


「敵の気配は感じないぞ…。」(諏訪)


「教官だけが気付いた!?」(朱杏)


「ってことは、敵は相当な手練れ?」(万代)


「(何も感じない……それが一番おかしい)」(杏南)


五十鈴教官は、一切の迷いなく行動を開始しました。


「(……動き出した。おそらく、こいつが一番強い。ならば、先に片付ける。)」(五十鈴)


「苫米地、お前は俺について来い。敵の頭を討つ。ここの指揮は、秋口助教が取れ。警戒を怠るな。」(五十鈴)


「レンジャー!」


御在所岳の稜線。帝国軍の斥候部隊が、警戒態勢を敷いていた。


「メーレ支隊長! 敵の場所を確認出来ました。ここから前方約6km、数は20匹!」(テンス・ボイウド軍曹)


「たった20匹、俺達の敵ではありませんね!」(マモル・ギンナン曹長)


「いや、油断してはダメだ。ターゲットは、ポートレミ中佐殿が警戒していた奴よ。」(サリー・サビオ准尉)


「そうだ、油断することなく、確実に仕留めるぞ!」(サウザン・メーレ少尉)


「了解!」


「支隊長! 敵が前方から猛スピードでこちらへ向かっています!」(ドゥ・ナビレ伍長)


「数は?」(メーレ)


「たった2匹です!」(ナビレ)


「なら、問題ない! 総員、散開しろ!」(メーレ)


「了解!」


メーレが散開を命じた、まさにその時。メーレの背後から囁くような声が聞こえる。


「前ばかり見てると、死ぬよ」(???)


声は近かった。近すぎた。


「!?」(メーレ)


「いつの間に!?」(メーレ)


メーレは、考える間もなく、首筋に走った冷たい感触とともに息絶える。


「支隊長!?」(サビオ)

「おのれ!」(サビオ)


サビオは、メーレを仕留めた相手に反射的に飛び掛かるも、そこには既に誰もいない。


「何!? 一体どこへ!? 速すぎる!」(サビオ)


「ここだよ。」(???)


次の瞬間、サビオの腹部に強烈な衝撃が走り、彼女は内臓を抉られたような苦痛に顔を歪ませる。


「ぐあっ……」(サビオ)


「サビオ准尉!?」(ナビレ)


ボイウドとギンナン、ナビレの3人が、連携も取らず一斉に敵へ飛び掛かる。しかし、その未知の敵の動きについて来ることができない。


「鳥人族が闇雲に突撃したらダメだよね。」(???)


「???」は、一瞬で懐に入り込み、グラップル・ワイヤーをボイウドの戦闘服に引っ掛け、自分の下に引き寄せた。


「丈夫な軍服が仇になったね。」(???)


ナイフが閃き、ボイウドの喉元を正確に切り裂く。すかさず、ギンナンとナビレに2発の銃弾が発射され、2人はあっさりと仕留められた。


「つ…強い……化け物だ……」(ギンナン)


「???」が1個支隊を仕留めた数分後、その現場に五十鈴教官と苫米地が到着した。そこには、わずか数分で戦闘不能に陥った5体の帝国兵の死体が転がっていた。


「敵の頭は仕留めたよ。」(???)


そう言った男の足元に、血はほとんどありません。目の前の男は、顔を覆面で隠したGASTの隊員でした。


「あんたは……」(五十鈴)


五十鈴教官は、その男の顔を見て、張り詰めていた緊張を一瞬緩めました。


「ネイマン班長。」(五十鈴)


登場人物紹介

ネイマン…班長と呼ばれていたので、GASTの班長の1人だと思われる。


サウザン・メーレ

種族・性別:ダークエルフの男性

所属・階級:帝国陸軍少尉、テリムト特殊作戦部隊

備考:ネイマンに仕留められる


サリー・サビオ

種族・性別:ダークエルフの女性

所属・階級:帝国陸軍准尉、テリムト特殊作戦部隊

備考:ネイマンに仕留められる


マモル・ギンナン

種族・性別:ダークエルフの男性

所属・階級:帝国陸軍曹長、テリムト特殊作戦部隊

備考:ネイマンに仕留められる


テンス・ボイウド

種族・性別:カラス型鳥人族の男性

所属・階級:帝国陸軍曹長、テリムト特殊作戦部隊

備考:ネイマンに仕留められる


ドゥ・ナビレ

種族・性別:猿型獣人族の男性

所属・階級:帝国陸軍伍長、テリムト特殊作戦部隊

備考:ネイマンに仕留められる


レンジャー教育の訓練生

苫米地とまべち 杏南あんな……本作のヒロイン

諏訪すわ 明登めいと……35普連2中隊所属

角南すなみ 朱杏しゅあん……35普連4中隊所属

万代ましろ 佑大ゆうだい……31普連2中隊所属

高村たかむら 伸作しんさく……35普連1中隊所属、学生長

西にし 友貴ともき……12偵1小隊所属

段団だんだん 圭河けいが……49普連2中隊所属

飯田いいだ 源紀げんき……35普連2中隊所属

輪床わとこ 圭慎けいしん……35普連3中隊所属


教官・助教

五十鈴いすず 寛治ひろはる……教官、GAST所属

秋口あきぐち 将光しょうこう……助教、水機団所属

大綱おおつな おさむ……助教、特戦群所属

原崎はらさき かい……助教、13普連所属


※テリムト特殊作戦部隊は、東海地方の情報収集のため潜入していましたが、レンジャー試験をしていることを察知し、そこに杏南も参加しているということで、討伐すべく向かっていました。杏南だけ仕留めてすぐに去る予定でしたが、ネイマンにより、隊長のメーレを討ち取られました。次回は、残敵との戦闘に入ります。


ちなみに、五十鈴は、杏南討伐の可能性も視野に入れて、共に行動させました。五十鈴は、帝国兵から見た自身の置かれている立場――遭遇したら逃げても構わないと言われている警戒されている程の強さ――を把握しており、それを利用した形です。

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