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まいごは今、異世界  作者: heina
ほぼ家出編
17/120

一時間ちょい、歩いた

「えとね、あの掘ってた先にね、私の大事だった物があるんだけど」


…ん、話終わった?続きが来ません。

「じゃあ大事なものはもういいの〜?」

話の続きを待っていると水色姉さんから疑問が降りてきました。頭の上から降りてきた声に顔を向けると笑みを返してくれます。

なんだろう、この子供になった気分は。

「今はいいの、平気だよ!」

白薔薇の大事なものってなんだろうと思ったけれど、お腹が空いたので流しました。

わざわざ口にしない話は流すが良しなのです。


おやつを食べてから、しばらく歩くと辺りの森の木々が葉を茶色くさせて、枯れ木手前の様相に変化してきました。足下には落ち葉がいっぱいです。焼き芋食べたくなってきたよ。だって今日のおやつは久し振りの少し苦いやつだったから。

くそう、大人の味め。

お芋に思いを馳せて足を動かしているうちに地面の土が何だか埃っぽくパサパサしてきた感じがする。ジメジメして暗いし、風も冷たくなってきた。

「へしっ、へぷしっっ」

おわ、鼻水出た。

「あ〜あ、おはな出てるよ。ハンカチハンカチ、はいチーンして」

水色姉さんが自分のハンカチを取り出して僕の鼻に当ててくれるけれど、こういう事されるのは師匠だけで十分なので。自分で擤(か)みますとも。


今回は初めて、ここでのお仕事に従事せよと付いてきた。

あの家(うち)にはだいたい毎日、僕が来てからは毎日お客さんが来る。頼み事だったり、ただ遊びに来ただけだったりと色々あったけれどアポイントメントの概念も誰一人として持ち合わせていないようだった。僕も大概無いけどね。

で、その毎日訪れるお客さんが偶(たま)に持ってくる案件がお仕事になる。対価をもらうからこそのお仕事だから只(ただ)じゃ無いよ、お気をつけあそばせ。

巫山戯(ふざけ)た事言ったりしたりするとすぐにオレンジ姉さんが蹴るからね、ほんとだよ。もう二回見たし。

今回の報酬はなんか良い物をくれるらしいが、何かは不明。

巫山戯たら蹴られるぞ〜。手を貸した後だと洒落(しゃれ)にならない事になるけど分かってるのかな、木。


家を出てから一時間も歩くと、森に植わる白茶けてきた木々が段々と見るも無残な姿になって辺りに転がりはじめました。

「木の墓場かねぇ」

オレンジ姉さんが朽ちた小枝を蹴り上げてポツリと零した一言がしっくりきません。お墓ってより蹂躙されたての方が近いと思う。

「これ、お墓なん?戦場みたいらけど」

「そうだね〜、臨場って感じだわ」

「臨場?もう終わってるよ?」

幹が薙ぎ倒されているのはまだ軽傷で、ひどいものだと根っこから全て引っ張り上げられて横倒しになっている。吹き曝(さら)しの朽木の陰にクリスマスツリーのオーナメントらしき紐の付いたテラテラした赤い玉が転がっているのをチラッと見かけた。

木々と一緒に黙々とその場を通り過ぎ、そのまま荒地を通り過ぎるとまた普段の森と変わらない景色に戻った。

目的地はもうちょっと先のようだ。


再び鬱蒼としだした森を抜けると一面の花畑が広がっていた。ここは大きな枯れ木と倒木があるくらいで木が生えておらず陽射しがさっきまでとは比べるべくも無いくらいの明るさで満ちていて風も通って気持ちが良い。鬱々とした森は飽きたよ、帰り面倒い。

花畑の花は数種類、他の品種が混ざってはいるようだが略(ほぼ)明るい紫と青の間くらいの色の花で埋め尽くされていてシンプルな美しさが好ましい。

花弁がフワフワのシュシュのように広がって、白く細いやくが淡白な色合いにアクセントを添えている。

ちょっと美味しそう。


…あんまし美味しく無い、ぺっ。

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