第13話:中ボス戦略1 — 小規模戦闘指示で勝利
第13話:中ボス戦略1 — 小規模戦闘指示で勝利
王都北西の丘陵地帯。
今回の任務は単なる山賊討伐ではない。
盗賊団とも呼べない、元傭兵・アウトロー集団の残党だ。
規模は二十名弱。装備は鎧や弓、斧など多彩で、攻撃も戦術的だ。
「敵は防御陣形をとっています。正面突破は損耗率四十%」
主人公は丘の上から数字を読み上げる。
女騎士は剣を握る。
「他に手は?」
「左翼の小道から奇襲。成功率は三十六%、損耗率低減が可能です」
兵士たちはため息混じりに頷く。
背後で女騎士が声を出す。
「なら左から行く!」
敵の動きが変わる前に、主人公は細かく指示を出す。
「盾兵は左小道へ三列で進行。弓兵は丘の影から射線確保。斧持ちは中央で待機させ、敵を誘導」
女騎士が走る。主人公は少し後ろから視線を巡らせる。
敵は予想通り、左翼の騎兵隊を見落としていた。
「攻撃角度修正。斧兵は右へ誘導。弓兵、距離を三歩下げて再射撃」
命令が飛ぶと同時に、女騎士が前衛の一角を切り開く。
敵は混乱。斧を持つ男が方向を見失い、盾兵の正面で足止めされる。
「残り十秒で制圧可能」
主人公の声は冷静そのものだが、戦況は劇的に動いていた。
斧兵二名が突破を試みるが、計算された陣形と女騎士の一閃で阻まれる。
「敵残り三名。包囲完了」
最後の敵は逃げ道を求めるが、盾兵と弓兵の連携により脱出は不可能。
剣と盾の一閃で、残党は全員捕縛された。
戦闘後、丘の上に立つ女騎士。息を荒げながらも、笑みを浮かべる。
「計算通りか?」
「はい。損耗ゼロ、勝率百%」
「……数字でしか見えない男だな」
女騎士は少し呆れた表情を見せるが、その目には信頼が宿っていた。
主人公は数字を並べるだけで、戦場を制圧する。
しかしその冷静さが、周囲の感情を動かすこともある。
戦後、兵士たちがざわめく。
「見たか? あの男、剣も魔法も使わずに戦況を変えたぞ」
「数字だけで……?」
主人公は振り向かず、丘の向こうを見つめる。
次に起こる戦いの数字を、すでに計算していた。




