番外編② 他作品のヒロインTS女神との接触【挿絵水着あり】
海は蒼く、陽光は容赦なく照りつけていた。
白砂は焼け、波は砕ける。
その中心に――覇が立つ。
覇姫エレクシアは腕を組み、静かに海を見据えていた。
「……なにか来るな」
戦の勘。
それは確信に近い予兆だった。
『きこえますか、きこえますか』
頭蓋の奥に、声が響く。
「――む?なんだ。誰だ、この声は……どこから聞こえる?」
敵影はない。
だが、どこかから“干渉”されている。
『今わたしはあなたの脳に直接話しかけています。落ち着いて聞いてください。わたしはTS女神です』
(脳内直接通信!?)
「TS女神、だと?神の一柱か」
相手の、ある程度の位置さえ分かれば、仕掛けようもある。
「……いいだろう。話せ」
即断。
女神と名乗ってはいるが、邪悪なものやもしれぬ。
『お前は、覇姫エレクシアだな。
エタり――そして【俺たちの戦いはこれからだEND】回避のため、海水浴に行っているのは把握している』
「……ほう」
全てお見通しというわけか。
「なぜそれを知っている」
『こっちも似たようなもんだ。おれたちは温泉に来ている。理由も同じだろう?――エタり対策、ってやつだ』
(エタり……未知の概念だが、俺様も何か嫌な予感はしていた)
だが、
「……なるほど、さすがは女神だな。
しかし、エタりか」
今は受け入れる。
『そうだ、エタることだ』
セラフィーナが目で合図を送ってくる。
問題ないと手で制する。
『だがな――これは失敗だったかもしれん』
「何?」
『どうもエタりのやつは――女に興味がないらしい』
(……)
「……それはつまり、男色か?」
『いや、それも違う気がするんだが……正直わからん』
(対象不明の敵か、何者だ……)
ならば――対処するのみ。
『まあ、それは置いておけ。本題は別だ』
「続けろ」
『エタりを回避する方法――それは“モチベ”を上げることだ』
「ふむ」
『その方法が分かった』
「……聞かせてもらおう」
『ほし』
『ぶっくまーく』
『いいね』
『あと、“こめんと”というのもあるらしいな』
波音が聞こえる。
一体なんの事なのかさっぱりわからぬ。
「……何だそれは?」
『おれにもわからん。だが、これを与えられると“モチベ”が上がるらしい』
(金銀財宝の類いか?)
「与える、だと?」
「俺様たちが施す側になるのか?」
『どうやらな、“お願い”すればいいらしい』
(……お願い?ふうむ、俺様は苦手だな)
「……誰にだ」
『それが分からん』
(マーガレットが言っていた天上界“ニホン”の住人か?確かこの世界を観測していると聞いたが……)
『お前は強くて女にモテる“漢”だ。だから女を担当しろ、と俺の中の眼鏡が言っている』
(……眼鏡?)
なぜ今眼鏡の話になる?
とりあえず不要な情報は切り捨てる。
「で、お前はどうする」
『おれか?おれは顔がキュートだからな。可愛くお願いすれば――たいていの男はイチコロコロスケだ』
(自分のことを平然と可愛いと抜かしたぞ?
む、パスが繋がった)
TS女神に気取られぬようスキルを展開する。
――秘戯暴映。
これを俺様の頭の中にだけ展開する。
すると見えた!
若い銀髪の女が温泉の湯に浸かっている。
なるほど、こいつがTS女神か……
ふむ、確かに可愛らしい顔はしているが……
「……ほう、そんなものか」
『あ、そうだ。これも重要だ』
「何だ」
『俺は甘えるような、可愛らしい顔でいく』
(ふむ、この女神はやけに人間くさい)
『お前は冷たい美人って感じだろ?
だからここは“キメ顔”でいくべきなんだ』
(俺様は冷たい美人って感じなのか?後でリリアーナにでも聞いてみよう)
(いや、しかしなぜこいつは俺様の顔を知っている?まさか、あちらからも見られているのか……)
『女が“きゃーっ!”ってなるやつ。男装の麗人、そんな感じでいい』
「ふむ、というか俺様の顔を知っているのか?」
『まあな、これでも女神の端くれよ』
(さすがは神々の一柱よ。TS女神、見た目通りの実力ではないな)
「何となくわかった。
普段通りの俺様ということだな」
戦術確定。
『じゃあ、同時に言うぞ』
「同時だと?合わせられるのか?」
『女神が使う神聖魔法にヨヤクトウコウがある。
これで時間を合わせればいい』
さすがは女神。
ふたつの世界を繋げられるのか?
『せーのでいくぞ』
「間は?」
『“せーの”のあと』
『“ここでお願いする”だ』
「……承知した」
TS女神。こいつは本物の女神だ。少し間が抜けているが、邪悪な存在ではない。戦って負ける気はしないが……まず味方だと思って間違いない。
『準備はいいか?
覇姫エレクシア』
「いつでもいいぞ。
TS女神」
――静寂。
海と、どこか別の世界が重なる。
「『せーの』」
――
「待て。一度練習したい」
(誰かに何かを頼むなど……少し緊張するな)
『わかった、じゃあ練習行くぞ』
「『せーの』」
――
『ほし と ぶっきゅまーく と いいね をくれたら嬉しいな♡』
「ほし と びゅっくまーく といいね を くれないだろうか?」
――沈黙。
波が寄せては返す。
『……今二人とも噛んだよね?』
「うむ」
言い慣れぬ言葉ゆえに噛んでしまった。
む、メスガッキーナが食事の準備ができたと言っている。今日はバーベキューだったな。
『よし、じゃあ本番いこう。
おれは可愛らしく甘える系で、お前はツンとクールな中にデレがある系、な感じだぞ』
「だいぶ難しくなったぞ。
まあいい、やってみよう」
「『せーの』」
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