28話「ホワイトデー」
私はあれから美鈴に優大と付き合っているということは言わなかった。もちろん他の人にも話していない。
「怜奈あれからどう?」
「特に変わりなしかな?」
美穂に優大との状況を聞かれた。
あれから特にこれといったことはなくいつも通り過ごしていた。
あれから1ヶ月。明日はホワイトデーだ。
私はあまり期待はしていなかった。
なぜなら優大はそういうイベントにあまり興味がなかったからだ。きっと忘れているんだろうな。そう思い部活に向かった。
「これバレンタインのお返し」
蓮先輩と森戸が私たちのところに持ってきてくれた。
「俺らにくれた人の分しかないから、渡しといて。あとありがとな。」
「分かった。こちらこそありがとう」
美鈴と美穂と梓に2人から貰ったものを渡した。
「バレンタインのお返しだって。くれた人にしか渡さんって言ってたからうちらしか貰ってない」
「え?そうなん?先輩と森戸いい奴やな〜」
「中何やろね?」
私たちは盛り上がりながら開封した。
「チョコとハンドクリームや。蓮先輩からのはパウンドケーキみたい」
「冬は手乾燥するから助かる〜」
私はそう言って早速つけてみた。つけた瞬間いい香りが広がった。
「めっちゃいい香りやん!センスあるなー」
そう話していると北村がこっちに向かってきた。
「これ俺から。お前らの分しかないから」
「マジで?ありがとー」
「これ高めのやつやよ?」
と、梓が言った。梓はコンビニでバイトをしている。そこに売っているものだと教えてくれた。
「大切に食べんなんね」
私たちは部活が終わるまでお返しについて話していた。
「うちは用事あるんでかえりますー」
と、私は皆と別れた。
私は優大にノートを返してもらうために優大の家に向かっていた。授業のノートを取るのを忘れていたそうだ。たまたま先生が同じだったので貸していた。
「すまん、遅くなった」
「大丈夫やよ。ついさっき着いたばかりだし」
「ちょっと待っとって。今取ってくる」
数分後優大が降りてきた。
「これありがとな。そのお礼と言っちゃなんやけどこれいる?」
そう言って差し出してきたのはチョコレートだった
(このチョコレートはホワイトデーのお返しというわけではなさそう)
そう思いながら私はありがとうと言って受け取った
「また今度何かあったら借りていいけ?俺の席見にくいんやってな」
「ただ単に優大の目が悪いだけなんじゃないの?というか他の人に見せてもらったらいいのに」
「いや、だって皆チャラ字すぎて読めん」
「そーなの?まぁ、お役に立てるのならいくらでも貸しますよ」
そうたわいも無い会話をして、バイバイした。
いい日なのか悪い日なのか…
私はそう思いながら帰った




