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デスパレードでデスパレートな異世界ライフ  作者: 蒼穹
第二章 集落防衛編
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     第十一話 絵の具の具は愚かの愚

 ちょっと間を挟んでコメディ回(日常編)

 集落が本格的に街として機能し始めた頃。この俺の集落は当初の2.5倍へと拡張された。


 前もってローズに近隣の集落の生息数を数えて貰い、最低限必要な敷地プラスアルファで拡張した結果である。


 人間種族が微々たるものだが、狼牙人(コボルト)種族や鬼人(オーガ)種族なども加入し、他にはドワーフやエルフも加入。


今では人口8000人を越える街となったのである。


この8000人強の食料事情を何とか解決する為に考案したのは、アークによって作り出した簡易ダンジョン。



 集落と壁の間に入り口を設けたこのダンジョンはいずれは外からくる冒険者の為に解放するが、今は食べられる魔物の肉を確保する為の狩場として利用していたのだ。


 俺が設置したギルドに登録した腕利きの者達が、訓練がてらに狩を行い、ギルドがそれを報酬と共に買い取る。報酬は決して高くはないが、一応危険手当だ。それでも魔物は極端に強いものはいないので死ぬような危険はない。



 ギルドで儲けた者達が武器や防具を買いそろえ、それらの店が鍛冶屋に武器防具を発注することで、そこでもお金が回るようになっている。


 他には服飾系と言ったものや飲食店なども揃っており、お金の流通経路は十分に構築されたわけだが、この集落では俺が独自に開発した偽造不可の貨幣を採用している。


 勿論ベルク貨幣にも対応しているが、今のところ外界の客は来ないので両替所に眠ったまま。

 


 さて、ここで重要なお知らせです。


「ハル様、256色の絵の具の開発に成功しましたけど、一体これは何に使うんですか?」



「ドワーフの小物職人で絵を描くのが上手な奴がいるんだよ。そいつに子供達の絵本を造らせようと思ってさ」



 漆黒の艶やかなショートヘアーが似合うマリーナことマリに俺はルンルン気分で応える。工房技術担当責任者である彼女は、新しい術式の考案や魔導具に非魔導具の研究に余念がない。



 その中で俺は彼女に勉強の為に染料の開発を行わせていた。



 俺自身が行ってもいいんだけど、彼女の仕事でもあるし、なにより彼女の為にならない。他の仕事にも言えることだが、与えられるより自分で会得した方がありがたみや素晴らしさが実感できるものなのだ。


「・・・・・・まさか体が10歳児になってしまったからって、心まで?」



「酷い言われようだ」



「それでも下着を盗んだ量刑は変わりませんけどね」



 ヴェルが無表情かつ無感情に引導渡してきた。一体いつばれたのか、俺は下着泥棒の罪に問われ、現在行動制限が敷かれている。



 絶賛ヴェルとフェリに監視されている真っ最中なのである。おかしいな。下着くらいいいだろう。



「コホン・・・・・・それじゃ早速絵の具を渡して来るから」



 一応教育関係も充実させるために、絵本などの教材を始め様々な教育関連の整備を行っている真っ最中。

 

 マリから絵の具を受け取った俺は、ヴェルとフェリとともにバベルタワーの地上部である、我がクリスタ王宮内の通路を歩いていた。



 中の内装は表面上大理石で造られているような上品なものだが、構造設備は全て俺の元いた世界に勝るとも劣らない魔導技術と科学が融合した設備だ。



 エリスとセリスの二大AIが厳重に管理するスーパーセキュリティは、俺の悪事さえ見逃してくれない優秀さ。


 あ、ここでバレてたんだよね。まさか自分で墓穴掘ることになるとは思わなかったけどさ。

 

 異世界で地獄から突き返されスケルトンになり、入る予定も無い墓穴をひたすら掘り続ける馬鹿さ加減に嫌気がさしそうです。


「あれ、ハルっちどこいくんだい?」


「まさか泥棒の下見ですか?」


 ナナ、俺はお前含め四人の下着は盗んでないだろ! 流石に猫さんとか熊さん柄は萌えないよ。


「あはは。言ってくれれば私のあげるよー」


「なのです!」


 それでも自分達のお子様的パンティに自信があるのだろう。



 廊下の向こうから歩いてきた残念系の自称アイドル達は、最近訓練がてらにダンジョンへ潜っている。


 そのせいか、狩場であるダンジョンではギルド登録者達に人気があり、一部ではファンクラブができているほど。


 別に欲しくないけど、もしここでノノからパンツ貰ったらお小遣い程度に売れはしないだろうか?


