第17話:小競り合い:盗賊団 — 仲間に指示して撃退
第17話:小競り合い:盗賊団 — 仲間に指示して撃退
王都南東の街道。
補給隊の護衛任務。
規模は小さい。だが油断すれば崩れる程度には厄介だ。
「盗賊団、推定十五」
斥候が戻ってくる。
「弓五、短剣六、斧四。森沿いに散開。奇襲狙いです」
リディアが剣を抜く。
「どうする、参謀」
俺は街道の幅、荷馬車の配置、森の奥行きを視界に収める。
「正面突破は非効率。損耗率二十七%」
「高いな」
「だが誘導すれば五%未満」
兵士たちが緊張する。
「盾兵は馬車を半円で囲め。弓兵は右側の低木へ三名移動。わざと隙を作る」
「隙?」
「左翼を空ける。盗賊は“弱い場所”に集まる」
数秒後。
予想通り、森から三人、五人、さらに数名が左側へ突撃してきた。
「今だ。右翼弓兵、斜め射撃。距離十二歩」
矢が飛ぶ。
盗賊の動きが止まる。
「盾兵、前進三歩。斧兵は右から回り込め」
混乱。
盗賊は馬車を狙ったはずが、逆に包囲される形になる。
「中央二名、逃走経路へ走る」
「任せろ!」
リディアが駆ける。
剣閃一つ。
逃走経路を塞ぐ。
残る盗賊は焦り、森へ退こうとするが——
「森側は既に抑えている」
後方待機させていた二名が進路を断つ。
「……制圧完了」
わずか数分。
負傷者ゼロ。
盗賊は全員拘束。
兵士たちがどよめく。
「参謀殿、本当に戦わないのに勝つな……」
「戦うのは君たちだ」
リディアが剣を納める。
「損耗率は?」
「三%未満。予測通り」
「便利な頭だな」
「あなたの機動力があってこそだ」
一瞬だけ、彼女の目が柔らぐ。
「……それは褒め言葉か?」
「事実だ」
盗賊団は小規模。
だがこの勝利は、じわりと王国内に広がる。
“剣を振らぬ参謀が戦場を支配する”
噂は、数字より速く伝播する。




