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デスパレードでデスパレートな異世界ライフ  作者: 蒼穹
第二章 集落防衛編
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     第十二話 勇者の想い人は下着好き

頑張って後2P更新します。

「ひー、ひー、くそ、この僕が2回もこんな深手を負うなんて」


 ブロンソンは大森林の中を必死に走り抜ける。ドーナスの館から逃げることに成功したブロンソンは、レーゲン侯爵の元にはいかずアルドブルクの街を出て南に向かっていた。


 途中何度も腕利きの冒険者に遭遇し、辛くも逃亡を図って生き延び一カ月近くかけてブランベルク領を出ることに成功したのである。


 ドーナスが捕まった時点でレーゲンは終わりだと悟ったブロンソンは、国境を越えた後フリージア帝国へと逃げ込む計画へシフトチェンジしたのだ。



 これはヴェロニカの読みが外れたことを意味する。



 フリージア帝国は魔族優位主義の国であり、魔王メナス=フリージアが治める国でもある。


 大森林を真っ直ぐ突っ切れば順調に抜けられるはずの大森林。


 だが思わぬところで足止めを食ったのである。


 国境を越える前に走り抜けた大森林の付近には、圧倒的な魔力と対魔術式が施された壁が存在していた。



 近づくと半透明の少女の姿が現れ“ウィンドヒルの街に用がある場合は正門前で待っていてください”と注意を促して来る。



 ブロンソンはこれを無視して乗り越えようとした際、壁の穴から姿を見せていた漆黒の筒から、見たことも無い音速を越える攻撃で手痛いダメージをくらったのだ。



 壁が無ければもっと早くここに辿りつけただけでなく、折角癒えた筈の傷も風穴だらけにならずに済んだ筈だった。


 アルドブルクで右半身を吹き飛ばされ、ノティス大森林では無数の風穴を空けられてと、非常に散々な目に合っているブロンソン。

それでも彼が死なないのはフリージア眷属の級魔族特有の生命力と回復力に他ならない。



 それでもブロンソンほどの上位魔族でも、破壊された部位を回復させるのに多くの魔力を必要とした。だから道中に多くの魔物を食い散らかしてきたのだが、フリージア領に入ったらむやみやたらと食い散らかすことは出来ない。



 何せ同朋の国であり主の治める国なのだ。



 魔物程度であれば問題ないが、さすがにそれだけでは回復に時間かかる。だからと言ってフリージア領で庇護下に置かれている魔族を襲えばフリージアの怒りを買う。



 ここは大人しく自然回復を待つしかなかった。



 国境を抜け、西に30キロほど進んだ場所にあるペルゼの街に辿りついたブロンソンは、珍しい光景を目にする。



 普段は帝国首都ヘイゼルに常駐している神魔十字団(イーブルレギオス)の戦士たちが駐屯していたのだ。



 一体何がおきているのか? 



 ここに来るまでに色々と不可解なことがありすぎた。



 まず大森林にある筈の集落のほとんどが無くなっていたのだ。



 これにはブロンソンも困った。



 あの壁の迎撃を食らったブロンソンは、半ば瀕死の状態だったので急いで回復する必要があった。


 だがその為に必要であろう魔力を補充する為に襲撃を企て肩透かしを悉く食らったのである。



 2か月前まではあったものが消え、存在しなかったものが存在しているのだから、驚き以外何もないのは当たり前である。



 そして気になったのは、壁には万遍なく覆われた魔力と対魔術式に、どういう手品か、魔力も生命力も感じられない半透明の少女の突然の出現と、見たことも無い武器による攻撃。



