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外星戦記  作者: 無名の凡夫


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第10話 初接触、そして捕獲

俺様の名は、コミック・ルマパ。栄えあるアステリム帝国海軍で伍長をしている。そんな俺様だが、今、地球という星に来ている。


グーリエ星は2000後に消滅するってんで、俺たちは新しい住処を探している。そして見つけたのが、この星――地球だ。


文明は帝国に遠く及ばないが、住処としては悪くない。だから今、絶賛侵略中というわけだ。




―海上自衛隊横須賀基地 ※現テリムト横須賀基地―


「斥候でありますか?」


「自衛隊が横須賀を狙っている。」


ゼムファルト少佐殿は指を組んだまま言った。


「基地は無傷で防衛したい。奴らが来る前に動く。貴様は偵察だ。進路、規模、指揮官を確認しろ。」


「そしてX地点まで誘導する。そこが奴らの墓場になる。」


ゼムファルト少佐殿は、長い指を絡ませながら冷たく笑った。その話を聞いて、俺様は勝利を確信した。


「承知致しました。我が隊の力をもってすれば、地球の低能な連中など、容易に誘導できるでしょう。なんなら、小官の手で全滅させてみせましょうか?」


「油断は禁物だ。妙に利口な指揮官がいるらしいからな。」


「妙に利口な?」


「ああ、奴らはここ数年、妙に慎重になっている。今回の作戦も、湯河原駅裏に兵站拠点を築くらしい。小賢しい奴らだ。」


「その程度の小細工、我々帝国軍の敵ではありません。」


俺様は敬礼すると、部下であるリンデイ・アマハマ上等兵と、ファティ・バノアキ一等兵を引き連れ、湯河原町へ向かう。



―――そして今、湯河原の新崎川にいる。


それにしても、あの下等生物め、水棲種である俺様達を相手にするには、あまりにも無防備ではないか。川沿いを歩いている。警戒もしていない。


「……これが、この星の兵士か?」


思わず笑いが漏れた。


「こんな連中、三分もあれば片付く。」


上官からは、戦闘ではなく、罠を張っている本隊へ誘導することだと厳命されている。だが、これは殺してくださいと言っているようなもんだ。ここで戦功を挙げれば、伍長から一気に昇進できる。


「伍長、戦闘するのでありますか?」


真面目な性格のファティ・バノアキが、不安気に訪ねてくる。


「ファティよ、奴らを見てみろ。町民の捜索に気を取られて隙だらけだ。殺せるなら殺しておこうではないか。先の作戦を優位に進めるための、臨機応変な判断というものだ。」


「しかし、戦闘は極力避けるよう、厳命が下っています。それに、数で我々は不利です。」


「数は問題じゃねぇだろ。ファティ、今のうちに殺すことで俺達の功績になる! 命令に固執するな。」


もう1人の部下、リンデイ・アマハマが俺様に同調した。こいつとはウマが合う。戦場では、勇気ある行動が昇進に繋がるのだ。


「しかし……。」


「ええい、つべこべ言わず攻撃だ! 手榴弾を準備せよ!」



「川縁に何かいます。動きあり。」(諏訪)


「物陰に隠れ警戒せよ。銃を構えよ。」(地頭)




「伍長、見つかりました。」(バノアキ)


「ええい、まだ完全に見つかったわけではない! 構わん! 手榴弾を投げろ!」(ルマパ)


リンデイの投げた手榴弾が道路に転がる。次の瞬間、それが――跳ね返ってきた。あり得ない速度で。


「なっ——」



BOOM!



「ぎゃっ」(一同)


強烈な爆風が俺様の身体を叩き、意識が白く染まる。気が付けば、俺様は宙を舞い、アスファルトに叩きつけられた。



「か、河童!?」(隼人)


僕らの目の前で倒れている河童のような3体は、ピクリとも動かない。


「あれ河童だよな?」


木山も信じられないといった様子で呟いた。だが、あれがグーリエ星人の一派であることは間違いない。


「どうします?」


江鹿一曹は、自身の機転で危機を脱した直後だったが、上官である地頭曹長に指示を仰ぐ。


「生存を確認しよう。俺と亜久、江鹿と魚見、須田と中西でツーマンセルを組み、敵兵の生存を確認。生きていたら捕縛し、捕虜とする。瑛松は本部に報告だ。」


地頭曹長は即座に指示を出す。そこには一切の迷いがない。


「了解。」


「こちら、35普連2中隊・瑛松。敵兵と初接触。数は3体、河童のような姿をしていた。現在、生存を確認中。付近に敵兵がいる可能性もあるため、ドローンで周辺を確認して欲しい。座標は、35.148753、139.115016。尚、こちらに怪我人がなし。」(理央)


