表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お弁当つけて、どこ行くの?  作者: kyon²


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
13/15

慄(おのの)き

 話は、二日前にさかのぼる。

 日曜日の午後。康祐の部屋に、三人が集まって、それぞれ作業していた。

 さっきから、手の動きをとめて、ボーッとしている康祐。

「何、考え込んでるの? こーちゃん」

 問い掛けられるのを待っていたように、康祐が

「お話つくるって、隠しようもなく、自分が出ちゃうんだなぁって。……」

「何? 今さら?」

「……」

「クリエーターは、みんな、そういうものと葛藤かっとうしながら、創作活動してるの。当たり前じゃない」

「当たり前なの? そういう悩み、持たずに活動してる人、絶対いない?」

「子供みたいなこと、言わないの」。さとすように、ユミが言う。

他人ひとのことは分からないでしょ。でも、そういうものだと思って、取り組んで行くしか、ないんじゃない?」

「……」

「タカミーは、どう思う?」。タカマサに問い掛けるユミ。

「タカミー?」

「いちいちタカマサ君って呼ぶより、短くていいから」

「了解」と、タカマサ。

「俺は、マンガだから。……」

「あまり考えない?」とユミ。

「いずれ、ぶち当たる課題だとは、思うけど。……」

「こーちゃんは、主張が強いからね」と、ユミ。

「俺が?」

「そう。こーちゃんは物静かで、大人しそうに見えるけど、芯に持ってる主張は、頑として揺るがない、強いものがあると、私は感じてる」

「ふ~ん。……。よく、他人のことが分かるんだね」と、康祐。

「言ったでしょ。私は、人間洞察の」

「達人?」と、康祐。

「まぁ。自分で言うのは、なんだけど。……」

「ほぼ、言ってるようなもんだよ」

「ふふっ」と、タカミー。

「こーちゃんは、主張が強い分、こーちゃんという人間が、にじみ出やすいの」

「かも。……」。タカミーだ。

「真面目だからね、こーちゃん」とユミ。

「あっ。バカにしたな」と康祐。

「覚悟を決めることね」

「……」

「自分の創作物を、他人目ひとめさらすということは、自分を晒け出すのと、同義語なの。それが怖いなら、さっさと止めちゃいなさい」

「……」

「ん?」と、挑発するユミ。

「随分、上から目線なんだな。ユミ」。康祐が、ボソッというように言う。

「私の目標は、ドキュメンタリーだからね。どうしたって、人間をあばいていってしまう側面は、持ってしまう。……」

「……。そうだろうなぁ。……」と、タカミー。

「他人にそれを強いるなら、真っ先に、自分もそうなることを覚悟してる。……」

 そう言い、さらにユミは、

「そんなのは、まだまだ序の口なの」

「ん?」

「葛藤しながら、『いいもの、作らなきゃ』と頑張ってた頃が、一番いい時代だったなぁなんて、述懐する頃からが、目が見え始めるの」

「何を言ってるのか、分からないなぁ」と、康祐。

「多くの人に共感をもたらすものを書いたり、オピニオンリーダーになった積りで、世間に良識を訴えたりしてるのが、実は、とても危険な事をしていたことだったということも、あるってことよ」

「具体的に言ってもらわないと。……」

 構わずに、ユミは続ける。

「『実は、何にも分かってなかったんだなぁ。書いたもの、言ったこと、全部なかったことにしたい』っていう思いに襲われることも、あるってことよ」

「ふ~ん。……」

「モノを表現する、作るっていうことは、それくらい恐ろしいってことよ」

「まだ何も作ってない、俺達に言われてもなぁ」と、康祐。

「こーちゃんの悩みに、ちょっとだけ、応えてあげただけ」

「あ。ふ~ん。そういうことに、なるのか」と、康祐。

「あとね、こーちゃん」

「ん?」

「最終話までのお話、出来たら原稿、私のスマホに送ってくれる?」

「うん」

「いつ頃に、なりそう?」

「頭ん中では、大体まとまってる」

「そう」

「プロット(あらすじ)だけでも、いいわ。それがあれば、色々手配できるから」

「うん。じゃあ、それは、明後日あさってまでに」

「OK。よろしくね」

「タカミーは、こうちゃんのプロット見たら、いつも通り、私たちのこんな様子の録画から、必要な部分を取り出して、編集してね」

「了解」と、タカマサ。

「編集するまでが大変で、あとはアプリで出来上がるっていう理解で、いいよね」

「うん。それでOK」

「じゃ、よろしく」

「よろしく」。二人も、声を合わせた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