 人間が作ったにしては大掛かりすぎるし、ドワーフでも難しいであろう精巧な技術。



 そしてあれだけの設備を備えた巨大建造物は、どう見積もっても完成までには年単位はかかるはず。



 一体どうやって建造したのかも想像すらつかないものだった。


 もしブロンソンがアルドブルクから出る前より先に、ハルベルトがアルドブルクの街を出ていたらきっと知っていただろう。



 あの壁がハルベルトによって一夜にして建造された、この世界で唯一無二の最強の防御力と迎撃システムを備えた壁であると。



 ブロンソンは運が良かったのだ。魔導連装機銃による風穴だけで済んだのだから。



 もし後少しでも長くあの場に留まっていたら、ミトルティン製弾頭装着型・魔導式スティンガーミサイルで跡形も無く消し飛ばされていたことは本人が知る由も無いこと。



 ブロンソンは未だ傷の癒えぬ体を引きずり、宿場近くで魔狼の世話をしていた兵士に尋ねた。


「何かあったのかい?」


「・・・・・・ブロンソンか。何だその傷は?」


「戻って来る道中でね。手ひどくやられたよ」



 兵士はイーブルレギオスの小隊長ポナパルト=ヘッケル。ブロンソンと同じ上位魔人であり、騎士団時代の元同僚だ。ブロンソンは諜報工作部隊で、ポナパルトは

イーブルレギオスと呼ばれる精鋭部隊へと転属したが、転属した後でも交流は続いていた。



「ブランベルクでの工作は上手く行ったのか?」



「いんや。散々だったよ。まあ時期を見てもう一度潜入してみる」



「そうか。でもまあそれどころじゃなくなるぞ」



 大きく溜息をついたポナパルト。その様子が変なのはブロンソンにも一目でわかる。


「どうしたんだい? 君らしくないねえ」


「ああ。何せフリージア様が不機嫌なんだ。お前ここに戻って来る時見たか?」



「集落が無くなってた」



「違う」



「魔物や魔族の数が少ない」



「そうじゃない。壁だよ。あれだけデカい壁なら見てるだろ?」



 ああ、と苦々しげな表情でブロンソンは頷いた。そこで自分の体を指さす。



「あれは酷い。あそこに突っこめなんて言われた日には僕は逃げるよ」



「冗談言ってる場合じゃない。お前が潜っている間に二回ほど調査部隊が送り込ま

れた。結果二回とも全滅だ。そこへ今度は突撃を仕掛けるらしい。恐らくあの壁は魔王クラスの魔物が建造したとしか考えられないとまで噂されている。国境付近にアレができたということはいずれここを攻め込む気なのだ。女王は先手を打って進撃することに決めたのだ」



「それじゃあ君も?」



「お前みたいに吸魔魔族だったら良かったけどな。貧乏くじを引いたようだ」



「そうだね。あそこの壁は近づくだけ無駄だよ。それこそ戦術級の魔法か巨人でも使役しないと攻め込めないと思う」



「だろうな。まあ一応俺達の作戦では手始めに戦術クラスの魔法で壁を撃ち抜き、そこから巨人(サイクロプス)を使役してツッコませ、後から俺達は進軍する予定だ」



「なるほど。流石だね。両方の案を採用して不測の事態に備えるのはいいことだよ。作戦立案した人は頭がいいね」



「女王だけどな」



 小ばかにした言いぐさが失敗だったことに気づき、ブロンソンは慌てて周囲を見る。



「もし成功して生きて帰ってきたらまた一杯やろうよ」



「ああ。お前のおごりでな」



 魔狼への餌やりなどを終えたポナパルトは、差し出された拳に自分の拳をこつんと当てて駐屯地へと戻って行った。



「・・・・・・いいこと聞いちゃったよ。少し離れた場所で見ておけば餌を食うチャンスかも。どうせなら部隊に潜り込んじゃおっかな」

 


 ブロンソンは意気揚々とその場をうろつくのだった。



 後にこの選択が誤りだったとを後悔する日が来るとは知らずに。


 





 アルドブルク首都を一足先に出たアキラ。行商人に扮した格好で馬車の荷台に乗り込んでいるのは6名、乗車台に1名という状態だ。様々な品を積んでいる荷台は少々横長で、奥行きがあるおかげで窮屈な思いをしなくて済んだ。



