ユミ、説教(?)する
皆さん、先日は撮影、お疲れ様でした。
参加いただけました皆様に、お礼もうし上げます。
撮影日に都合の付かなかった方は、録画を再生しながら、ご自分のアバターで、ご自分のパートを演技してください。その後、録画をチェック致しまして、不具合がなければ、そのままgoとさせて頂きます。そういうことがムリな方は、ご連絡いただければ、相談しようと存じます。
なお、添付いたしましたPDFファイルにて、第2話のシナリオをお知らせします。
撮影日は、追ってお知らせ致します。
では、次回も、どうぞよろしくお願い致します。 ユミ
グループの連絡網を使って、ユミからスマホに送られてきた。
康祐の部屋に、三人が集まった。
「こんな風に、連絡したけど、どうかなぁ?」。二人の顔を見ながら、ユミが言った。
「うん。いいと思うよ」と、タカマサ。
康祐とタカマサは、机の両端で。ユミはソファに座り、膝に置いたPCで、それぞれ担当の作業を始めた。
「この前、薫子さんに会ったよ」と、ユミ。
「……」。康祐は、黙って作業を続けている。
そんな康祐を横目で見て、タカマサが
「薫子さんて?」
「この近くに住んでいる、私たちのイッコ上の先輩」
「ふ~ん」
「すっごい綺麗な人で、すっごい頭よくて、こーちゃんなんか、その人の前に出ると、何も言葉が出なくて、モジモジしてるばっかりなの」
「ふっ」とタカマサが、声に出さずに笑った。
「こーちゃんの初恋の人」
「オマエなぁ。そういうプライバシーを、ベラベラと」
「プライバシーなんかじゃないよ。みんな、知ってるもん」
「みんなって、誰だよ」
「この辺の人、みんなよ」
「オマエ、よくも俺のプライバシーを、」
「私は何も言ってないわよ」
「じゃあ何で、みんな知ってるんだよ」
「私は、杏奈ちゃんに、ちょっとだけ話しただけ」
「拡声器もたせて、この商店街を歩かせたみたいなもんじゃないか!」
「黴臭い言い回しするのねぇ。……」。呆れたように、ユミが言う。
「『SNSで、拡散したようなもんだ』くらい言えないの?」
「余計なお世話だ」
「図書館に籠ってばかりいるから、そんな風になっちゃうのよ」
「だから。……」
「『俺の勝手だろ』でしょ」
「ふん!」
「薫子さん、アメリカに行っちゃうかもよ」
「えっ」
「第一、もうこの町にはいないし。……」
「そうなのか?」
「こーちゃんは、完全にフラれたの。諦めなさい」
「……」
「もしかして。まだ、……?」
「ユミには、関係ないだろ。……」
「ちょっと。二人とも、手を止めて」。ユミが言った。
「ん?」というように、タカマサも振り向く。
「私が、今から、ちょっと講義してあげるから」
「講義?」と、ポカンとした顔の康祐。
「いいから。ゴーグル付けて、タカマサ君が作ってくれた作戦会議室に集合」
「……」
「……」
「いい?」と、ユミ。
「酒、アルコールは、『もう俺は、恋愛しないな』っていう時まで、飲んじゃダメ。いい?」
「……。理由は?」
「私の言うことはホントだから、疑問は持たなくていいの。でも、今回は特別に、答えてあげる」
「……」
「日本人はね、アセトアルデヒドの分解酵素を、持っている人が少ないの。アセトアルデヒドを持ってない人が、お酒を飲むと、歯周病になる危険性が、とても高いの」
「ふ~ん。……」
「よく、日本に来た欧米人が、『日本人の口は、死ぬほど臭い』って言うでしょ?」
「そうなんだ」
「そう。もうそれで、証明終わり。いい?」
「はい」
「はい」
「タバコは、一生、吸わなくてよろしい」
「はい」
「はい」
「よろしい。もうそれだけで、毎日お風呂に入って、清潔な物、着てれば、少なくても同年代の男性よりは、かなり有利だから」
「有利?」
「何が?」
「あんたたち、何を聞いてるの。『ユミの恋愛講座』だって、言ってるでしょ」
「ん?」
「そうだっけ?」とタカマサ。
「次!」。テキパキと進めるユミ
「それはいいけど」
「ん?」
「なんで、VRの中なの?」と、康祐。
「ここの方が、なんか、ものが言い易いのよね」
「へぇ~」
「それは、あるかもしれないね」。タカマサだ。
「いいかな。次、いくよ」
「……」
「手近な相手で、済まそうとしないこと」
「ん?」
