子供拾いました 2
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ドール子爵家から出たわたしは、ひとまず今日の宿を取るために城下町を歩いていた。
……って、そうだったわ。
わたしは宿を取る前に、閉店間際の魔石商へ駆け込む。
「すみません。買い取りいいですか?」
王都に店を構えるだけあって、いい魔石ばかり取り扱っている魔石商だ。
ドレス姿だったので対応してもらえたけれど、適当な身なりだと門前払いされそうな佇まいである。
「ええ、構いませんよ。使わなくなった魔石の買取ですか?」
魔石を作れる人が限られるため、魔石はとても高価だ。
魔道具はすべて魔石を組み込んで作るし、魔術師も魔石がないと魔術を使えないため、使わなくなった魔石を売りに来る人も多い。
ゆえに魔石商も慣れたもので、ビロードが張られた箱を持ってくると、その上に魔石を置くように言われた。
わたしはポケットから小さな袋を取り出すと、無造作にひっくり返す。
「ひっ!」
ひっくり返した袋から高品質の魔石がごろごろと出てきて、店主が小さな悲鳴を上げた。
売りに行く店によっては、買いたたかれることもあるが、ここは王都に構える一流の店である。さすがに高品質の魔石に難癖をつけて買いたたくようなことはしないだろう。
「は、拝見します……」
高品質の魔石が大量に持ち込まれることは稀なのか、店主が上ずった声でそう言って、魔石鑑定用の魔道具を持って来た。
一つを確認してごくりと唾を飲み、また一つ、また一つ確認していくにつれて顔色をなくしていく。
「す、すべて最高品質の魔石で間違いございません。ですが、これを一度に買い取るだけの現金が現在当店にはなく……。三日、いえ、二日後に用意いたしますので、また二日後に持って来ていただけないでしょうか?」
「それは構わないんですが、少しお金が必要なんです。一つだけでも今買い取りできませんか?」
「一つであれば可能です。少々お待ちくださいませ。……あ、ギルドカードはお持ちですか?」
あー、ギルドか。
ギルドとはそれぞれの職業を取りまとめる組合で、魔石の売買に関しては魔石組合がある。
他には商人組合や付与術師組合など様々だ。
わたしが首を横に振ると、店主が申し訳なさそうな顔をした。
「魔石組合のギルドカートがなければ、その、買取金額が多少下がってしまうのですが」
ギルドは何か問題が起きた時の保証のようなこともしているので、保証がない場合は魔石商としてもその分を値引かざるを得ない。
「それでいいです」
「かしこまりました。おせっかいかとは存じますが、二日後の他の買い取りまでにギルドに所属することをおすすめします。買取金額が二割は変わりますので、これだけの数となると相当な差が生じるかと」
「ありがとうございます。明日にでもギルドに行ってみますね」
わたしは魔石一個分の買取金額を受け取り、店主に礼を言って店を出た。
魔石一個だけなのに、金貨十枚という大金になった。これだけあれば、宿暮らしでも一年以上は安泰だ。高級宿でも三か月はいけるだろう。
結界や攻撃の術式付与がされた魔石を持っているが、わたしも女である。セキュリティーのしっかりしている高級宿を選んで、わたしはとりあえず三日分の宿泊費を払った。
これからどうするのかはまだ決めていないが、明日はひとまずギルドだろうか。
わたしはトランクの荷物をクローゼットに納めると、いつもの癖で力を使う。
ぽうっとわたしの手のひらが淡く光って、次の瞬間、コロン、と直径五センチほどの魔石が生まれた。
そう――
誰にも言っていないが、わたしは、製石師スキルを持っている。
しかも、ランクは五。
最高品質の魔石を生み出せる、自分で言うのもなんだけど、金の卵を産む鶏レベルの稀有な存在なのである。
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