 ガタガタと小刻みな震動こそあれど大幅な縦揺れが無いのは十分な舗装がされている証拠と言える。実に快適な道だ。



 内心でアキラは、予想よりも快適な旅路をを送れそうだと思いつつも、もしかしたらこの道が死への旅路になるのかと考え、この世界に来る前のことを思い出してしまった。



 死ぬ前にもう一度会えるなら、色々と話したり聞いたりしたいことがある。



 大切な人のことを思い出し、無意識に複雑な表情が浮かんでいた。



「どうしたんですか?」



 一緒に乗り込んでいたロダンが口に水筒を運ぶのを止め、怪訝そうな顔を浮かべる。



「・・・・・・ロダンは仲が良い人はいるか? そうだな、好きな人、もしくは彼女とか」



「なんですか藪から棒に。そうですね好きな人って言うならアキラ様ですかね」



「からかうな」



 割と本気のつもりだったが、アキラが真剣な顔で怒ったので弁明することを諦める。事情を知っている他の仲間はくっくっくと笑いを堪え切れずに顔を隠していた。



 内心で舌打ちをしたい気分に駆られながらも、ロダンは首を横に振った。



「いえ。アキラ様は?」



「いたよ。正確には今でも好きなのかもしれない幼馴染なんだけどさ」



 どこか遠い目で荷台の後方に視線を向ける。どんよりとした曇り空。どこか寂しそうに空を見るアキラは小さく首を横に振った。



 アキラの言葉に内心の動揺を隠しきれず、ロダンは思わず口をへの字にしてしまう。



 そんなロダンの表情に目を向けることなく、ポツリポツリと話を続けるアキラ。



「あっちの世界では私がここへ来る前に幼馴染が行方不明になって。てっきり犯罪に巻き込まれたかと思ったんだけど。私がここに来た時もしかしたらと思ったんだ。でも結局未だ見つかっていない」



「そうなんですか。ちなみに告白とかお付き合いとかは?」



 本当は聞きたくない。でも聞きたい。そんな葛藤の中で結局は興味が優先してしまった。



「しなかった。一方的な好意かな。ところでさ、けっこう変なことを聞くけどいいかい?」



「ええ」



 結構変なことという気になる言葉に首を傾げるロダン。



「ロダンは女性の裸姿と下着姿どちらが好き?」



「はああああ! あ、いや、俺は裸ですけど」



 思わずアキラの裸を連想してしまい興奮してしまい、下腹部にある前当てと呼ばれる装備が斜めに上がってしまったところで慌てて腕で押さえつけた。



 幸いアキラは気づいていなかったようで、ロダンは自分の醜態をさらさずに済んだのだが、他の男達も同様の体勢を取っていることから、皆同類なのだと妙な安心感が込み上げて来た。



「その幼馴染ってさ、女の裸よりも下着姿が好きらしくてさ。本当馬鹿でスケベでどうしようもないんだけど。ある雨の日に学校から一緒に帰った時に、そいつが私の家に寄ったんだ。先にシャワー浴びさせて、その間に私は一度着替えようと裸になったら、タオルが無いってノックも無しに部屋に勝手に入ってきてさ。そこで裸を見られたんだ。なのに」



 皆が生唾を呑む。誰もが股間を隠すように抑えつつ、鼻息が荒くなっていた。



「そ、それで」



「“あ、俺下着姿じゃないと興奮しないから大丈夫”って。それだけ言って何食わぬ顔で私の部屋の箪笥から勝ってにタオル持ってたんだよ。信じられるか?」



(スゲー興奮したけど、全く話が見えないぞ? 誰かツッコめよ)



 ロダンが目くばせしても誰もが首を横に振る。

 

 渋々虎の穴の中に入る覚悟でロダンは開きたくもない口を開いた。


「信じられないですね。自分なら思わずとびかかるかもしれないですけどね。で、アキラさんはその彼が好きだったと?」


「好きだね。だから犯罪を起こして手遅れになる前に私の手で息の根を止めてあげようと思ったかな。それに聞きたいこともあるし」


 拳の骨を鳴らしながら涼しい顔で、さらりと物騒な言葉を紡ぐアキラの姿に、誰もが戦々恐々とした顔を浮かべる。


 この人だけは絶対に怒らせてはいけないと。


「そ、それで、聞きたいことってなんですか? あ、そうか、感動的なさいかいですもんね。近況とか今まで何してたの的な」


 思わず声が裏返るロダン。


「あの時3回半殺しにして聞きそびれたんだけど、何でタオルがしまってあるの場所が一発でわかったのかとか、下着がいくつか減ってたこととか、一目見ただけでブラのサイズ充てられるとか凄い気になるからさ。ほら友達の友情って拳を交えれば何でもわかり合えるって言うし。最後に拳を交えられなくて残念だなあって。何か思い出したら何か殴りたくなってきた」


