人生は奇想天外! 3
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「よく考えてみたら、わたし、ものすごく大変なことを頼まれたんじゃないかしら?」
ローレンス殿下が帰ったあと、わたしはすよすよとお昼寝中のクリスを眺めて、改めてことの重要性について考えていた。
王太子殿下の第一王子ということは、クリスは未来の王様である。
まあ、まだ赤ちゃんなのでクリスが王様になるのは何十年も先のことなのだけど――未来の王様の養育……。わたしが?
まあ、赤ちゃんだから教育とかは考えなくていいでしょうけど、これってすっごく大それたことじゃないかしら?
「クリス、あなた、大物かもしれないとは思っていたけど、すんごく大物だったのね?」
つん、とふくふくのほっぺたを指先でつつくと、むっと眉が寄った。
一瞬焦ったけれど起きる気配はなさそうで、またすぐ健やかな寝顔に戻る。
その寝顔を見ていると、どんな面倒ごとや大変なことがあっても、クリスがいるだけでいいような気になってくるから不思議だ。
本来ならば知ってはいけないことをたくさん聞かされたし、わたしも馬鹿じゃないから、なんとなくだけど……クリスの養育を任せると言いつつもわたしのことも監視したいのだろうなと気づいている。
ローレンス殿下にとっては、知ってはいけない秘密を知り、クリスと関わってしまったわたしなど、適当な理由をつけて処分してしまった方が楽だっただろう。
それをしないのは、ローレンス殿下の優しさと、あとは、わたしがランク五の製石師スキルを持っているのも関係するかもしれないわね。
わたしを含めて、現在この国には三人しか確認されていないランク五の製石師スキル持ちである。現在最高品質の魔石を国外に頼っているロンズデイル国にとっては、わたしは確保しておきたい人間だろう。
……ああ、なるほど。監視以外にもわたしを確保するっていう理由もありそう。
自分でもちょっと嫌になるけれど、ドール子爵家の生活はわたしの性格を少し疑心暗鬼にした。伯母様もいたし、人の好意を信じられないというわけではない。
だけど、何か理由がありそうだなと、どうしても疑ってみてしまうのだ。
「でもまあ、クリスがいるから、いいか」
クリスのぷくぷくした手のひらを指先でつつくと、きゅっと握り締められる。
赤ちゃんって、見た目よりもずっと力が強いのよね。
わたしの指を握って満足そうな顔で眠るクリスを見ていたら、なんだかわたしも眠くなってきちゃったわ。
夕方にはリネットが手伝いに来てくれるというし、クリスと一緒に少し寝ようかしら。
わたしはクリスを起こさないようにそーっと抱き上げると、彼を連れて二階へと上がったのだった。
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