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碧(徳川君と因幡君
「す、好きだ。」
半分叫ぶような大声が昼下がりの、けだるいラーメン屋に響いた。
声の主は徳川正親。
180センチを越える身長と、生徒会長兼体育部総代という肩書きは伊達ではなく、それに見合う、声の張りも度胸もある。
徳川は今までにないくらい胸をドキドキさせて、全生徒に号令をかけるよりも、はぁはぁと肩で息をしていた。
徳川の右隣に座っていた、優しい栗色の髪も愛らしい、美貌の生徒会書記、青山知聡は、
やれやれというように手のひらを裏返すポーズを取りながら、のたまった。
「まずいですよ、ここのラーメン。」
その言葉を肯定するように客足はまばらだ。
カウンターの中にいた店主の大山竹生は、どうせまずいですよというように、しかられた犬のように知聡のほうをチラっと盗みた。
けだるかったラーメン店もにわかにざわめいていた。
徳川の左隣にいる、こちらも目も覚めるように美しい、生徒会副会長、因幡惟顕は、
最後の麺を、その形も色も美しい唇へ、ツリリと啜り終えると、店のざわめきも、徳川の熱い視線も気付かずにお勘定を払った。
徳川の告白は不発に終わった。




