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おねがい

ゴールデンウィークex

最終日間に合いませんでした……


「話を戻そうか。他に、思い出したことはあるかね?」

「いいえ、特に何も…。」


ヤ・ベーはそうかね、と呟いて口を閉じた。


「ヤ・ベーさんは元の世界の記憶って残ってるんですか?」


「あぁ、覚えているとも。キミたちのように奪われてはいないからね。」


「奪われる?」


「そうとも。まず前提として、この島の周りには結界が張ってある。それは知っているかい?」


「もしかしてさっき言ってた長生きさせられてるっていう…?」


「あー…確かにそれもあるが、まずはそこではない。あの日記を読んだのならわかるだろう。中から外への移動を封じる、つまり一生ここから出られなくする結界だ。」


一生ここから出られない...!?

まぁ、元の場所に帰るつもりはないから別にいいけども。


「...やけに反応が薄いね?普通はもう元の世界に帰れない、なんて聞けば絶望するものだと思うのだがね?」


「えー、まぁ...こっちの方が楽しいし幸せなので別にいいかなって」


ヤ・ベーは、一瞬複雑そうな顔をしたような気がした、


「そうかね...そうだね。私もこの島の暮らしが楽しくないといえば嘘になる。それに、あっちに残したものも特にない。だが、それでもね。この結界を...呪いを解かなければいけない。」


いつの間にか、ヤ・ベーの顔つきがいつもの狂った感じとは一変して、真剣な顔になっていた。

吊り上がっていた口角もまっすぐに伸びている。


「カルミアくん、一つ頼まれてはくれないかね?」


「何を...まさか実験を手伝えと?」


「いや違う。助手は今のところ間に合っているからね。君に手伝ってほしいのは実験ではなく解呪だ。」


「解呪...」


解呪。呪い、つまり結界を解く。話を聞いていた限り、あまり解く必要は無さそうだけど。


「あんまり何も問題なさそうなんですけど、ほっといたら何かまずいことでもあるんですか?」


ヤ・ベーは真剣な顔をまだ崩すことはなく、質問に答える。

よほど重要なことなのか。こちらの緊張も高まる。


「まずいなんてものじゃない。私の予想では...」


一瞬間を開け、声までも深刻そうな、低い声に変えて


「恐らく、全員死ぬ。」


そう、言い放った。


「は...!?」


とんでもない発言に思わず声が出てしまった。なんでそうなるのかがよくわからない。

でも、多分一番長くこの島に住んでるこの人が言うのだから間違いではない....のだろう。それでも簡単に納得して信じられるわけじゃないけど。


「全員死ぬってそんな馬鹿な...!」


「ああ、私もそう思うよ。しかし本当だ。これ以上事が悪化する前に解呪、できるなら本体を滅ぼさなければ、あの日の繰り返しになってしまう。私もね、この島を住人たちを守りたいのだよ。」


本当に言っているのだろうか。アイリスさんが聞いたらブチギレそうな気がする。

それでも...ぼくだってみんなを死なせたくはない。手伝うしかないのかな...。


不意に、悩んでいる思考をぶち破るように場違いな鳩時計がぽっぽーと喚き、朝が来たことを知らせる。。


「おや、もうこんな時間かね。時が経つのは早いものだね。」


帰らなきゃ、と立ち上がろうとした直後、「ちょっと待ちたまえ」と呼び止められる。


「なんですか?」


「頼み事の返事を聞くのはまた次の機会にしよう。だが、受けるにしても断るにしても言えることがある。強くなりたまえ。抗うにはまだ足りない。」


「そんなこと、言われなくてもやりますよ。ぼくだってみんなを守りたいですから。」


ぼくの言葉を聞いた途端、ヤ・ベーの顔が緩み、いつもの笑い声が響いた。


寝てるルキを起こさないようにそっとブローチを回収し、ポケットにしまう。


笑い声を背に、「じゃあ、また。」とだけ言い残し、軋むドアを潜った。


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