瑛松二曹は、既に銃を構え直したまま、無線で状況報告を行っている。他の隊員も、僕と木山以外は、道路沿いの警戒に当たっていた。


「おい馬鹿、ぼさっとするな。」(諏訪)


「すいません。」


「ったく……。」(諏訪)


本当にそうだ。敵の姿に気を取られ、周囲の警戒を怠った。敵が近くにいたら、今度こそ僕は死んでいたかもしれない。心臓が、胸の中で暴れていた。今までの訓練とは違う。これは、本物の戦場だ。この恐怖を乗り越えなければ、故郷には帰れない。


「こちら智川。周辺に敵らしき姿は見えません。ドローンによるカバー範囲内はクリアです。」


「了解。ありがとう。」(理央)


「曹長、こちらの敵兵バノアキは、死亡しているようです。」(中西)


「こっち(アマハマ)は、生きてるようですが、気を失っているみたいです。」(まひる)


「うむ、この敵兵ルマパも生きているが、気を失っているようだ。今の内に拘束だ。そして、死んでいる敵兵も、遺体を回収しろ。」(地頭)


「了解。」


「……これ、本当に河童か?」


誰かが呟いた。近くで見ると、皮膚は魚のようにぬめり、鰓のような線が首に走っている。人間とは、明らかに違う生き物だった。彼らが何故、そしてどのようにして、地球に現れたのか、謎は深まる。


「こちら、片桐。兵站拠点が完成した。周囲に敵兵なし。」


片桐連隊長より連絡が入る。


「了解。後続部隊は、拠点へ入れ。」(賀井)


「丁度良かった。捕虜2体と敵遺体1、拠点へ運んでも問題ないか?」(地頭)


「了解した。許可する。」(賀井)


「了解。では、江鹿、亜久、須田、木山で捕虜2体と遺体1を届けろ。残りの者は任務を続ける。」(地頭)


「了解!」


「はあ、戦線から離れるのは正直ありがたいぜ。」(木山)


「気を抜くなよ。安全な所なんてないぞ。」(隼人)


どこに敵が潜んでいるか分からない以上、安心はできない。ドローンでカバーできない範囲に敵が潜んでいるかもしれない。そのための哨戒任務だ。引き続き、僕らは任務を続けた。



横須賀基地――


「少佐、ルマパ伍長隊との通信が途絶しました。」


ゼムファルトは海図を見下ろしたまま、しばらく黙っていた。


「……はぁ。」


「アイツは何をやっているのだ。」


司令室に、静かなため息だけが残った。

登場人物紹介

コミック・ルマパ……帝国海軍伍長で、河童族の男性。調子に乗りやすく、すぐに過信する。


イリアン・ゼムファルト……帝国海軍少佐で、半漁族の男性。


リンデイ・アマハマ……帝国海軍上等兵で、河童族の男性。ルマパ同様、調子に乗りやすく、すぐに過信する性格。バノアキの兄貴分。


ファティ・バノアキ……帝国海軍一等兵で、河童族の男性。アマハマに同郷ということで可愛がってもらっているが、性格はアマハマとは真逆で真面目で堅実。ルマパとアマハマが調子に乗ったばかりに戦死してしまったと言っても過言ではない。


段場だんば 隼人はやと……本編の主人公。今のところ、特に活躍していない。


亜久あく 弘夏こうか……1992年8月7日生まれ 千葉県出身 階級は二等陸曹。35普連2中隊所属。理央と同期。


須田すだ 寿一じゅいち……1994年9月13日生まれ 三重県出身 階級は二等陸曹。35普連2中隊所属。


グーリエ星に存在する種族

河童族……日本で伝説の生き物とされているあれ。きゅうりが好物かどうかは不明。頭の皿は乾いていても大丈夫だが、濡れている方が、動きが良くなる。水陸両方で動けるので、陸軍・海軍共同の作戦では重宝される。


※諏訪がルマパに気付いたのは、「ええい、つべこべ言わず攻撃だ! 手榴弾を準備せよ!」というルマパの声が聞こえたからです。途中から、彼らの会話の声は結構なボリュームになっていました。


※2)地球へ侵攻しているグーリエ星人は、「アステリム帝国」という、グーリエ星内で一番栄えている国の軍隊や学者等です。11話以降の話では、「帝国軍」もしくは、「帝国」と表記します。

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