 とんでもない地雷を踏んでしまったような気がしたロダン。


 もしかしたらこの道が死への旅路になるのではと考え始めていた。


 奇しくも、アキラとロダンは違う意味で同じことを考えていたのだった。


 ノティス大森林へ近づく頃には遠くからでも大きな壁が荷台の隙間から見ることが出来た。


 ここまでで馬車を使って約十日の道のりだ。恐らくあと半日で行けるだろう。


 そこでアキラは自分の失敗に気付く。


「不味いな」


「どうしたんですか?」


「森の中にあるとは。集落を形成をしていると情報はあったが、流石に馬車も通れない道だったら行商人として行くのは難しいだろ」



 あ、っとロダンも言葉を失った。



「大丈夫みたいですよ。森の中に整備されたような道があります。ですが妙です」



 乗車台に乗っていた商人に扮した兵士が荷台の隙間窓から顔を覗かせた。


 男に見てくださいと言われ、一度止められた馬車から降りたアキラは前方に回り

込んで、視界に飛び込んできた光景に目を見張った。



 そして整備されたその道へ歩いて行きしゃがむと、触ったり軽く叩いたりして見た。



「アスファルト舗装・・・・・・。間違いない。この技術、異世界人のものだ。あの場所にもしかしたら異世界人がいるかもしれない」


 馬車を一斉に降りた兵士達は布袋から武器を取り出して周囲を警戒する。


「アキラ様と同じ世界の技術ですか。もしかしてその人が魔王ですか?」


「さあ。人間が魔物として召喚されたなんて前例は聞いたことは無いし。あるか?」


 皆は一様に首を横に振る。


「とりあえず行ってみましょうか」


 ロダンの言葉に皆は再び馬車に乗り込んで進み始める。


 道路の中間あたりまで来て兵士の一人、マーカス=ウォレンが険しい顔を浮かべた。


「おかしいですね」


「お前も気づいたか」


 アキラの言葉に誰もが気味の悪い空気を感じていた。


「あの時止まった場所付近から魔物の気配どころ何の気配も感じられないんですよ

ね。昨日まではあちこちで遭遇するか、近づいてこなくても見えるかの何かしらの気配があったのに」



 重厚感のあるマーカスの声は一層雰囲気を漂わせた。


 今まででこんな静けさなど感じたことは無い。


 それでも、この中ではアキラは知っている。大自然の中でも魔物の気配など一切感じない場所。


「まるで日本だな」


 思わず漏らした言葉。


 誰も彼女の言葉の指す場所のことなど知らない。それよりか耳に入っていないようだった。


 ずっと周囲を警戒していた時だった。


 突然馬車が急停止したのでアキラは様子を見る為に飛び降りて前に回り込んだ。


 念の為ロダン達には馬車の中で待機しているように命じる。


「こんにちは旅人さん。私エリス。この先の街に用かしら?」


「こんにちは旅人さん。私セリス。街に用ならこの先の正門で待っててくださいな」

 

「アキラさん。この子供が突然どこからともなく現れたんです! しかも半透明って、死霊か普霊ですかね?」


 どこか上ずった声の兵士。無理もない。ホログラム技術を知っているアキラでさえノイズの全くない完璧なホログラム映像は初めて見たのだ。


 この世界に来てから普霊や死霊の類を始めてみたアキラにとって、これがホログラムだと即座に分かったのは、アスファルト舗装という技術とホログラムの知識、そしてこの目の前にいる少女達から魔力はおろか生命力の類である気が感じられないという符号が瞬時に脳裏をよぎったからである。


「死霊でも普霊でもないさ。とりあえず私達は行商人。正門で待たせて貰う」


 ホログラムはアキラの言葉に静かに頷いた。そこで再びアキラの中に動揺が走る。


(リアルタイムでこちらの態度に反応した? ただのホログラム映像じゃない)


「初めてのお客さん7名様ごあんな~い」


 そう言ってホログラムの少女は姿を消した。まるで霞がかったように。


 アキラは一度周囲を見るが、アキラと乗車台の男以外は誰も外に出ていない。


 荷台の前方にある小窓は木の板が降りているので中の様子は見ることは出来ない。


 ここに来てアキラは更に言い知れぬ不安に心底気味悪くなる。





「・・・・・・何で人数がわかったんだ?」



 その一言は一緒にいた乗車台の男を一段と震え上がらせるには十分だった。


下着派の人の方が結構エロいです。


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