まずはお友達でお願いします 1
すみません、更新作業が漏れていました…!
「……好きだったんだ。君が。ずっと」
わたしは腕の中でクリスが「あうあーっ」と声を上げているのにも反応できず、茫然とアルバート様を見つめていた。
青灰色の綺麗な瞳が、じっとわたしに向けられている。
わたしは今まで、異性に好きだと言われたことがなくて――婚約関係だったアーロンにすら言われたことがなくて、どうしていいのかわからない。
動揺しすぎて、さっきから心臓がドッドッドッドッと、血液が逆流するんじゃないかと心配になるほど大きな音を立てていた。
「やーっ!」
ぺちっ!
小さな手がわたしの頬を叩いて、ハッと我に返る。
見下ろせば、クリスがむーっとアヒル口になってわたしを見上げていた。
「あ、えっと、ご、ご飯かしら? でも、さっき食べさせたような……」
おろおろとクリスを見下ろして、それからちらちらとアルバート様を見上げれると、彼にくすりと笑われた。
「すまない。困らせたかったわけじゃないんだ。俺は君が好きだが、君の気持を無視するようなことはしたくない。だが、簡単にも諦めたくないから、どうだろう。これから殿下と共にここに通うことになりそうだし、友人からはじめるというのは」
友人からということは、友人の先に何かあるのだろうか。
……って、こんなことを考えるわたしがどうかしているわ!
はじめて異性に好きだと言われたからか、アルバート様をものすごく意識してしまう。
「それから、クリストファー殿下……クリスは、お腹がすいているわけではないと思う。たぶん、君が俺ばかり見ているのが気に入らなかっただけだろう」
アルバート様ばかり見ていたって……。
ああもう、顔がっ、顔が熱い!
「それで、俺と友人になってもらえるのだろうか?」
「へ⁉」
「俺と、友人からはじめてもらえるのだろか、と聞いた」
「ああああっ、え、ええっと……」
ローレンス殿下の側近で、シンクレア伯爵家の跡取り。
そんなアルバート様と、実家と縁を切って平民になったわたしが、友人?
そんな恐れ多い! と思うけれど、アルバート様を見ていると「駄目です」なんて言えなくなる。
アルバート様が言うように、彼はローレンス殿下のお供でここに来るようになる。
というか、魔道具研究所の一員なのだから、ローレンス殿下のお供でなくとも来るかもしれない。
これから関わることが確定しているアルバート様と気まずくなりたくないし、もっと言えば……好きだと言われて、嬉しかった。
ドール子爵家では爪はじきもの、婚約者にも浮気された。
そんなわたしを好きだなんて言ってくれる人がいたなんて、思わなかったから。
わたしはアルバート様と初対面で、今すぐに「好きだ」という告白に対する返事はできない。
よく知りもしない人とお付き合いできるほど、勇気があるわけじゃないから。
だけど友達なら、大丈夫かもしれない。
ドキドキするけれど、でも、友達だ。恋人じゃない。
友達になるのに、勇気なんて必要ないだろう。たぶん。
「じゃ、じゃあ……お友達からお願いします」
わたしが小さな声で答えると、アルバート様がパッと笑った。
凛々しい顔立ちの方だけど、笑うとちょっと幼くなる。
「ああ! よろしく頼む、アシュリー」
すっと目の前に大きな手が差し出されて。
「うーっ」
クリスのどこか不満そうな声を聞きながら、わたしはその手を握り返した。
面白い!続きが気になる!続きが読みたい!と思ってくださった皆様、
ブックマークや下の☆☆☆☆☆にて評価いただけると嬉しいですヾ(≧▽≦)ノ







