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まいごは今、異世界  作者: heina
ほぼ家出編
16/120

森を歩く、まだ歩きはじめ。

手紙を飲み込んだ大きな鳥が飛んでゆく空を眺めていると頭の上でワサワサ、ワサワサ煩い。

ほったらかしの本日のお客さん、木だ。

枝葉を震わせている事で何かを伝えたいのか痒いのか楽しいのか何なのかもよくわからないけれど、オレンジ姉さんには伝わっているんだろうと姉さんを見てみるとじっと木を見つめているだけでリアクションはない。暫くするとお姉さんはこっちを向いて僕に「何してんだ〜こいつ」と言い放った。

木よ、僕には何もわからないし、小さな細い葉っぱが降ってくるので震えるのはやめてほしい。

問答無用で木に蹴りを入れて追い返そうとする姉さんを何とか諌めて、寝よだれを垂らしていた水色のお姉さんを起こして連れてきたことでようやく木との対話が成った。

木的にはよだれを操るお姉さんは神様的な感じらしい。森から追加で数本の木がガサガサとうるさく出てくると横一列に並んで動きを合わせたりと明らかにさっきまでとは態度が違う。

なんかムカつくので最初に尋ねてきたクリスマスツリーに蹴りを入れておいた。


この木が訪れてきたのは森の奥で困った事が起きたからだという。何だ遊びにきたんじゃないのかぁと思いつつ、よっしゃ今日のお仕事だ!と森の奥へと向かおうと玄関を出ると左腕と右腕をオレンジと水色の姉さんに組まれた。身長差で残念ながら真ん中が凹む状態なので手をつなぐ状態に移行してもらう。白薔薇は定位置の背後だ。

出かける前に室内に向かって行ってきますをすると三人共に同じ身長、同じ顔の深紅の髪と目で服まで同じ色のお姉さんたちがいつものようにぴったり同じ動きで気怠げに顔を向け、手を振ってくれる。他のみんなは全員まだ寝ているので手だけ振り返しておく。王様は一本ツノの姉さんに枕にされて少し苦しそうにもがき呻いていた。


家を出てすぐにあの白薔薇と出会った洞穴の側を通った。家の窓からは見つけてなかったから結構トンネル掘ったんだと思っていたんだけれど、全然。少しだけがっかり。


先導して行くクリスマスツリーと木々達。何で困っているのかは水色姉さんにもよく分からないのだと言う。姉さん曰く、喋らないし特に伝える手段を持っているわけではなく、困っている云々は感じるものが確かにあったにはあったがほぼ勘で感じ取ったのだと話してくれる。この勘は信頼に足るとオレンジ姉さんも一言添えてくれた。


先を行くでっかい木々が森の密集地を抜ければ当然ながら地に根を生やした木々は枝葉を折られ、幹を傷だらけにされてゆく。森は元々、日光の奪取を介して生存競争をしたりで自ら以外のものは邪魔なものなので気など使う訳もなく、この森に満ちる緑の落ち着く匂いも悪意の無い毒みたいなもので殺伐とした戦場なのだと教えられながら落ちてくる枝葉と足元に気を配りつつ、普段もするくだらない話も交えて歩を進めて行く。


「ところでさ、神様と神ちゃんは土の中から出てきたけど、なんで地面の下なんかにいたの?王様落とす落とし穴作ってたの?」

「落とし穴掘ってた訳と違うけど、穴掘ってはいたん。何でかは〜、ん、そいえば知らないのだ。何で掘ったんだっけ」

最近よく話す姉さん方に大分引っ張られる形ではあるが少し流暢になった言葉で王様への意地悪を否定しつつ、今できた疑問を白薔薇に放った。

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