 最近小遣い制限までされている俺って悲しい。だから副業で商売まで始めてしまったんだけどさ。

 

「今からドワーフのサジのところに行くんだよ。お前達は?」


「僕達はギルドで使うステータス更新用の道具を取りにマリっちのところに行くのさ。気が向いたらギルドにおいでよ。僕達絶賛大人気なんだよ」


 しっかり仕事が板についてきたらしい。現在ルリルリにはギルド責任者の役目を与えている。責任ある立場を与えたせいか、彼女は俄然やる気をだしているのだ。


 元々ダンジョンで俺を的確にサポートしてくれてた(逃亡面で)彼女なら、その経験を生かして多くのギルド登録者の助けになると思っての配役は間違っていなかった。


「ふふふ。ハルハル嫉妬しちゃだめです。私達はギルドのアイドルですから仕方がないのです」


 ナナがパタパタと俺の周りを飛びながら色目を使ってくる。確かに可愛い。はく製にして飾ってしまいたいなあ。


「ネネの本気を見せてあげるのです!」


 いや、ネネは本気だしても癒し系にしかならない。お前は戦わなくていいと思うよ。

 

 さて予定が詰まっているので俺は早々と四人と別れて王宮の外に出た。



「凄い賑わいですね」


 にこやかな笑みを浮かべなら艶やかな銀毛の尻尾をフリフリさせるフェリ。本当触りたいけど、ここで触れば怒るのは何故かヴェル。


 前回触ったら防御貫通攻撃スキルを駆使して俺は往復ビンタをくらってしまった。少しくらいいいじゃないか。減るもんじゃないし。



 こんどヴェルがいない時に試して見たい。フェリは優しいし。



「商業区画は整備されたけど、他にも増やすべき業種があれば増やして行こうかなと思うんだよね」



「それならケーキなどお菓子は如何ですか?」



 そう言えば一度俺が作ったなあ。チョコレートケーキ。ヴェルもなんだかんだ言って女性だし、甘いものが好きなんだよね。



「カカオとか含め原材料からだな。早急に検討しよう」



 俺は思考内でメモをしておく。続いて宿場環境である。中を覗いてみると五つ星ホテルさながらの豪奢な内装のロビーが視界いっぱいに広がった。



「まだ開いていないのですか?」



「準備は出来ているよ。今は従業員のサービスマナーなどの教育実習中かな。ほら、まだ外からの客が来ていないだろ?」



 なるほどと頷くフェリ。



「ではそれまでどうするのですか?」



「一応ここは街管理のホテルになるから、給料はちゃんと出すよ。まあ客に関しては心配しなくてもいいよ。もうそろそろ来るだろうしね」


 二人にはそれぞれホテルの部屋、及びレストランなど様々見せて歩く。


 どれもが彼女達にとって新鮮なものなのだろう。


「これを見てしまうと他の国に行っても日帰りしたくなりますわ」


 フェリの正直な感想に俺も思わず頷きたくなる。


 ここの宿は1泊2日の朝食付きで350リスタである。


 

 ちなみに現在この街での貨幣。


◆1リスタ貨幣

◆10リスタ貨幣

◆50リスタ貨幣

◆100リスタ貨幣

◆500リスタ貨幣

◆1000リスタ紙幣

◆5000リスタ紙幣

◆10000リスタ紙幣

◆金の延べ棒1キロ=1000000リスタ

◆プラチナ延べ棒1キロ=100000000リスタ


 リスタ貨幣と紙幣は偽造できないように精巧に出来ている。この精巧さがカギを握っている。


 現在ベルク硬貨の精巧さを確認してわかったことは、やはり一つ一つ含有率に誤差があるのだ。



 正確な計量器が存在しない分仕方ないことだろう。これでは簡単に偽造できてしまうのだ。



 俺は新しく貨幣と紙幣を発行するにあたって、偽札や偽貨幣が出ないように元の世界の技術を応用して魔導器具まで開発。


 これで貨幣価値を守る為の第一歩を踏み出したわけだが、他には各店舗に偽造防止のレジスターを常備させることにした。



 外界から来た貨幣に関してもスキャナーに掛けて金やプラチナの含有率などから算定する形になる。



 それ以外の外国貨幣に関しては現状では無価値となり、交流が行われ交渉次第で貨幣の流通を行うことになるが期日は未定だ。

 