「男子は、だいたい物臭なんだよね」
「……」
「普段目にする、対象になり得る女性に、恋心を持ち易いの」
「……」
「心当たりあるでしょ!」と、ユミ。
「……」
「そういうのは、四~五回恋愛を経験して、一度くらいは『この人に巡り合う為に、俺は生まれてきたんだ』と言えるくらい人を、好きになった後でいいの。もう、他の誰かを好きになることは、一生無いだろうって思えるくらいの経験をした後でいいの」
「ふ~ん」
「でも、まず、1回目の恋愛が始まらないと、話にならないんじゃない?」と、タカマサ。
「だから、今、こうして、講義してるんじゃない」
「はい」
「……」
「大体あんた達は、恋愛は告白から始まると、思い違いしてるの」
「ふ~ん」
「どうやって始まるの?」。康祐だ。
「それは、ケースバイケース。人それぞれ」
「答えになってないじゃん」と、康祐。
「慌てないの」。ピシッと、ユミが制する。
「例えば、こーちゃんなら、学校に行けば、何人かは顔見知りぐらいの女性はいるでしょ」
「それは、まぁ。……」
「陶器店の交際がある飲食店や、各地の陶器店でも、顔見知りぐらいできるでしょ?」
「うん」
「『お茶、飲みませんか?』でも、『ライブ、行きませんか?』でも、『東京に来た時には、なんなりとお申しつけ下さい』でも、なんでもいいの」
「ふ~ん」
「同性の、友達を作るくらいのノリでいいの」
「……」
「てか、その位のノリの方がいいの」
「うんうん」。分かったようなタカマサ。
「そういうのを何回か重ねて、恋愛に発展しそうかどうか、だいたい感じるでしょ」
「なるほど」と、康祐。
「まだ、早い」
「うっ。……」
「まぁ、女子の方にも、問題あるっちゃ、あるんだけど」
「ん?」
「恋愛は、告白されてから始まると思ってる子も、いるにはいるからね」
「そうなの?」
「白馬に乗った王子様が現れて、自分の前に片膝ついて、赤いバラを差し出しながら、告白することを夢みてる子もいるの」
「ふ~ん。……」
「でもね、それは、ず、ぇ~~~ったいに」
「ん?」
「あんた達みたいな男子じゃないの!」
「ケッ」と、康祐。
「仮に、そういう子に向かって、コクったと想像してみなさい」
「う~ん。……」
「コクったあなたは、彼女の夢をブチ壊した、悪魔のような人」
「うっ。……」
「当然でしょ?」
「……」
「それで恋が始まると思うんなら、どうぞご自由に」
「……」
「私の路線の方が、現実的だし、不必要に傷つかないで済むし」
「……。たしかに、……」
「特別に、無料講座よ。感謝してとは言わないけど、覚えておいて損はないわ」
「は~い」。二人の声が、揃った。
「ところで」と、タカマサ。
「ん?」
「ユミちゃんて、恋愛経験、豊富なの?」
「プッ」。康祐が、噴き出しそうになっている。
康祐に、ケリを入れるマネをして、
「私はね、伊達に映画制作者を目指してるんじゃないの」
「へっ」
「人間洞察には、これでも自信があるの」
「ふ~ん」
「それに、」
「ん?」
「同年代で、男子と女子が、恋愛を語らせたら」
「うん」
「男子は、到底、女子に遠く及ばないわ」
「……。そんな、もの、かなぁ。……」
「間違いないわ。折り紙つきの、保証つきよ」
ユミだって、黴臭いじゃないか。康祐は思ったが、黙っていた。
「だいたい、折り紙の意味、知ってて言ってるのかよ」
「ん?」とユミ。
「何か、言った。こーちゃん?」
「いや、むにゅむにゅ。……」
「もう一つ、質問」と、タカマサ。
「どうぞ」
「お酒を飲んでいて、気持ちが解れて、心が通じ合ったっていうことも、多いんじゃない?」
「そうね」
「そういうのは、どうなの?」
「私の独断と偏見だけど、そういう相手とは、恋愛しなくてよろしい」
「ふ~ん。……」
「なんで、俺達の恋愛を、ユミに拘束されなくちゃならないんだ?」
「その理由は」
「うん」
「言ってもまだ、君たちには、分からないかもしれない」
「ふん」と、康祐。
「恋と愛の違いも、分からないでしょ?」
「……。それは、……」
「私の見解では、」
「……」
「究極的には、恋は一種類だけど、」
「……」
「愛には、色々あるの」
「あぁ。……」
「なるほど」
「まずは、どっちも、深~~~く、経験してみることね」




