やさいもたべようね
香ばしい香りがする。
あとなんか少し甘い香りも。
ぎゅー。
目覚めたときに感じたのと同じにおい。
きゅーー。
なるほど、きっとこの島の住民はみんなこんな感じのにおいがするのだろう。
きゅーーーーー。
いやそれよりこの子力強くない?
「くだける....」
「あっごめんね!うれしくてつい...てへへ」
そう言うとガウラは解放してくれた。締め付けられた感覚と、温かさが残る。
それを感じながら、目下の課題を解決すべく、質問する。
「ぼくすごいおなか空いてるんだけど、なにか食べるものはない?」
「ちょうどいまお昼ごはん食べてたんだ!カルミアくんも一緒に食べよ!」
そう言いながら、手を差し伸べてくる。それをしっかり掴んで、立ち上がる。
そのまま手を引かれ、どこかへ連れて行かれる。
木の根に足を引っ掛けて転びそうになりながらもなんとか歩き続けている内に森を抜けた。
見えたのは...キャンプ場のような場所だった。いくつかテントが張られていて、なぜか季節はずれなかまくらがある。
かまくらの前には、匂いの元であろうバーベキューコンロ。肉や魚が焼かれているけど、野菜は一つもない。
今はぽかぽかと温かいのに、かまくらは全く解ける様子がない。
「これは...なんで解けないの?」
「これは僕のお家だよ!ずっと冷たいから解けないんだよ!」
そう言いながら串に刺さった肉を差し出してくる。肉汁が太陽の光を受けてきらきらしている。そんなものを目の前に出されては、解けない不思議なかまくらもどうでもよく思えてしまう。
受け取るや否やかぶりつく。
おいしい。いやもうすっごいおいしい。
かまくらどころか知らない場所に来てしまったことも、作り話の中にしかいないと思っていた龍人や獣人と出会ったことも全部大したことないな、と思えるくらいにはおいしい。幸せってこんな味なんだ、とさえ思える。
「へへ、そんなにおいしかった?もう一本どうぞ!」
顔に出てしまっていたようだ。
差し出された…今度は魚の串をありがたく受け取る。受け取るが、うへぇと思ってしまう。
魚は骨がいっぱいあって食べづらいから苦手なのだ。
ガウラくんはどうするのかな、と見てみると…
マジかこの子。頭から思いっきり齧りついて骨ごとバリボリムシャムシャと食べている。
「それ、骨が口に刺さったりしないの?」
「うん!へんへんはいひょーふらよ!」
ゴクンッ
「カリカリしてておいしーんだよ!カルミアくんも食べてみて!」
そんなキラキラした目で見られたら食べるしかないじゃん…
覚悟を決めてかぶりついてバリバリ噛み砕く。
あれ?ほんとだ。小骨が刺さりまくって大変なことになると思ってたんだけど、カリカリボリボリといける。なんかお菓子みたいで好きかも。
「おいしいね!」
「でしょ!僕もこれ好き!」
あれ?何か忘れているような?




