家族ができました 1
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王都に戻ってきたときは夜だった。
わたしはひとまず拾った子供を連れて宿に戻った。
明日はギルドの裏にある家に引っ越すことになっている。キャスリンとリネットに子供のことを相談しよう。
拾ったはいいが、わたしはもちろん子供を育てた経験はない。
あのまま放置できなかったから連れて帰ったけれど、子供を拾った場合どうしたらいいのかもわからなかった。
籠の中で男の子はまだくうくう眠っている。
よほど疲れていたのかどうなのか。
籠の中からそーっと男の子を出してベッドの上に寝かせ、ルームサービスで自分と男の子の分の夕食を頼んだ。一歳くらいだから、柔らかくて消火にいいものなら食べられるだろうと、男の子の分はパンとスープ、それからフルーツなどを頼んでみた。
……それにしても、この子はどこの子なのかしら?
着ている服はひと目でわかるほど上等なものだった。
金持ちの子か、貴族の子か。おそらくはそのどちらかだろうと思う。
身元がわかるものがないかと籠の中を探ってみたけれど、何も入っていなかった。見つかったのは、「クリス」という刺繍の入った涎掛けだけである。
「クリスって名前なのかしら?」
ほかに手掛かりはないし、ひとまずこの子のことはクリスと呼ばせてもらおう。
ルームサービスの食事が運ばれて来たのでテーブルの上に並べていると、匂いに気づいたのか、眠っていたクリスがぐずり出した。
様子を見に行くと、ベッドの上でうにゃうにゃ言っていたクリスが、突然ぱちりと目を覚まし、その後、火がついたように泣き出した。
「わわっ」
わたしは慌ててクリスを抱き上げたけれど、とんとんと背中を叩いても上下左右に軽く揺らしてみてもまったく泣き止まない。
「もしかしておしめ? あ、おしめがない!」
宿の人に頼めば用意してもらえるだろうか。困っていると、クリスがちゅぱちゅぱと親指をしゃぶり出した。おしめではなくてご飯だろうか。
クリスを抱きかかえたまま椅子に座ったわたしは、パン粥をスプーンですくって彼の口元に近づけて見る。
口に親指を加えたままじっとスプーンを見たクリスは、あーんと口を開けた。
恐る恐るスプーンを小さな口に入れると、むぐむぐとパン粥を食べる。お腹がすいていたらしい。
まだ泣き出す危険性は残っているが、ひとまず「ぎゃーっ」状態ではなくなったので、わたしはむぐむぐと口を動かしてはあーんと口を開ける彼の動きに合わせてひたすら給餌に徹した。
そして聡る。
……朝まで何とかなるかと思ったけど、これは無理だわ。
子供を育てるための知識のないわたしでは、一人でクリスを見ていられない気がする。
現在わたしが王都で頼れるのは、魔石ギルドだけだ。
わたしはクリスが落ち着くまでひたすらパン粥を食べさせた後、彼を抱きかかえて魔石ギルドへ急いだ。
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