第10話 仲間との出会い — 女騎士と初めて共闘
王都北方、旧砦跡。
山賊討伐から数日後。
今度の任務は規模が違った。
「盗賊団ではない。元傭兵崩れだ」
女騎士が地図を広げる。
「人数は推定十五。装備は整っている」
主人公は静かに地形を見つめる。
砦は半壊。
中央に見張り台。
入口は一つ、背面に崩れた壁。
風向き、傾斜、遮蔽物の配置。
数字が立体になる。
「正面突破は損耗率三十二%」
「高いな」
「背面からの奇襲なら十一%」
女騎士は即座に判断する。
「背面だ」
兵士たちが動き出す。
だが砦に近づいた瞬間――
「伏せろ!」
矢が雨のように降った。
見張り台に二名。
想定より多い。
「計算外です」
主人公は即座に修正する。
敵総数、十八。
弓兵四。
「損耗率、上昇中……」
女騎士が前へ出る。
「退くか?」
「いいえ」
主人公は一歩、前へ。
これまで後方にいた。
指示だけ出していた。
だが今は違う。
「右側の崩れた石壁を利用。盾兵三名で防御陣形。弓兵は見張り台の柱を狙ってください。破壊可能です」
「柱を?」
「耐久値は低い」
矢が集中する。
木製の支柱が軋む。
女騎士が振り向く。
「お前はどうする」
主人公は深呼吸する。
鼓動が速い。
だが頭は冷えている。
「中央突破の確率を上げます」
「戦えるのか?」
「最小限なら」
剣を握る。
重い。
不慣れ。
だが動線は見えている。
「今です!」
柱が折れ、見張り台が崩れ落ちる。
敵が動揺。
「前進!」
女騎士が駆ける。
主人公は半歩後ろを走る。
敵の動きがスローモーションのように見える。
斬撃角度。
回避方向。
足運び。
「左!」
女騎士が反応し、斧をかわす。
主人公は横から剣を突き出す。
浅い。
だが体勢を崩すには十分。
女騎士が一閃で仕留める。
「悪くない!」
荒い息の中、彼女が笑う。
敵は残り五。
「包囲陣形。出口を塞いでください」
兵士たちが動く。
戦況は収束へ向かう。
最後の一人が武器を捨てた。
静寂。
砦は制圧された。
戦闘後。
主人公の手はわずかに震えていた。
「怖かったか?」
女騎士が隣に立つ。
「……はい」
正直に答える。
「だが、勝率は上がりました」
「数字か」
彼女は笑う。
「だが今日は違う」
主人公は首を傾げる。
「お前は前に出た。私の背中を守った」
その言葉に、わずかな違和感。
守った?
計算上、そうなっただけだ。
だが。
女騎士の肩にかすり傷がある。
先ほど自分が声をかけなければ、深手だった確率。
それを思い出す。
「……損耗回避成功」
「素直に言え」
少し考える。
合理性ではなく、言葉を探す。
「無事で、よかったです」
一瞬、沈黙。
女騎士の耳が赤くなる。
「……ああ」
ぎこちない。
だが確かに、何かが変わった。
兵士が報告に来る。
「制圧完了です!」
主人公は砦を見渡す。
被害は軽微。
味方重傷者ゼロ。
成功。
だがそれ以上に。
「共闘成功率、次回はさらに上昇」
「また数字か」
「はい」
女騎士は呆れながらも笑う。
「だが悪くない」
夕暮れの空。
砦の上に立つ二人。
合理で始まった関係。
だが今は、背中を預けられる。
数字では測れない何かが、わずかに芽生えていた。
主人公はまだそれを理解していない。
だが確実に。
彼は一人ではなくなりつつあった。




