30話「初めてのキス」
優大の家に着き部屋に向かった。
「リビングからノート持ってくるわ」
優大が部屋から出ていくと同時に緊張の糸が切れた。
何回か来ているはずなのに慣れない。
だけど優大の部屋は安心した。
「よし、じゃあ写させていただきます」
「うん。急がんでもいいからね」
「おぅ」
そう言ったが優大は急いで書いていた。
「はい、終了!助かった。ありがと」
「急がんでいいって言ったのにw」
「いや〜急ぐよ〜?」
沈黙の時間が数分間続いた。
私はあることを聞いてみようと思った。
「ねぇ、優大?」
「ん?」
私は気持ちが落ち着いてから
「キス…したことある?」
そう言うと驚いた顔をしていたがすぐに
「いや、ない。どうしたん?」
「いや、えっと。半年経つのに進展ないな〜って思って」
「興味はあるけど何か怖い」
「怖い?したことないからってこと?」
「まぁ、そうやな。ちょっと考えさせて」
私はその言葉を聞いた直後、悲しい気持ちになったが、優大の気持ちを優先に考えようと思い
「別にしなくても大丈夫だよ?」
と、優しく俯いている優大に言った。
「うーん」
そう唸る優大をずっと見ていたくなかったので
「大丈夫やよ」
と、頭を撫でながら言った。
「いや、俺が良くない。何かワガママや」
そう言うとゆっくり私を引き寄せた。
今までこういうことはしていなかったのでドキッとした。
ギューッとして少し離してという動作を何回か繰り返していた。私は自分から言っておきながらドキドキが収まらなかった。
あれから5分後、優大とキスをした。
し終わるとまたギューッとした。
2人とも相手の顔を見れないくらい照れていた。
「ありがと」
私は優大の耳元でそう呟いた。
その後気持ちが追いついてきて、いつも通りに戻った。
少し話したあと
「そろそろ帰るね?」
そう言って私は立ち上がった
「今日は色々ありがとうな」
「こちらこそ。また明日ね」
私は帰っている間ずっと顔が赤かったと思う。
家に帰ってからも顔が熱かった。
その日は嬉しすぎてよく眠れなかった。