 まあ、嫌でも交流を結びたいという国が出てくるとは思う。



 さて、当初の予定から少し遅れて、魔導細工店に顔を出す。


 これは俺個人のお小遣いを稼ぐ為の私用の店であり、雇っているのはオーガ種族の女性5人とドワーフ種族の2人である。



「サジ、例のもの持って来たぞ」



 ショーウィンドウが多く飾られ、様々な商品がディスプレイされているこの店。

白をベースにした高級感溢れる内装のせいか、一度足を運ぶと、どこか自分が金持ちになった気分になれる。



 さらに受付には美人な受付嬢がマニュアル通りに挨拶を行い、キャビンアテンダントみたいに首にスカーフを巻いたスーツ姿で出迎えてくれる。



 店の奥からスーツ姿の髭を整えたダンディーなドワーフが顔を出した。



「クリスタ様。態々御足労頂き有難うございます。これが以前お話されていた絵の具とやらですか。ふむふむ」



 サジはその場で箱を開けて中身を確認する。チューブから少量出して指でこすり、



「ふむ、これは水に薄めて使うものですな。粘度も程よい感じで。これであれば見事な絵が仕上がりましょう。早速職人に作らせますので」



「頼んだぞ。サジ、これが成功したら俺の提示した額をくれてやるからな」



「ふふふ。確かに金額は嬉しいですが、私はともかく彼女達にも報酬を差し上げてください(ほら口止め料的な意味で)」




 小声で話して来るサジの視線の先には、受付とフロアで商品案内係を務めている5人の女性が、こちらを見て腰元で小さく手を振っていた。



 彼女達は何故か俺を見るなり頬を赤らめている。仕事のし過ぎで暑いのだろうか。


「褒美は何がいい?」



「「「「「抱っこさせてください」」」」」



 えー! 全員そろって何を言っているの? 嬉しいけどさあ。抱っこよりもこう“少年よ・・・・・・もっと先の世界へ加速して(快楽へ突っ走って)みたくはないか? ”的な言葉を期待してるんだけど。



「ハルベルト様は現在忙しいのでまたの機会にしてください」


 スケジュール管理に超厳しいヴェルの容赦ない言葉に、俺のパフパフタイムは断念させられる。


 子供の体特権くらい行使してもいいだろうに。職権乱用してるわけじゃないんだからさ。


 その代り五人の美人オーガ達が飴玉くれたので良しとしよう。


 あれ? 俺ってどこまで子供扱いされてんの?


 後ろ髪惹かれる思いで店を出た俺に、フェリスが何気ない質問を浴びせて来る。


「そう言えば教育関係は重要ですが、何故ハル様直々に自分のお店で教材の開発を? アリアかオルカにお任せしてもよろしかったのでは?」



「ほら、あいつらも忙しいし、こういうのって最初が肝心だからね。俺もそれなりに試行錯誤してる状態だから」

 



 そうそう。巫女達だって忙しいの。だから俺がここで健気に頑張らないとね。




「そうですか。てっきり春画を描かせてるのかと思いました」



「え? 違うよ? 俺をなんだと思ってるの?」



 ヴェルは最近信じることを知らないようだ。



 せめて聖霊に向ける信仰心の一割でも俺に向けてくれてもいいと思うんだけど

ね。



《信仰心の一割を向けるほど偉大さの一欠片も価値が無いのにどうやって向けろと? それこそ酷な話です》



 ヤヌスになってからますます口が悪くなった気がする。何言っちゃってくれてんですかね。



「私は信じておりますよハル様」



 フェリだけは本当優しいよなあ。



「フェリ、甘やかすと駄目よ」



「いいじゃないですか。私はハル様好きですもの。何だって許してあげられますわ。春画の一つや二つ可愛いものですよ」


「だよねえ。やっぱりそうだよ。春画の一つや二つ造らせたっていいよな?」



 うん。フェリだって公認なんだし。


「だそうよヴェル。既に一つ二つは注文してるみたい」



 あれ? あれあれ? フェリさん何だかおかしいですよ?


「フェリ、戻ってキャンセルしてきてくれるかしら? 私この子を懺悔室に連れて行きますから」



「ええ。では後ほど」



 おいいいいいい! 一世一代のプロジェクトだぞ! ちくしょう嵌めやがった! 


 流石裏舞台の女王だ。やること汚えええええ。



 まさかの誘導尋問なんて。



「ヴェル、今度美味しいケーキ作ってあげる」



「・・・・・・懺悔の後で償いの弁は聞いてあげる」

 

 公私の言葉遣いが逆転してるし。もう駄目だ詰んだ。


 無表情かつ無感情で判決を言い渡すヴェルから逃れる術を失った俺。



「あのお、情状酌量」



「余地なし」



 だそうです。


 この後の俺の処遇は、口に出すのも憚れるほど陰惨な形で懺悔をさせられた。


 しかも急きょ予定変更で王宮前広場で行われた弾劾裁判


 全員一致で有罪判決、弁護人無しの全員検察官。


 



「んんーーー! むんーーー!」





 猿ぐつわ&裸で三角木馬に座らさせられ皆の前で懺悔。


 羞恥プレイって見られることに快感を覚えると言うけど、それが嘘だとわかった今日この頃。


 

若干説明回になりました。

次回から進展あり。

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