難聴じゃないよ、無視だよ
「あ、歩み〜つけた。おっは〜!」
なッ!何故だ、こいつは保健室にいるはず。ブスである罪を死によって償ったのではなかったのか!
憎々しく美川を睨みつけていると、何を勘違いしたのか
「心配しなくても大丈夫だよ。ちょっと膝を擦っただけだし。それに、友田くんが手当てしてくれたから」
友田に微笑みかける美川。頬を染める友田。あれ、これいい空気なんじゃね?友田、お前ならできる。早いとこアタックして、その女をテイクアウトしてくれ。俺の前から消し去ってくれ。
「別に礼はいらない。あたりまえなことをしただけだ」
なぜかこの男は、女の前だとぶっきらぼうに振る舞う。ラノベに毒され、中二病も発病してしまった、典型的陰キャだ。正直、男の俺でもキモい。関わりたくない。
「も〜、友田くんはいっつもそう言って。それができる人が少ないから、私は、転んだままの姿勢を何分も保ってたんだよ〜」
え、こいつ、転んだ上に放置されてたん?なにそれ超ウケるwwブスすぎて、人っ子一人寄り付かなかったんですか〜(煽)生きてて辛くない?大丈夫?鏡でも見たら?最高に笑えると思うよ。
「とにかく、ありがとね。お礼はいつかするよ〜」
さてと、と。これでフラグも建ったことだし、もう幼馴染(傷物)と関わらなくてもいいわけだ。これで、美少女ハーレムへの第一歩が踏み出せる。俺の青春はここからだぜ。
「オッホン、ところで歩くん、昨日私はどこに行ったでしょうか?」
でも、今までの遅れを取り戻すなんてできるだろうか?幼馴染(笑)に拘束されていた時間はあまりにも長い。
「お〜い、歩く〜ん」
いや、それでもやるしかない。
「歩くんってば」
高校時代に美少女ハーレムを作れるかどうかが、受験とか就職とか商店街の割引きとかに関わるって、死んだ婆っちゃが言ってた(え?)
「ねえねえ歩ってば、ちゃんと聞いてるの?」
ああ!聞いてるよこんチクショー!なにこいつ?友田といい感じになってたのに、なに会話切り上げてんの?恩人なんだろ。お礼に股開くとか体売るとか奴隷になるとか、そんぐらいしろよ!
あ〜あ、ガチで萎えたわ〜。その上、こいつが体売ってるシーンを一瞬でも浮かべたせいで、もっと萎えたわ〜。
「それでね、私は昨日どこに行ったでしょうか?」
うーん、分かんない。結構考えたと思うよ、君に二秒も費やしたんだから。僕頑張った。えらいえらいって、美少女ロリババアが褒めてくれるはず、くれるよね?
「じゃあね、正解を発表するね。正解は、駅前に新しくできたクレープ屋さんでした〜」
ああ、あれね。なぜかピザ屋の横にオープンして、ピザよりまずい生地を売ってるところね。あんなもん誰が買うんだと思っていたけど、君みたいな人が買うんだね。あの店がとても哀れに見えてきたよ。
「それでね、そのトッピングのイチゴが〜〜」
あ!そろそろ授業の時間だ!よし、勉強頑張るぞ!
キーンコーンカーンコーン
勝利を告げる鐘が鳴る。なんの勝利かって?俺の精神の勝利だ!
美少女ロリババアも良いですが、カリオストロちゃんはもっと良いです。