思い出して
狙いを定める俺の視線がカルミアの視線とぶつかった。
どうやら俺が何かしようとしていることに気が付いたらしい。だが今更遅え。
指先から放たれた雷の弾丸は防がれることなくカルミアに直撃。プラズマが炸裂し、カルミアを紫の光が飲み込む。文字通り光速だ、防げるはずもねぇ。
「行けッ!ガウラ!」
これで終わり.....
「ぐっ...あぁ..?」
不意に脇腹に激痛。見れば、血に染まった花びらが体を貫き鈍く光っている。
何故消えていない?いつのまに?ダメだ、マナ不足も相まって意識が......
◇
「リンドウ!」
遠くてよく見えないけどリンドウが倒れた。あれだけの威力の魔法を食らってもカルミアくんはまだ倒れないどころかリンドウにとどめを刺そうとしている。掠っただけでこれなのにまともに食らったら本当に..
”最悪”を想像して足がすくむ。胃と心臓をきゅっと握られているような気分だ。
助けを呼ぶ?アイリスなら来てくれるかもしれない。だけどその前にリンドウは...!
そんなのは絶対に嫌だ。誰にもいなくなってほしくなんかない!
僕一人でカルミアくんを止める。一発ぶん殴って...いやだめだ、多分さっきのはリンドウが出せる最大の魔法。あれを食らってピンピンしてるのに僕が殴ったところで止められるとは思えない。こうして迷っている間にも時間は進む。間に合わなくなる。カルミアくんとの距離は遠くない。まだ止められる。ああもう身体が動かない!飛ばなきゃ。飛べ!早く!飛べ!飛べ!
「飛べぇーーーー!!!!!」
やっと魔法が発動した。なんだかいつもより速く飛べてる気がする。身体は動く。やることは決めた。もう迷いはない。
両目でカルミアくんの姿をはっきりと捉え、両腕を広げる。いつもそうしているみたいに。
気づかれた、けど大丈夫。もう目と鼻の先まで近づいてる。このまま______________
「カルミアくん!」
思いっきり抱きしめる!
抱きしめられるのは完全に予想外だったみたいで、固まってる。
「ねぇ、もうやめよう?リンドウ死んじゃうよ...」
「いつもの優しいカルミアくんはどこいっちゃったの?」
視界がにじんで、ぼやけてよく見えなくなる。声が震えて、喉がつっかえてうまく喋れなくなってくる。それでも、ひとつひとつ言葉を。想いを伝える。
「もどってきて。ぼくたちのこと、わすれ....っちゃったの....?」
声が上ずる。気を抜けばこのまま泣きじゃくりそうだ。
「もうっいいでしょ?ね、?いっしょにかえ..ふぇっ?」
急に身体が重くなる。なんていうか、身体がもう一つ増えた感じ?なんだかあったかい。
どうにか涙を拭ってみると、目を閉じて寝てる、いや気絶?してるカルミアくんが僕に身体を預けていた。あのヤバい魔法は全部消えて、雰囲気もいつもみたいな感じに戻ってる...気がする。
安心すると、一気に力が抜け、尻もちを突いてしまった。疲れがどっと押し寄せてきて、僕もこのまま地面に寝転がり意識を手放した。
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