一難去って リンドウ編
目が覚めると、見慣れない場所にいた。ここはどこだ?カルミアはどうなった?腹...は治っているな。うーむ、色々頭の中で思考が回るが考えてるだけじゃ何も始まらねぇ。まずは周囲を探るところからだな。見渡すと、真っ先に目に入ったのは試験管や得体の知れない機械や設備。こんなもの揃えてる奴なんて一人しか浮かばねぇ。ならここは奴の研究所か?もっと探ろうと足を踏み出そうとしてもすぐ見えない壁か何かに阻まれる。それに水中なのか身体が重い。俺は何かに入れられているのか?息は出来ているのは幸いだ。
ふと、ドアが軋む音が耳に入る。音の方向に目を向けると、あの頭のおかしい男...とありゃ誰だ?見慣れねぇ顔がいるな。
「〜〜〜〜〜!!!」
気付け、、そしてここから出せという意思を込めて壁を殴る。すぐこれに気付いたようで、こちらに歩み寄ってくる。
「おや、目が覚めたかね?」
「ふむ、思っていたより早かったね。もっとサンプルを取っておくべきだったかね。」
こいつ今なんつった!?俺を怪しい実験に利用する気か!?
さっきよりも強く壁を殴りつける。そうだ、このままぶっ壊して出るのもアリだな。
そうと決まれば____________
「待て待て!待ちたまえ。出す。出すから壊さないでくれたまえ。」
そう言うと端末を操作し始めた。新顔らしい奴は何も言わずに俺をじっと見ている。
やがて中の液体が抜かれ、解放された。
「ふぅ、大切な設備を2度も壊されてはたまらないからね。」
「んなことよりてめぇ、なんで俺をあんなのに入れた?俺に何をした?」
拳に力が入る。こいつの発言次第では振るうことになるだろう。
そんな俺の考えを読み取ったのか、黙っていた新顔が割って入ってきた。
「ドクター、対処しますか?」
妙に無機質で、抑揚の薄い冷たい声。今まで聞いた他の誰のとも違う、いわば機械のような声だ。全体的に小柄で、体毛は無いみたいだ。長い青髪とあのカルミアとはまた違う感じではあるが生気の籠もっていない目。顔立ちは整っている。一番目を引くのは頭の青いバラのコサージュか。尻尾の方まではよく見えねぇが、機械みてぇな感じなんだろう。フリフリした服はヤ・ベーの趣味か...?
「いやよい、問題ない。」
「承知しました。」
「さて、何から話そうかね?まずは座りたまえよ。」
その辺にあった丸椅子にどかっと腰掛ける。背もたれが無いのが不便だな。
「まずは何故君が我が研究所にいるのか、かね。」
「何も難しいことではない。この子のテストをしている最中に重症を負って倒れているキミを見つけてね。死なれては困るからここへ運び、治療したのだよ。」
治療?こいつに出来たのか?いや、そんなことより。
「カルミアとガウラはどうした!?」
「私達が見たときには居なかったがね?誰かが同じように連れて帰ったのではないかね。」
「そうか...」
連れて帰ったとするならアイリスかオルレアあたりか。そうならいいが、こいつはどうにも信用ならねぇ。後で自分の目で確かめないとな。なにはともあれ、おそらくカルミアも元に戻ったようでよかった。
「そうだ、そいつは誰だ?初見の顔だが。」
「おお、ついに訊いてしまうかね。この子は私の最高傑作さ。ローズ、自己紹介してあげなさい。」
「はい、ドクター。」
ローズと呼ばれたそいつはヤ・ベーの後ろから律儀にこちらまで歩み寄り、ぺこり、とお辞儀をしてから平たい声で自己紹介を始めた。こいつが作ったにしてはやけに行儀がいいんだな。
「はじめまして。当機はNo-04J30 CODE:BLUEROSE、ドクターからはローズという愛称で呼ばれています。以後お見知り置きを。」
「どうだね、なかなかいい子であろう?」
「ああ、お前が作ったとは思えないくらいな。」
ヒャハハ、とヤ・ベーの笑い声が響く。相変わらず気持ちの悪い笑い方をしやがる。
とはいえ、だ。
「はじめましてだ。これからよろしくな、えーと、ローズでいいか?」
「問題ありません。どうぞよろしくお願いします。」
握手を交わしたのち、研究所を後にすべく立ち上がる。
「おや、もう行くのかね?」
「ああ、あいつらの様子を見なきゃいけねぇし、俺も強くならねぇと。」
また誰かが暴走しても、俺が止められるように。
「じゃあなイカレ野郎、治療はとりあえず感謝しとくぜ。」
「ヒャハハ、怪我には気をつけたまえよ。」
ドアノブに手をかけ、研究所を出る。なんか建て付けが悪いなこのドア?
まぁそんなもんか。さて、あいつらの様子を確認しに行こう。いやまずは風呂か?ドロついた液体の感触が残って気持ち悪い。
そんなことを考えながら、地上へと歩き出した。
◇
「あの男、ドクターを罵倒していきました。無礼です。」
「構わないさ。お前はいい子だね、そのうち他の者達にも挨拶に行こうか。」
「はい、ドクター。」
「まったく、この島の者達は皆面白くて仕方がないよ。」
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