子供拾いました 3
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わたしが製石師スキル持ちだと気づいたのは、十二歳の頃だった。
スキルの発動は大体十歳で、そのくらいになると、貴族の子は教会にスキルを持っているか否かの確認に向かう。
わたしが十歳の時にはスキルはまだ発動していなくて、スキルなしと判断された。
大半の人がスキルは持っていないので、特に問題はなかった。まあベリンダやダフニーには馬鹿にされたが、あの二人もスキルを持っていないのにどうして他人が馬鹿にできるのだろうと謎だった。
……きっとお兄様が製水スキルを持っていたからでしょうね。
製水スキルとはその名の通り、何もないところで水が生み出せるスキルである。このスキルは百人に一人いるか否かくらいのスキルだが、それほど役に立つのかと言えばそうでもない。たとえば教会が聖水を作るときに重宝するくらいだろうか。製水スキル持ちの生み出した水は不純物が何一つ入っていないので、聖水の材料にされるのだ。
そしてスキルなしと判断されたわたしだけど、十二歳の時に製石師スキルの発動が確認された。
だけどその頃には、ドール子爵家はベリンダやダフニーの天下になっていて、わたしは、この力をお父様たちに話すのをやめた。利用されるのはまっぴらだったし、この力をドール子爵家の役に立てようとは思わなかったからだ。
わたしよりも後妻とその連れ子を大切にして、わたしの言い分を何も信じてくれないお父様にもお兄様にも、とっくに愛想が尽きていた。
アーロンと結婚した後で彼のために役立てようと思っていたけれど、あいつがダフニーと浮気したことでそんな気も失せた。
……自分の力だもの。自分のための使うわよ。
この力があればお金には困らない。
明日ギルドに言って、それから教会に縁切り状を提出して、この力で自由に面白おかしく暮らすのだ。
わたしは生み出した魔石を他の魔石が入っている袋に入れる。
製石師は魔石を生み出すことはできるけれど、これに術式を付与することはできない。術式付与は、付与術師スキルを持った人間でないとできないからだ。
わたしが持っている結界と攻撃の術式が付与された魔石は、知人に掘ってもらったものである。
……知人と言っても、お母様のお姉様なんだけどね。
ドール子爵家を出る際に、すこーしだけ、お母様のお姉様――グリーン伯爵家の伯母様を頼ろうかと考えたことがある。
母方のおじい様とおばあ様は亡くなっていて、家は伯母様が婿を取って継いでいるのだ。
だけど伯母様には伯母様の家族がいるし、わたしの伯母様と言うことはお兄様の伯母様でもある。あそこにご厄介になっていたらお兄様が来るかもしれない。はっきり言って顔も見たくないので、それだけはやめようと思った。伯母様はいい人だけどね。
わたしがドール子爵家でどういう扱いを受けているのか、伯母様だけが信じてくれた。
伯母様にもわたしが製石師スキルを持っていることは内緒にしているけれど、最高品質の魔石をいくつも抱えて付与をお願いしに行ったときに薄々気が付いたんじゃないかと思う。
それでも何も訊かずに付与魔術を刻印してくれた伯母様には本当に感謝だ。
……落ち着いたら、伯母様には手紙を書いておこうっと。
グリーン伯爵家はもともとお金持ちだし、伯母様の付与術師スキルで安泰だからわたしが手助けする必要はないけれど、もしも困っていたら伯母様には援助を惜しまないわ。いくらでも魔石を作るわよ。
「さてと、今日はちょっと疲れたし、お風呂に入って早く寝ようかしら」
高級宿だけあって、ベッドはふっかふかだしお風呂も広い。
食事もルームサービスが頼めて至れり尽くせりだ。当面は宿暮らしも悪くないかもしれない。
家族と縁を切った初日。
なかなかいい滑り出しだと、思わない?
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