90話「休み時間」
とある日の金曜日。
2限目が終わり、次の授業の教材を取りに自分の教室にいた。
次の授業はこの隣の教室でやるため、すぐ移動するのが面倒で、この教室の私の隣の席に座っている神之 遥と話している。
私はいつも通り自分の席に座り休憩をしている時だった。
「今日奥村先生っておった?」
と、急に優大が話しかけてきた。
奥村先生は私のクラスの担任だ。
「え、うん。おるよ」
「あ、そうなん。良かった。渡さんなん物あって、それ本人に渡さんなんやつですっかり忘れとってさ」
「あ、そうなんや。奥村先生ならいつも3限終わったあとこの教室に来るからちょっと待っとってみれば?」
「あ、そうなん?俺らいつもササッと自分らの教室戻るから知らんだわ。ありがと」
何で急に話しかけてきたんだろう…
そう思いながら私は隣の教室へ向かった。
授業が終わり、自分の教室に戻った。
いつもならすぐ出ていく優大が今日はいつも話している3人組とまだ教室にいた。
奥村先生を待っているようだ。
よく、見てみると私の席に座っている。
話しかけてきたのは、そういうことだったのか?と思いながら後ろのロッカーへ向かい教材を手にし、自分の席へ向かった。
「奥村先生、本当に来る?」
戻った瞬間そう言われたので、
「来るよ。さっき職員室入ってくの見えたしもうそろそろ…あ、ほら噂をすれば」
「あ、本当や」
そう言いながら紙を手にし、先生の方へ向かい渡していた。
先生がそれを受け取り、前を向くと私と目が合いすぐこちらへやってきた。
「神崎、放課後なんか予定あるか?」
「いえ、今日は特にないです」
「お、よし。神崎に掲示板に貼る文書っていうか、掲示物の書類?を作って欲しいんやけど」
「どのくらいの文章量ですか?」
「大体、写真込みでこんくらいかな」
先生が見せてきたものは、私が前に作った部活紹介の紙の1部だった。
「このくらいなら全然大丈夫です」
「そうか、良かった。1組の隣の空き教室使ってやってくれるか?終わったら職員室に持ってきてほしいんやけど」
「このクラス使えないんですか?」
「そうねん、なんか今日委員会あるらしくてな」
「あー、そうなんですか。分かりました」
そう先生と話し、次の授業場所へ向かった。
放課後、私は掃除を済ませ、先生にパソコンとメモリーと、書類を貰い空き教室へ向かった。
廊下には、掃除が終わるのを待っている1組の生徒がちらほらいた。その中に優大の姿もあった。
「今からお仕事ですか」
「そうです、すぐ終わるしいいけどね」
軽く話をし、私は教室の鍵を開けたつもりだった。
この教室の鍵は開けにくいというのは聞いていたが、こんなにも開かないものだとは思わなかった。頑張って奮闘していると、
「やろうか?」
と、聖司が話しかけてきた。
「お願い」
そう言い鍵を渡すとあっさり開けてしまった。
「ありがと、慣れてるね」
「ここは何回も開けてきたからね。閉める時は簡単やから大丈夫やと思う」
「分かった、ありがと」
私は聖司から鍵を受け取り教室の中へ入った。
それから30分ほどして、資料が完成した。
とりあえず荷物はそのままでパソコンとメモリーを持って奥村先生に渡しに行った。
「もう出来たんか?流石神崎やな、仕事が早い」
「いえいえ、もう大丈夫ですか?」
「うん、助かった。これ後で飲んで」
そう言い、紅茶をくれた。
私は空き教室から自分の鞄と鍵を持ち、1組の前を通り過ぎようとした時、丁度補習が終わったのかゾロゾロと皆出てきた。
私は人で溢れかえる前にそこを通り抜け鍵を返し玄関へ向かった。
少しすると、優大と聖司、中野が来た。
「怜奈も終わったん?」
「うん」
「早いぜ?」
「あんなん余裕」
「流石、俺こいつと帰るわ〜」
「途中まで俺も帰る」
と、聖司が言うと仕方ないなーと優大が言い、途中まで3人で帰った。
聖司と別れ、あの時何で急に話しかけてきたのか聞いてみた。
「あー、この席怜奈使っとるっていうのは知っとって、なんかわからんけど話しかけとった笑」
と、言われた。
「何それ笑変なの」
「変って言うな、いいやんか」
「だめとは言ってませんー、まぁ、いつでも話しかけてきていーよ」
「おぅ、分かった。じゃあお疲れ」
「うん、優大も。バイバイ」
少し話して、そこで優大と別れた。




