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いざ島巡り

時の流れが早い


まず今いる地下の入口から一番近いのは噴水がない方の広場...だけどまぁ、あそこには特になにもないから別に案内するまでもないか。

そうなると次に近いのはあの桟橋か。


なんとなくルートも決まったところで、ルキが話しかけてくる。


『さてさて、どこに向かっているんだい?』


〈聞いてたんなら分かるんじゃ?〉


『計画を立ててみたいだったから、一応耳を塞いでたのさ。』


今のルキに耳とかあるのか、というツッコミは置いておいて、そんなことまでできるんだ。

なんなら自分で移動することも出来そうなものだけど。


『残念ながらそこまでは出来ないよ。ボクだけじゃ魔法も使えない。まぁ、使えたところで効果はないけどね。』


〈なんで?というかルキの魔法ってやっぱりあの時の...?〉


猫耳の名残を確かめるように、自分の頭を触りながらそう頭の中で問いかける。


『あぁ、やっぱりバレちゃってた?』


〈バレるも何も、猫耳とか尻尾とか生やされたら誰でも気づくってば。〉


『だよねぇ、やっぱいきなり強化したら...猫耳?』


〈そうだよ、急に生えてきてびっくりしたんだから。〉


『ボクがやったのは身体能力の強化だけで、猫耳を生やしたのはボクじゃないよ?』


「はぇっ?」


予想外の返答に思わず変な声が出てしまった。


『そんなに驚くことかい?』


「いやだって、ずっとルキの仕業だと思ってたから...。というか、ルキじゃないなら一体誰がそんなことするのさ?」


『簡単じゃないか。他に思い当たる人もいないんだろう?それなら他でもない、キミ自身の力だよ。』


「そっ...」


んな馬鹿な!と叫んでしまいそうになった言葉を無理やり喉の奥に押し込む。

その声で寝てる人たちを起こしちゃったら申し訳ないし、他の人から見たら一人で叫んでるやばいやつに見られるかもしれないし。


つっかかった言葉を飲み込んで、一度咳払いをして気持ちを落ち着かせる。


いやでも、やっぱりありえない。オルレアさんの本によれば、確か魔法は一人一つだって書いてたし。


『それはそのオルレアって人が例外を見たことないだけじゃないのかい?』


〈それは...まぁそうだろうけども。でもぼくが例外になれる理由なんてわからないよ。〉


『理由なんて今はいいじゃないか。キミは特別。その事実だけで十分だろう?』


「そういうものなのかなぁ...。」


そう呟いたところで足が止まった。

気がつけば、足は石畳の道ではなく、乾いた木の板の上を進んでいた。

湖面はぼくの動揺なんて知らないと言うように、日光を跳ね返しながら、しんと、ただ静かに広がっていた。


「さぁ、着いたよ。」


『おお!』


初めて見る景色に、普段は落ち着いているルキもはしゃいでるらしい。

確かに、こんなに水が透き通っててきれいな湖はあっちにはそうないと思う。

じっと目を凝らせば底まで見通せそうなくらいだ。実際、魚が泳いでいる姿がはっきりと見えてる。


しばらくぼんやり湖を眺めていると、ルキが他の場所も見たいと急かしてきたから、移動を始める。

といっても、また歩き始めるわけじゃない。


『何をするんだい?』


〈見てればわかるよ。〉


停まってるボートの中から、一番きれいなやつを選んで飛び乗る。


〈へへ、実は前から乗ってみたかったんだよね。〉


オールを手に取り、ぐっと力を込めて漕ぎ出す。

昔テレビか何かで見たものの見様見真似だけど、上手く進めてるみたいだ。


周囲が木々に囲まれた川を進んでいると、ガサガサと何かが動くような音が聞こえてきた。


「風…?」

『猫か何かじゃないかい?』


次の瞬間、突然飛んできた何かにぼくは気づくことができず、握っていたオールもろとも川に吹き飛ばされていたのだった。


カルミアの半獣化は五感やその他もろもろの感覚を拡張・強化するもの。

ルキのは攻撃力とかのバフって感じ。

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